今回は「月刊!スピリッツ」で野原多央先生が連載中の「なんくるなんない!」について解説します。
この作品は思春期で超能力に目覚めた娘と、現実主義者で現役自衛隊員のつよつよお父さんの奮闘を描いたSFバトルアクション。
お父さんがただ超能力を持った子供たちに振り回されるのではなく、しっかり強くて負けてないところが魅力的な作品です。
本記事では「なんくるなんない!」のあらすじや登場人物の解説を踏まえ、その魅力を語ってまいります。
「なんくるなんない!」あらすじ
本作の主人公は、沖縄に住む自衛隊所属の父・比嘉雷吉と、中学二年生の娘・比嘉ハルコ。
父子家庭で、多忙な仕事ゆえに娘に構ってやれなかった雷吉は、思春期を迎えた娘にどう接していいかわからず、戸惑う日々を送っていました。
そんなある時、ハルコが初潮を迎えたその日から、彼女の周囲で不可思議なことが起こり始めます。
そして激昂と共に台風を吹き飛ばすハルコ。
雷吉に突き付けられたのは、ハルコがサイキックになったというSFな現実でした。
次々と現れるハルコと同い年のサイキックたち。
ほのめかされるサイキックと米軍とのかかわり。
その周囲で発生した超常現象を探ろうと送り込まれてきた研究者。
二転三転する状況の中で、雷吉は娘を守るべく奔走していくことになるのですが……
「なんくるなんない!」主な登場人物
比嘉雷吉(ひだか らいきち)
本作の主人公の一人であり、自衛隊・元空挺レンジャーの二等陸尉。
38歳、妻を亡くして娘のハルコと二人暮らしをしている。
思春期を迎えた娘との接し方に悩む娘想いの普通のお父さん。
ただし、その空挺レンジャーとして鍛えたフィジカルと技術はつよつよで、サイキックの子供たち相手に全く怯むことなく無双していく。
脳筋かつ超現実主義者で、幻術の類が全く通用しない。
比嘉ハルコ(ひだか はるこ)
本作のもう一人の主人公であり、雷吉の娘。
13歳(中学2年生)で、初潮を迎えたことを切っ掛けにサイキックに目覚める。
能力は念動力で、不安定だが台風を吹き飛ばすほどに強力。
基本的には明るく気の良い少女。
だが自分にあまり構ってくれず、話を聞いてくれない雷吉に強い不満を抱いており、時折爆発して暴走する。
謝花ミヅキ(じゃはな みづき)
ハルコたちが出会ったサイキックの少年。
見た目は美少女だが、実は男。
テレポーテーション能力を持ち、家庭環境があまり良くなかったことから家出中。
雷吉の隠し子という名目でハルコたちと一緒に暮らすようになる。
実はガジュマル森保育園というハルコと同じ保育園に通っていたことがあり、サイキックはみなその保育園出身であることが判明する。
久高キエ(くだか きえ)
ハルコの幼馴染でもあるサイキックの少女。
「ノロ」という沖縄に伝わるシャーマンの一族で、その後継ぎ。
サイキックは幻術で、幻を見せるだけでなく記憶を混乱させることもできる。
かわいいもの好きで、見た目美少女のミヅキにはしゃいでちょっかいをかけている(当初は女だと思っていたが、男でも二度美味しいのでありらしい)。
キヨという双子の弟がいるが、ノロは女系であり、弟の扱いはあまり良くない。
「なんくるなんない!」感想&評価
お父さん(雷吉)つよ……
この手の超能力ものは、無能力者は超能力者にひたすら振り回されるだけ、というのが定番ですが、本作の無能力者・雷吉はつよつよです。
元空挺レンジャーのエリートということもあり、その卓越したフィジカルと技術だけで超能力者の子供たち相手に無双。
子供たちに大人の凄さを見せつけてくれます。
一方で、雷吉がとんでもないスーパーマンかというとそんなこともなく、娘に対しては普通に不器用なお父さんで、二転三転する状況に振り回されて内心アタフタしています。
この強さのバランスが絶妙で、読み手を飽きさせることなく楽しませてくれる作品ですね。
こんな人におススメ
ポップな作風ではありますが、対象年齢は少し高め。
話の展開自体は別に大人向けというわけではないのですが、雷吉やハルコの葛藤は若い人には少しじれったさが先に立つような気がします。
分かりやすい話やキャラクターが好きという方には向かないでしょうね。
逆に、雷吉のキャラクターはハマる人にはとことんハマると思いますので、無双するリアルなお父さんが好きという方は、是非試し読みで一話だけでも読んでみてください。
コメント