今回は藤本タツキ先生の大人気漫画「チェンソーマン」から、根本的な疑問の一つ「悪魔はどうして魔人になるのか」について検証してみようと思います。
チェンソーマン世界における魔人とは悪魔が人間の死体を乗っ取ったもの。
ただし魔人になった悪魔は、悪魔だった時より能力が低下してしまいますし、外見に特徴があるため人間に化けれるわけでもなく、悪魔にとっては何のメリットも無い行為に思えます。
本記事では悪魔と魔人の違いや特徴を踏まえ、何故悪魔は魔人になるのかについて深掘りしてまいります。
「チェンソーマン」悪魔とは?
悪魔の定義
悪魔とは人間がこの世に存在する物や概念に恐怖心を抱くことで誕生する化け物です。
あらゆる悪魔は自らが象徴する存在の名前を持って誕生し、能力や外見もその名前に準じたものとなることが多いです。
基本的に人間に対しては敵対的(一部例外はありますが)。
チェンソーマン世界において悪魔の存在は一般に広く認知されており、悪魔を狩るデビルハンターという職業が成立しています。
特徴①その名前が恐れられているほど力が増す
悪魔はその名前の存在が恐れられているほど力を増します。
鶏の悪魔は全く怖いイメージが無いため、一般人どころか野良猫に殺されてしまうほどザコ。
逆に闇の悪魔など人間が克服できない根源的恐怖を司る存在は超越者と呼ばれ、今まで一度も倒されたことがないのだとか。
人間に恐れられなくなった悪魔は弱体化するため、世界中で銃を規制することで銃の悪魔を弱体化させよう、といった試みもなされていました(嘘でしたけど)。
特徴②血を飲むと復活する
悪魔は重傷を負っていても、血を飲めば復活します。
その回復力はすさまじく、完全に死んでさえいなければ即座に復活できるようです。
ちなみにこの血は、人間の血でも悪魔の血でも問題ありません。
特徴③人間に似ている悪魔ほど人間に友好的
悪魔の外見は千差万別です。
前述した通り、悪魔はその冠する名前に準じた外見をとることが多いですが、中には人間に近い姿をとる悪魔も存在しています。
そして人間に似ている悪魔ほど人間に友好的とされています(ただし、悪魔は悪魔なので癇癪などで簡単に人を殺しますし、そもそも友好の定義が異なる場合も)。
特徴④契約に縛られる
悪魔は契約に縛られます。
悪魔にとって契約という言葉は絶対で、片方が契約を守れば、もう片方も絶対に守らなければなりません。
守れず破った方は死にます。
その為、デビルハンターなどは悪魔と契約を結んでその力を利用しています。
ちなみに、魔人は悪魔と契約を結べません。
特徴⑤現世で死ぬと地獄に、地獄で死ぬと現世に転生する
悪魔は死んでも転生するため、本当の意味で滅びることはありません。
現世で死ぬと地獄に、地獄で死ぬと現世に転生します。
転生後は別個体となるため、転生前の記憶はほとんど残っていません。
唯一の例外として、チェンソーマンに食べられた悪魔は転生することがなく、その冠する名前の存在ごとこの世から消え去ってしまいます。
「チェンソーマン」魔人とは?
魔人の定義
魔人とは人間の死体を乗っ取った悪魔です。
悪魔の時より素体となった人間に近い外見となりますが、人格のベースは悪魔で、悪魔としての能力も使用可能です。
特徴①悪魔であった時より弱くなる
魔人は悪魔であった時より弱くなります。
人間の肉体を使っているせいで能力が制限されている、ということなのでしょう。
悪魔の能力がどの程度制限されているかは個体差がありますが、血を飲めば復活するといった基本的な性質はそのまま受け継がれています。
特徴②悪魔の特徴が頭の形状に出る
魔人はその悪魔の特徴が頭の形状に出るため、見れば一目で魔人であることが分かります。
パワー(血の魔人)のようにツノが生えるだけの場合もあれば、顔面に銃が生えたり、サメ面になったり、変化の程度は千差万別。
素体が女子の場合は人間に近い外見をしていることが多いので、概ね漫画的作画都合によるものと思われます。
特徴③死体の記憶や人格に影響を受ける
魔人の人格の主体は悪魔ですが、死体の脳がしっかり残っている場合は、素体となった人間の記憶や人格に影響を受けることがあります。
暴力の魔人はかなり生前の記憶が残っていましたし、銃の魔人もその行動原理は素体となった人間の幼い頃の思い出でした。
デンジや武器人間との違いは?
