「シャドーハウス」感想&評価(ネタバレ注意)~謎に満ちたダークファンタジーの魅力をあらすじ・考察付きで解説~


 今回は週刊ヤングジャンプで連載中、かわいらしさとホラーが融合したダークファンタジー「シャドーハウス」について紹介します。

 この作品は顔のないシャドー一族と生き人形という他に類を見ない独特の設定で話題となり、2021年4月にはアニメ化もされた人気作です。

 序盤はやや不気味ではあったもののゴシック風のかわいらしい雰囲気で進んでいましたが、謎が明かされるにつれて怒涛の展開を続くこの「シャドーハウス」。
 本記事ではその魅力について、物語に散りばめられた謎や伏線などのネタバレも交えて語ってまいります。

「シャドーハウス」あらすじ(ネタバレ注意)

あらすじ(シャドーと生き人形たちの謎に満ちた洋館での暮らし)

 物語の舞台は顔のない不思議な「シャドー」一族と、彼らに仕え「顔」役を務める「生き人形」たちが暮らす閉ざされた洋館

 そして主人公は主人の役に立とうと奮闘する生き人形の少女「エミリコ」と、その主人で顔のないシャドー一族の子供「ケイト」です。

 まだ子供であるケイトたちは部屋の外に出ることが禁じられていますが、エミリコは大掃除を通じて他の生き人形たちと知り合い、周囲に良い影響を与えながら成長していきます。

 そして訪れる「お披露目」と呼ばれる試験
 ケイトとエミリコはこの試練を見事に突破し、シャドー一族の中で成人として扱われるようになります。

 そして昼間に限っては自室の外を出歩くことを許されるようになるのですが、それを切っ掛けに彼女たちはシャドー一族の呪われた秘密を知っていくこととなるのです。

用語解説(シャドー/モーフ、生き人形、すす、お披露目、お呼ばれ)

シャドー(一族)
訪問者のない閉ざされた洋館で貴族の真似事をして過ごす一族。
その最大の特徴は「全身真っ黒なシルエット状の姿で常にすすを発生させていること」。
一人に付き一体、自身の世話をさせ「顔」を代行する「生き人形」がいる。
「偉大なるおじい様」を頂点とし、屋敷は「こどもたちの棟」と「おじい様と共にある棟」に分かれている。

その正体は擬態を得意とする寄生型の妖精、モーフが生き人形を利用して人格とすす能力を得たもの。
最初にモーフに生き人形を見せてその姿を擬態させ、生き人形と過ごさせ人格を獲得。最終的にはシャドーが生き人形の肉体を乗っ取ることが予定されている。

生き人形
「偉大なるおじい様」に命を吹き込まれた(とされている)人形。
シャドー一族一人につき一体の人形が配置され、身の回りの世話や主人の代わりに「顔」役となって感情表現を担当する。

その正体は近くの村から連れられてきた人間の子供たち。
「偉大なるおじい様」によって記憶を消され、人形だと思い込まされている。

すす
シャドーの身体から発生する黒い物体。
すすを多く発生させることができるシャドーほど高く評価され、これを操る能力を「すす能力」と呼ぶ。
すす能力には個人差があり、物理的な効果があるものや精神を支配するものなど様々。
すすは「すす炭」と呼ばれる高性能な燃料にもなるが、この煙は人間の正常な思考を鈍らせる。

お披露目
子供のシャドーとその生き人形の適性を調べる儀式であり試練。
これを突破した者は年齢に関わらず成人として扱われ、「顔つき」と呼ばれるようになる。

お呼ばれ
「おじい様と共にある棟」で暮らせるようになること、大人の仲間入りを果たすことを指す。
大人になったあとは「こどもたちの棟」との行き来が制限され、その者について口外することが禁じられるため、詳しいことは分かっていない。

要はシャドーが生き人形の身体を乗っ取って完全に一体化すること。


「シャドーハウス」主な登場人物(ネタバレ注意、声優含む)

