今回は週刊少年ジャンプの傑作バレーマンガ「ハイキュー‼」から、主人公の一人にして天才担当「影山 飛雄(かげやま とびお)」について解説します。
当初の影山は誰より才能に恵まれていたにも関わらず、あまりにもバレーに対して一途過ぎたため、誰もついてこれず孤立していた不遇な少年でした。
「ハイキュー‼」とは、そんな影山が自分と同等以上にバレーに一途な日向翔陽と出会ったことで、チーム競技としてのバレーの奥深さ、面白さを学んでいく物語でもあります。
本記事では影山の作中での成長を、彼に与えた人物や名言、その後の進路なども踏まえて深掘りしていきましょう。
「ハイキュー‼」影山飛雄ってどんな奴?(声優含む)
基本プロフィール(身長、誕生日、声優など)
所属 | 烏野高校1年3組 → シュヴァイデンアドラーズ(Vリーグ) → Ali Roma(イタリア・セリエA1) |
ポジション | セッター |
誕生日 | 12月22日 |
身長 | 180.6cm → 188.4cm |
体重 | 66.3kg → 82.2kg |
最高到達点 | 335cm → 337cm → 348cm |
好物 | ポークカレー温卵のせ |
最近の悩み | 動物に嫌われている様な気がする → 長時間の移動がある時でももっとコンディションを完璧にしたい |
声優 | 石川界人(VOMIC版:前野智昭) |
影山飛雄は「ハイキュー‼」の主人公の一人。
まんまる頭と釣り眼が特徴で、性格は直情径行のバレー馬鹿。
決して地頭が悪い訳ではないのですが、能力の全てがバレーに全振りされていて成績は赤点を取るぐらいに悪く、語彙も非常に貧弱で罵倒はたいてい「ボゲェ」一択です。
中学時代からバレーの強豪校、北川第一中学で天才セッターとして頭角をあらわすも、スパイカーへの要求が高すぎたため周囲から孤立。
最後は上げたトスをチームメイト全員に無視されてしまいました。
ついたあだ名が「コート上の王様」。当然、皮肉です。
その後、名門校(白鳥沢)の受験に落ち、名将烏養監督が復帰した(ただし、実際は復帰後すぐに倒れていた)との噂を聞いて烏野高校に入学。
もう一人の主人公、日向翔陽と共に頂点を目指して躍進していきます。
その原点、姉や祖父とのエピソード
誰よりバレーを愛しており、バレーに対して真摯な影山の原点は、生まれた直後に遡ります。
0歳児の時から、9歳年上の姉の美羽(みわ)のバレーボールを唾液でベトベトにし、姉のママさんバレーの練習によちよちついて行っていた影山。
最初はただ体育館の色とにおいが好きなだけだった彼は次第にバレーにはまっていき、祖父の一与(かずよ)に一番ボールに触れるポジションはセッターだと聞いてセッターに。
実力をつけるにつれて相手が付いてこれず、手加減をするようになった影山。そんな彼に祖父はこう告げます。
「強くなればどんどん試合できるよ。どんどんバレーできるよ」
「強くなれば絶対に、目の前にはもっと強い誰かが現れるから」
その言葉を胸に、影山はより真摯に上を目指して突き進むこととなったのです(結果、中学時代はちょっと暴走したわけですが)。
ちなみに理解者であった祖父は影山が中学時代に死去。
姉は高校でバレーを辞めていて(髪を切るのが嫌だった)、ヘアメイクアーティストの道に進んでいます。
作中最高の才能を持つ天才セッター/必殺の変人速攻
パワー | 4 |
バネ | 4 |
スタミナ | 5 |
頭脳 | 5 |
テクニック | 5 |
スピード | 4→5 |
※最低1~最大5の5段階評価、→の後ろはVリーグ時点
<Vリーグ後の追加データ>
サーブ | 10 |
レセプション | 7 |
ディグ | 8 |
セッティング | 10 |
スパイク | 8 |
ブロック | 9 |
※最低1~最大10の10段階評価
作中で「天才」と位置付けられているだけあって、影山の能力は作中でも一、二を争うほどに高いものです。
特にトス回しの正確さは並ぶ者がなく、スパイカーの打点にピンポイントでトスをあげる様は一流の狙撃手さながら。
これを発展させた、高速で動き回る日向のスパイクにトスを当てる「変人速攻(マイナステンポ速攻)」は影山と日向の代名詞とも呼べる代物ですね。
トスだけでなく、サーブ、レシーブ、スパイク、ブロック全てにおいて隙が無く、特にサーブは日向から「殺人サーブ」と呼ばれるほど高威力です。
スパイクにしたって、本職のスパイカーよりいいコースに決めて周りをイラつかせてましたね。
また、バレーに関する頭脳は非常に優秀で、ゲームメイク能力も一流。
これだけの能力を持ちながら、慢心することなく貪欲に技術を学び続けるその様はまさにバレーの申し子と呼ぶべきものでした。