魔人以外にも、デンジ(=チェンソーマン)や武器人間と呼ばれる者たちのように、悪魔と人間が融合した者は存在します。
彼らは悪魔が死体を乗っ取っるのではなく、悪魔が人間に心臓を捧げることで誕生した存在です。
魔人との最大の違いは、その人格の主体が悪魔ではなく人間であること。
普段の姿は魔人と違い人間そのものですが、肉体のどこかに変身のトリガーが出現し、それを引くことで悪魔の姿へと変身します。
また、悪魔の力の本体は心臓であり、心臓が無事ならたとえ死んでも血さえ飲ませれば何度でも復活することができます。
彼らのような存在は世界的にも珍しく、彼らを言い表す正式な呼称は存在しません。
「チェンソーマン」悪魔と魔人の違いは?
悪魔と魔人の最大の違いは「人の死体を乗っ取っているかどうか」です。
魔人とは人の死体を乗っ取った悪魔。
普通の悪魔よりは理性的であることが多く、デビルハンターとなるなど人間社会に適応している魔人も存在しています。
しかし、悪魔からすると弱体化を余儀なくされる上、乗っ取った死体の記憶や人格に影響を受ける恐れもあるなどデメリットばかり。
そのため悪魔が魔人となる理由については今のところ不明となっています。
「チェンソーマン」どうして悪魔は魔人になるのか?
作中では様々な魔人が登場していますが、そもそも何故その悪魔が魔人となったのか、その理由は明らかになっていません。
その為、ここではいくつかの可能性を検証してみたいと思います。
①生き延びるため
ファンの間で最も良く語られている説が、瀕死の悪魔が生き延びる手段として魔人化を選ぶのではないか、というもの。
生き延びるため止むを得ず、というのであれば動機としては十分ですね。
ただこの説には「死体があるならわざわざ乗っ取らなくても血を飲めば復活できるのでは?」という疑問がついて回ります。
血を飲めないほど瀕死だったり、そんな理性も残っていないほど追い詰められていたのなら「死体を乗っ取る=即座にその死体が持つ血液を全摂取」ということで、あり得ないわけでもありません。
ただ、そんなレアケースばかりが起こりうるかというと、やはり少し疑問が残りますね。
②悪魔の本能的なもの
他に考えられるのは、悪魔の本能的な行動によるもの、という説。
理屈ではなく、悪魔が自分たちを生み出した根源(=恐怖の源)である人間の肉体に引き寄せられるのは本能なんだ、と。
元々知性が低い悪魔や、追い詰められている悪魔ならこの可能性もなくはないですね。
ただ、知性の高い高位の悪魔が本能で動くかというと……なさそうかなぁ。
③知識や理性を獲得する(させる)ため
他に考えられるのは、人間社会の知識や理性を獲得するためでしょうか。
能力が弱体化しても、敵(人間)の知識を獲得したい、というのは生存戦略としては有り。
もともと人間に友好的な悪魔なら、人間社会に適応するために魔人となることを選ぶケースもあり得るでしょう。
そうでなくとも戦争の悪魔のように人間社会に潜伏するために死体(正確にはギリ死体じゃない)を乗っ取った例はあります。
また、人間(?)の側が悪魔を利用するために、わざと悪魔に人間の死体を乗っ取らせたケースも実際に存在しました(暴力の魔人・銃の魔人など)。
今のところどれが正解というより、①と③の説、どちらのケースもある、というのが可能性がありそうですが……
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