エミリコ/ケイト

エミリコ(声優:篠原侑)
本作の主人公でケイトに仕える生き人形の少女。
外見は金髪ツーサイドアップのふわふわした雰囲気の美少女。
明るく天真爛漫でケイトのことが大好き。
ミスをすることも多く周囲から馬鹿にされることも多いが、運動神経が良く咄嗟の判断力に優れる。
お披露目の後は、ケイトとともにシャドー家の秘密を追う。

ケイト(声優:鬼頭明里)
本作のもう一人の主人公でエミリコの主人のシャドー。
従者であるエミリコの個性を尊重し、敢えて自分とは全く違う名前を付けている。
性格は基本的には淑女だが、疑り深くなったり激怒して取り乱すことも多い。
モーフ時代の人格を持つ特殊なシャドーで、すす能力により物体を自在に操ることができる。
エミリコのことをとても大切にしており、生き人形が人間だと確信してからは、おじい様に反逆して生き人形の解放を目指すようになる。

ショーン/ジョン

ショーン(声優:酒井広大)
ジョンの生き人形で黒髪の少年。
普段は冷静で正義感が強いが、非常に頑固で喧嘩っ早い。
ド近眼の癖に主人にあわせてメガネをしていない。
リッキーとは犬猿の仲。

ジョン(声優:酒井広大)
ジョンの主人。
素直で悪い人間ではないが非常に自由奔放。
ケイトに一目惚れして「婚約者になれ」といきなり宣言して呆れられている。
すす能力は「ジョンパンチ」と名付けられた岩をも破壊する一撃。

ルウ/ルイーズ

ルウ(声優:佐倉綾音)
ルイーズの生き人形で、赤毛で毛先がカールしたボブカットの少女。
非常に可憐な容姿をしているが、無口で無表情。
主人への忠誠心が強く、ある意味非常に模範的な人形。
お披露目のあとはやや表情が豊かになっている。
リッキーに好意を持っている模様。

ルイーズ(声優:佐倉綾音)
ルウの主人。
おしゃべりで非常に享楽的な性格、加えてナルシスト
自分と自分の顔であるルウのことを心底を愛している。
しかし当初はルウに対して「顔」以外なんの興味ももっておらず、怪我にも無頓着だった。
後に助言を受け、ルウに対してもそれなりに気遣いを見せるようになる。
すす能力は精神操作で、無意識にルウの忠誠心を高めていた。

リッキー/パトリック

リッキー(声優:川島零士)
パトリックの生き人形で金髪オールバックの少年。
非常に自信家ではあるが、同時にパトリックに対しては非常に献身的。
リッキーの方が頭が回るためパトリックをリードすることが多いが、それでもパトリックを立てている。
ショーンとは犬猿の仲。
ルウに好意を抱いている模様。

パトリック(声優:川島零士)
リッキーの主人。
他者に対して傲慢な態度を取ろうとするが、幼く能力も行動も伴っていない。
非常に傷つきやすく、リッキーを非常に頼りにしている。
お披露目の際にエミリコに励まされ、それが切っ掛けでエミリコに想いを寄せている。
すす能力には目覚めていない。

ラム/シャーリー(お披露目のその後は? 処分された?)

ラム(声優:下地紫野)
シャーリーの生き人形で緩くカールした黒髪ショートカットの少女。
非常に臆病でおしゃべりも苦手。周囲からは無能といじめられている。
リボンをつけた左手の人指し指をラミーと呼んでしばしば独り言を言っている。
計算が得意で、非常に記憶力が良く一度見たものは忘れない。
お披露目において、シャーリーが消えてしまったため不合格となり、顔のない人形(人格を消された人形)に戻されることが決まる。ただ、実際はシャーリーによって人格はそのまま。
その後はモーフとなったシャーリーと共にエミリコたちを陰から助ける。

