「ゴールデンカムイ」土井新蔵/人斬り用一郎~モデルは岡田以蔵、何話に登場? 土方との対決、声優など~

 今回は大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、幕末を生きた人斬り「土井 新蔵(どい しんぞう)」、通称・人斬り用一郎について解説します。

 土井新蔵はアイヌの金塊の行方を記した刺青を持つ囚人の一人。

 幕末の世で新選組の土方歳三や永倉新八と暗闘を繰り広げた因縁の剣客です。

 登場時点ではすっかり老い衰えていたものの、敵の気配を感じると若かりし頃を思い出し、その剣の冴えを遺憾なく発揮してくれた土井新蔵。

 本記事では彼のプロフィール(モデルなど)や過去、土方歳三との対決、その最期を中心に語ってまいります。

「ゴールデンカムイ」土井新蔵(用一郎)のプロフィール

基本プロフィール(外見、誕生日、年齢、声優など)

 土井新蔵はアイヌの金塊の行方が記された刺青を持つ囚人の一人です。

 白髪頭の小柄なヨボヨボのご老体で、年齢や誕生日は不明。

 作中では土方歳三(1907年時点で72歳)より年上だと明言されていましたから、恐らく70代半ばから後半と推察されます。

 土井新蔵というのは偽名。

 元々彼は幕末の京都で要人暗殺を繰り返し「人斬り用一郎」と呼ばれた剣客で、追手から逃れるために偽名を名乗っています。

 登場時は根室のニシン場でひっそり働いていましたが、老齢のため心身ともに衰えており、ニシン場を追い出されそうになっていました。

 声優は清川元夢さん、回想シーンの若かりし日の用一郎は小野大輔さんが演じています。

モデルは幕末の四大人斬りの一人、岡田以蔵

 土井新蔵(人斬り用一郎)のモデルは、実在した幕末の剣客、岡田以蔵とされています。

 岡田以蔵は司馬遼太郎の「人斬り以蔵」で有名となり、幕末の四大人斬りの一人に数えられる剣客。

 今だとFGOの「ダーオカ」の方が有名ですかね。

 尊王攘夷派、土佐勤王党の一員として暗殺などに関与していましたが、土佐勤王党が失脚すると同志たちと共に捕らえられ、最終的に打ち首となっています。

 岡田以蔵は非常に臆病な性格だったらしく、この時軽い拷問に泣きわめき、同志たちの情報を余さず白状してしまったのだとか。

 作中に見る土井新蔵(人斬り用一郎)は非常で実直な性格ですから、岡田以蔵と共通しているのは「尊王攘夷派の人斬り」という設定だけと考えた方がよさそうですね。


「ゴールデンカムイ」土井新蔵(用一郎)は何話に登場?

 土井新蔵が登場したのは151~154話。

 網走監獄襲撃の後、アシリパを追って杉元たちが樺太へ渡っていた間の出来事。

 北海道に残った土方一行が、刺青囚人の一人である土井新蔵を探し当てます。

 土井新蔵そのものは物語の本筋に関わる存在ではなく、土方のキャラクターを深掘りするために登場した印象が強かったですね。

 アニメでは第三期32話に登場していました。

「ゴールデンカムイ」土井新蔵(用一郎)の過去

 人斬り用一郎は幕末の京都で尊王攘夷運動に参加し、要人暗殺に手を染めた凄腕の剣客。

 当時、新選組とは敵対する立場にあり、土方歳三らとも面識があったようです。

 「先生」と呼び慕った人のため暗殺に手を染めたものの、最終的に裏切られ、とかげのしっぽ切りのように切り捨てられて切腹を命じられた用一郎。

 彼はそのことに納得できず暗殺稼業から足を洗い京都から離れたものの、要人暗殺を繰り返した彼は多くの恨みを買っており、追手に付け狙われることになります。

 土井新蔵と偽名を名乗り、北海道まで落ち延びた彼は、そこでアイヌの女性と出会い、結婚して静かに暮らしていました。

 しかし追手の襲撃が終わることはなく、かつて暗殺した要人の遺族に妻を人質にとられた彼は、襲撃者を返り討ちにしたことで網走監獄に収監されてしまいます。

 その後、監獄の中で妻が病に倒れ、余命幾ばくもないことを知った彼は網走監獄を脱獄。

 妻を看取った後は抜け殻のようになり、妻のコタンを出て根室のニシン場で働きながらひっそり暮らしていました。


「ゴールデンカムイ」土井新蔵(用一郎)と土方歳三

根室のニシン場で再会、しかし用一郎は既に……

 エトピリカ(アイヌ語でくちばしが美しいという意味の海鳥)のくちばしを手掛かりに、刺青囚人の一人、土井新蔵(人斬り用一郎)が根室にいることを突き止めた土方一行。

 しかしこの時既に土井新蔵は老い衰え、かつての剣客の面影はどこにもありませんでした。

 土井新蔵がニシン場を追い出されそうになっていた時、ちょうど彼に恨みを持つ者たちがニシン場を襲撃。

 衰えた土井新蔵はなすすべなく殺されてしまうかと思われましたが、殺気と刃の光を浴びた土井新蔵の意識は若かりし日の「人斬り用一郎」へと遡ります。

「列に並べ」
「この『人斬り用一郎』を」
「殺したい奴なんぞたくさんいる」

 手斧を奪い取り、機敏な動きでそれを襲撃者の足に叩きつけた用一郎。

 そこに土方歳三が現れます。

「私が『列の先頭』だ」

 用一郎の目に映っていたのは老いた今の土方ではなく、幕末の若かりし日の土方歳三でした。

 用一郎と彼を狙う襲撃者たち、土方一行の三つ巴となり、用一郎は近くの襲撃者から長ドスを奪い取り、襲撃者を切り裂きながらその場を離れます。

 その見事な動きに牛山も感嘆し、土方に用一郎を仲間に引き入れるのかと尋ねますが、土方は用一郎の心は既に擦り切れてしまっていることを察し、それを否定しました。

土方に止めをさされ、エトピリカに看取られながら逝く(死亡)

 逃げる中、意識が若い頃に戻っていた用一郎は、かつて汚れ仕事を請負い尽くした自分を切り捨てた「先生」の幻影を見、額を地面に擦り付けて嘆きます。

 そこに現れたのは、彼を追ってきた土方でした。

 用一郎に今の自分の想いを語る土方。

「北海道を独立させ」
「海外から移民を募り」
「多民族国家を築く」

「用一郎……俺はまだ」
「日本のために戦うぞ」

 その言葉に、用一郎の意識は若い頃から老人へと引き戻されます。

「土方歳三……」
「あんたが若いのは時間がとまって」
「いたからなんだな」

「俺は疲れたよ」
「長く生きすぎた」

 土方の斬撃を受け、静かに死を待つ用一郎。

 そんな彼に、土方は網走監獄の犬童典獄から取り戻してきたエトピリカのくちばしを渡します。

 それはかつて、収監される用一郎に彼の妻が、自分を忘れないよう手渡したものでした。

 介錯を申し出る土方でしたが、用一郎はそれを断ります。

「いや……このままでいい」
「楽に死ぬのは申し訳ない」

 かつて人斬りとして生きながら、北海道で最後はアイヌとして、人として生きた用一郎。

 彼は最期に亡き妻の幻を見ながら、静かに息を引き取ります。

 その頭上には、二羽のエトピリカが宙を舞っていました。



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