今回は山口つばさ先生が「アフタヌーン」で連載中の青春アートストーリー「ブルーピリオド」から、村井八雲、鉢呂くん、桃ちゃんのかつての仲間「真田 まち子(さなだ まちこ)」について解説します。
才能と情熱に溢れた作家で八雲たちより2年早く藝大に合格したものの、物語開始時点で既に故人となっています。
本記事では判明している真田まち子のプロフィールや八雲たちとの過去、その死の経緯を中心に深掘りしてまいります。
「ブルーピリオド」真田まち子のプロフィール
基本プロフィール(誕生日、年齢、身長、出身地など)
誕生日 | 不明 |
年齢 | 不明(村井八雲と同い年) |
身長 | 不明 |
所属 | てつどーばし美術予備校(一浪) →東京藝術大学絵画科油画専攻(学生) |
出身地 | 広島 |
真田まち子は、村井八雲、鉢呂健二、柿ノ木坂桃代(以下、モモちゃん)のかつての仲間。
才能あふれる作家で八雲たちより2年早く藝大に合格したものの、物語開始時点で既に故人となっています。
見た目はショートカットの大人しそうな女性で、普段はメガネを着用。
口下手で決して活発なタイプではありませんが、根は頑固でこうと決めたら強面の八雲相手に一歩も譲りません。
変な大人に変な好かれ方をし(「私の息子と結婚して」)、変な嫌われ方をし、変なDMも良く来るタイプ(「僕はあなたの奴隷です」「わんわん」)。
家庭環境は決して豊かではなく、予備校に通っていた際は幾度もカビたパンを食し、お腹を壊していました。
村井八雲も認める才能と情熱に溢れた作家
真田まち子は、自信家の村井八雲が認めるほどの才能と情熱に溢れた作家です。
八雲も通っていた「てつどーばし美術予備校」でも、図抜けた実力を持つ作家として周囲から一目置かれていました。
藝大も現役合格確実と目されていましたが、インフルエンザで受験に失敗。
藝大には1浪して入学しています。
広島出身でその年から上京した真田がどうして予備校で有名だったのかは少し引っかかりますが、藝大対策のために定期的に東京の予備校で学んでいた、ということなのでしょうね。
高校時代から定期的に作品を発表し続けており、SNSのフォロワーは3万人。
身銭を切って個展も開いていました(作品が売れなければ予備校を辞めなくてはいけない状態 → 実際に辞めてまう)。
その作品の価値は、彼女の死後かなり高まっているようで……
「ブルーピリオド」真田まち子の人間関係
村井八雲:美術予備校の同級生
先にも少し述べましたが、真田まち子と村井八雲は「てつどーばし美術予備校」の同級生。
ともに藝大の現役受験に失敗した二人は、カビたパンを食べた真田がいきなりゲロを吐くという最悪の初対面を果たします。
八雲は当初、既に周囲から高い評価を受ける真田に嫉妬。
努力や才能、情熱では決して自分は負けていない。
真田の評価が高いのは、彼女が自分より恵まれた環境にあるからだ、と考えるようになります。
しかし実際の彼女は八雲と同じ地方出身の苦労人。
上達のため身銭を切って個展を開くなど、八雲よりずっと覚悟が決まっていました。
いつしか真田に追い付きたいと考えるようになった八雲。
その年、真田は藝大に合格し、八雲は不合格でした。
鬱屈した思いを抱えたまま、再び予備校に通う八雲。
しかし画材に貼られた真田からの付箋、
「まってるよ 真田」
それを目にした八雲は予備校を退学。
真田の元へ向かうことになります。
柿ノ木坂桃代、鉢呂健二:地元広島の友人
真田まち子にとって、モモちゃんと鉢呂くんは地元広島の友人。
元々真田と仲が良かったのはモモちゃんで、真田はモモちゃんの実家の寺の倉庫を借りて創作活動に勤しむ代わり、モモちゃんに絵の指導をしていたようです。
特にモモちゃんは非常に真田に懐いていたみたいですね。
鉢呂くんはそんなモモちゃんに実家のお寺に仏具の売りに来ていた営業。
真田の死後、鉢呂君は彼女の実家にお参りにいくなど、彼女の母親とも親しくしていたようです。
「ブルーピリオド」真田まち子の作品(松浦美桜香)
作中では真田まち子の作品として松浦美桜香さんの絵が使用されています。
松浦美桜香さんは2023年3月現在、多摩美術大学絵画学科油画専攻在籍しているの新進気鋭の作家。
すでに「シェル美術賞2021ユアサエボシ審査員賞」「Idemitsu Art Award2022学生特別賞」を受賞し、世間の注目を浴びています。
若くして世間から注目されていた真田まち子のイメージにぴったりですね。
無意識化に存在する深層世界と他者の記号的情報を融和させ、独自のバランスで崩し、再構成する造形表現を確立されているそうです(むずかしいのでよくわかりませんが)。
「ブルーピリオド」真田まち子は”殺された”(事故死)?
真田まち子の死の理由については、作中で二転三転違う内容が語られていました。
ある冬の夜、広島のモモちゃんの実家で創作活動に取り組んでいた真田。
彼女は八雲と言葉を交わした後、ホームセンターに画材などの買い出しに出かけました。
その後彼女は唐突な死を迎えます。
自殺するような流れではなく、八雲は「殺された」と語っていたため、当初は他殺と思われていました。
しかしモモちゃんの口から、真田は殺されたわけではないと、その死の真相が語られます。
どうやら真田は海にスケッチに行き、立ち入り禁止の区画に入ってしまったところを地元の人に怒られ体勢を崩して海に落下。
冬の海だったため、すぐに身体が動かなくなり溺死してしまいました。
客観的には事故以外の何物でもないのですが、真田の死を受け入れられない八雲は「殺された」と考えてしまっているようです。
八雲の真田に対する感情の重さが伝わってくるようなエピソードですね。
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