「ドラマクイン」感想&評価~あらすじ及び登場人物解説、タイトルの意味や炎上の背景、チェンソーマンに似ている?~


 今回は「ジャンプ+」で話題のディスコミュニケーションSFファンタジー「ドラマクイン」について解説します。

 この作品は宇宙人が隕石を破壊し地球を救い人類と共存している世界で、宇宙人に敵意を持つ青年と、宇宙人を食べてしまえる少女が、宇宙人をぶっ殺し、食べて証拠隠滅していく物語。

 嫌いと怒り、陰謀論が渦巻く過激で炎上必死な内容となっています。

 本記事ではあらすじや登場人物の解説を踏まえ、タイトルの意味や炎上の背景、この作品の魅力を語ってみたいと思います。

「ドラマクイン」あらすじ

 物語の舞台は9年前に宇宙人が隕石を破壊して地球を救い、人間と宇宙人とか共存するようになった日本。

 主人公の少女ノマモトは、宇宙人の社長が経営する工場で安月給でこき使われ、不満を溜めていました。

 そして宇宙人に不満を溜め込んでいたのはノマモトだけではありません。

 ノマモトは宇宙人の上司に絡まれていたところを同じ職場で働く青年・北見青嵐に助けられ、二人は宇宙人への不満を吐き出し合って仲良くなりました。

 ある日、北見は街で絡んできた宇宙人を殴り殺してしまい、その死体の隠蔽処理をノマモトに手伝って欲しいとアパートにやってきます。

 当初は細かく刻んで煮込もうとしていた北見でしたが、宇宙人の死体を食べてみたいと言い出すノマモト。

 宇宙人の死体はとんでもない悪臭を放つ上にクソ不味いのですが、ノマモトはそれを美味しいと感じ、容易く死体を食いつくしてしまえる特異体質だったのです。

 あっさり死体を食いつくしてしまったノマモトに、宇宙人に恨みを抱く北見はこう提案します。

「俺が殺してお前が食う」
「その繰り返しでいつか本当にこの街の宇宙人みんなスッキリ消えるかもな」

 これが二人の奇妙な共犯関係の始まり。

「ドラマクイン」タイトルの意味

 タイトルである「ドラマクイン」は英語のスラング「Drama Queen」。

 その意味は「悲劇のヒロインぶってるヤツ」というものです。

 作者の市川苦楽先生は「ドラマクインが誰を指す言葉なのか?」「果たしてそれは一人だけなのか?」という点に注目してくれれば楽しんでもらえるかもしれないとインタビューで語っておられました。

 その「ドラマクイン」の一人は間違いなく家族を宇宙人に殺され宇宙人を恨んでいる北見晴嵐。

 先生の言いぶりだと他にも「ドラマクイン」なキャラクターがいるようですが……?


「ドラマクイン」主な登場人物

ノマモト

 本作の主人公で17歳の少女。

 赤髪を二つ束ねの三つ編みにして垂らしており、目つきが悪い。

 詳細不明だが親とは縁を切っており、宇宙人が経営する工場で薄給で扱き使われていた(宇宙人死亡事故の責任を押し付けられクビになる)。

 能天気で刹那的な馬鹿。

 臭くて不味い宇宙人の死体をイカ焼きみたいで美味しいと感じる独特な味覚の持ち主で、北見が殺した宇宙人の死体を食べて処理する役割を担う。

 味もそうだがそもそも宇宙人の死体がどうやって彼女の胃の中にあっという間に納まってしまうのか謎(誰もツッコまない)。

北見青嵐(きたみせいらん)

 ノマモトと同じ工場で働いている黒髪の青年。

 妹と両親を宇宙人が起こした交通事故で亡くし、宇宙人に強烈な憎悪を抱いている。

 事故を起こした宇宙人は捕まっていない。

 隕石も宇宙人の陰謀に違いないとの思いを抱いており、宇宙人を殺してこの街から追い出したいと考えている。

イグラスカル

 宇宙人を殺す手配師という仕事をしている男性。

 ノマモトと北見が宇宙人を殺していることを察して一緒に仕事をしようと誘う。

 本当の目的は二人が宇宙人の死体を処理している方法を探ること。

 本人は宇宙人に恨みはなく、宇宙人に対し恨みを持っている連中の行動を眺めて楽しんでいる。

背骨(せぼね)

 イグラスカルの部下で黒髪黒目の若い女性。

 多分偽名だが、本名については言及無し。

 イグラスカルに命じられてノマモトらのサポートと監視を行うが、真面目な性格がたたってノマモトらに振り回されている。

 ノマモトが死体処理のキーマンであることを察知し、その秘密を探ろうと接近する。

リリィ

 北見が働く工場の新社長としてやってきた宇宙人。

 陽気でノリは軽いが、情に厚いようで北見のことを気にかけている。

 北見の家族を交通事故で殺した宇宙人そっくりだが、本人はそれは双子の弟の「ラリィ」であると説明している。

 北見のために他の宇宙人を虐殺したり理屈に合わない行動が目立つが……?


「ドラマクイン」炎上の背景

 ドラマクインは連載早々、海外を中心に炎上している作品です。

 その理由はこの作品が「宇宙人=移民」の風刺で、それを茶化しているような作風がけしからんというもの。

 作者は陰謀論、排外主義にでもハマっているのか、と。

 ただ作品を冷静に読んでみれば、作者自身は決して陰謀論にハマっているわけではなく、むしろそうした陰謀論者をシニカルに見ている立場。

 恐らく作者は炎上含めて全てわかった上で描いてますね。

「ドラマクイン」感想&評価

陰謀論ディスコミュニケーションコメディ

 この作品は「ドラマクイン(悲劇のヒロインぶったヤツ)」である北見と、ぶっ飛んだノマモトのディスコミュニケーションが魅力の一つ。

 北見は本気で宇宙人を憎み、この街から消し去りたいと思っているのですが、ノマモトはただ宇宙人が美味しいから食べたいだけ。

 たまたま利害が一致しているだけで、その想いは全くかみ合っていません。

 また北見は隕石は宇宙人の陰謀で、宇宙人は地球を侵略するためにやってきたと信じていますが、作中では別の人間が「宇宙人の技術力があればそんな回りくどいことしなくても侵略なんて一瞬」と論理的かつシニカルにその陰謀論を否定。

 北見自身は真剣なのですが、どうにも空回りして滑稽な印象がぬぐえません。

 そうした登場人物や設定の噛み合わなさが、何とも言えない味になっているコメディ作品と言えるでしょう。

 面白いですが、読む人間をすごく選びますね。

チェンソーマン風?

 「ドラマクイン」は「チェンソーマン」に似ているという点でも話題となっています。

 共通点は主人公の頭がぶっ飛んでいて、得体の知れないモノ(宇宙人or悪魔)を食べている点。

 確かに設定としては似てはいますし、意識した部分があるのは確かでしょう。

 ただノマモトはデンジと比べると少し知性があって、その上で全部投げ捨てているタイプ。

 デンジほど真剣にもなっていないし追い詰められてもいないので、より質が悪いと言えるかもしれません。

 チェンソーマンのような作品を期待する方には、少しそぐわない気がしますね。



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