唯一の欠点は、コミュニケーション能力の欠如でしたが、それも烏野高校バレー部で日向らと切磋琢磨する中で改善されていきます。
「ハイキュー‼」影山飛雄の人間関係
越えられない壁(?)、大王様及川徹
作中序盤、影山にとって越えられない壁(?)として登場するのが、中学時代の影山の先輩にして強豪青葉城西のキャプテン、及川徹です。
中学時代、影山にとって及川は高い技術を持つ憧れの先輩でありライバル。
影山のサーブやブロックは、及川を見て学んだものだといいます。
しかし同時に、高いコミュニケーション能力を持ちチームメイトの能力を最大限に引き出す及川は、チームメイトに見放された経験を持つ影山にとってあまりに眩いものでした。
「俺は一生及川さんに勝てないのかもしれない」
こんな弱気な発言をする影山は、作中でもほとんど見たことがありません。
それでも影山は、チームとして戦い、勝つことを決意し、これを切っ掛けにセッターとして一皮むけることになります。
一方、及川は及川で影山の才能に嫉妬して色々拗らせており、この天才と凡人の戦いは「ハイキュー‼」の大きな見どころの一つとなっています(詳しくは及川徹の紹介記事で)。
北川第一中学時代のチームメイト、金田一と国見
北川第一中学時代のチームメイトであり、青葉城西に行った金田一と国見の存在は影山にとって一種のトラウマでした。
金田一と国見は、独りよがりなトスをあげる影山を完全に見放しており、最後の試合では完全に影山のトスを無視してしまいます。
「トスを上げた先に誰も居ないっつうのは、心底怖えよ」
しかも青葉城西戦では、及川が自分の知らない金田一と国見の能力を引き出していく様子を見せられてダブルパンチ。及川さんに勝てないと思っても仕方ありませんね。
一方、金田一と国見の側も、中学時代のあの最後を心の奥では悔やんでおり、高校で人間的に成長していく影山を見て、より一層その想いを強くします。
彼らが和解するのは卒業後何年も経ってから。
「また、一緒にバレーをやろう」
いつのことになるかは分かりませんが、こんな約束ができる関係って良いですよね。
相棒にして最大のライバル、日向翔陽
影山と日向の最初の出会いは中学最後の大会。
影山から見た日向は、才能はあるのに全くそれを活かせていない腹立たしい存在でした。
烏野高校で再会したときも、その印象は変わりません。
しかし、日向は影山以上に貪欲に上を目指し、走り続けました。
中学時代に周囲を置き去りにした影山が、時に置いて行かれそうになるほどに。
影山にとって日向は、自分のトスを最大限に活かせる相棒であると同時に、望んでいた最高の敵だったのです。
「強くなれば絶対に、目の前にはもっと強い誰かが現れるから」
走り続ける日向の存在に、祖父の言葉はやはり正しかったと影山は確信するのです。
「ハイキュー‼」影山飛雄の活躍と名言、その後の進路
独裁の王様から真の王様へ、卒業後はVリーグを経てイタリア・セリエAへ
技術はあっても独りよがりなトスばかりあげていた影山は、中学時代にその過ちに気づかされ、烏野高校で自分が思う以上のトスを要求してくる日向と出会ったことで、真の王様へと成長と遂げます。
スパイカーは最高のトスを待っている。
その脅迫(しんらい)に応えることで、影山は押しも押されぬ最高のセッターへと成長しました。
高校卒業後はそのままVリーグ「シュヴァイデンアドラーズ」へ入団、オリンピックには2大会連続で日本代表セッターに選ばれています。
そして2019年からはイタリアセリエAの「Ali Roma」に所属し、世界クラブ選手権の決勝ではブラジルリーグ代表の日向と対戦しています。
バレー馬鹿な天才が放つ数々のかっこいい名言
影山というキャラクターは、バレーに対してひたすら真摯であり純粋です。
それ故に、彼の言葉はとてもストレートに読者の心に刺さります。
「『諦めない』って口で言うほど簡単な事じゃねぇよ」
日向との初めての邂逅の際、影山が口にした言葉です。
諦めてきた人間を多く見てきた影山だからこそ、軽々しく「諦めない」なんて言葉を使うなと言いたかったんでしょうね。
しかし、日向は実際に最後まで諦めることはなく、影山は日向の存在を心にとどめることとなるのです。
「俺がいれば、お前は最強だ!」
「俺はもう謝んねぇ」
「謝んなきゃいけないようなトスは上げねぇ!」
「俺、今んトコ、及川さんより怖いモンないんで」
「俺が何かに絶望するとしたら、バレーができなくなった時だけだ」
とにかく真っ直ぐ。
ひたすらに真っ直ぐ。
天才でありながらどこまでも純粋な影山の在り方こそ、「ハイキュー‼」の最大の魅力の一つなのかもしれません。
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