シャーリー(声優:下地紫野)
ラムの主人。
シャドーとしての能力が弱く、人格が定まっていなかったため、言葉を発することもできなかった。
お披露目の際にようやく人格に目覚め、ラムの名前を呼ぶもゴール前で力尽きて消滅。
ただ、実際はシャドーとしての形を保てずモーフに戻っただけだった。
その後はラムを一族の洗脳から守りつつ、屋敷の秘密を探っていく。
モーフに戻ると同時に変身のすす能力に目覚めている。

ローズマリー/マリーローズ(ローブ様)

ローズマリー(声優:中原麻衣)
マリーローズの生き人形。
茶髪のふんわりした雰囲気のお姉さんで、非常に心優しい。
主人との仲は非常に良好。

マリーローズ(声優:中原麻衣)/ローブ様
ローズマリーの主人。
男装の快活な雰囲気の珍しいシャドー。
モーフであったころの記憶を持つ稀有なシャドーでもある。
ローズマリーをとても大切に思っているが、お呼ばれにより生き人形を乗っ取ってしまうことを知っており、お呼ばれを避けるためにわざと評価を下げていた。
お呼ばれしてしまい時間稼ぎのために亡霊騒ぎを起こしたが、エミリコたちに敗北する。
その後、おじい様に引き渡される直前、ケイトの助力を得てローズマリーとともに生存に一縷の望みをかけて崖下へ身を投げる。
ローブ様として亡霊騒ぎを起こし、仲間を集めようとしていた。

偉大なるおじい様

偉大なるおじい様(声優:土師孝也)
正体不明のシャドー家の主。デカい。
そのすすを摂取した人間に自分への忠誠心を抱かせることができ、すすを混ぜた特別なコーヒーを生き人形に飲ませ、その生き人形が主のシャドーに影響を与えることで、シャドー家全体を支配している。
その目的は不明だが、どうやらすす能力に長けたシャドーを欲している様子。


「シャドーハウス」感想&評価、アニメ第2期は?

これでもかというぐらいに謎と伏線が散りばめられたダークファンタジー

 「シャドーハウス」最大の魅力は、これでもかというぐらいに散りばめられた謎と伏線でしょう。

 始まった当初から不思議ではあった「シャドー」と「生き人形」という歪な関係とその正体。

 何となく怖いけど、キャラクターは可愛くて。
 不気味ではあるけど、穏やかに日々は過ぎて行って。

 けれどその裏ではやはり陰惨な物語が進行していて。

 シャドー家の秘密を軸として、ラスボスたるおじい様だけでなく、マリーローズやエドワードなど様々な者たちの思惑が絡み合い、次々と明らかになっていく秘密。

 ファンタジー、サスペンス、ホラー、様々な要素を含んだ実にクオリティの高い作品と言えるでしょう。

 勿論、シンプルにエミリコやケイトたち登場人物たちも非常に魅力的

 ただ、シャドーであるケイトたちの正体を考えると、中々きれいにハッピーエンドとはいかなさそうですが……う~ん。

 未だおじい様の思惑や正体も分かっていませんが、エミリコたち生き人形は勿論、シャドーであるケイトたちにも幸せになって欲しいものです。

大好評だったアニメ版、第2期は放送される?

 さて、先般アニメ第1期の放送が終了したばかりの本作ですが、今後アニメ第2期は放送されるのでしょうか?

 現時点ではまだ公式からの発表はありません。

 まあ、アニメ第2期を作るにはまだまだ原作のストックが足りませんから当然と言えば当然ですね。

 アニメの評判そのものは良かったですから、ストックが溜まって1~2年後には第2期がきっと放送されるのではないでしょうか。

 シャドー家と本格的に対決するエミリコやケイトがアニメで見れる日を楽しみに待つことにしましょう。

 その日が一日でも早く来るように、一緒に原作を応援していただければ幸いです。



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