今回はヤングジャンプで連載中の大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、本作のラスボスと呼ばれ最も謎と狂気に満ちた男、鶴見中尉-本名「鶴見 篤四郎(つるみ とくしろう)」について解説します。
ゴールデンカムイは明治末期の北海道・樺太を舞台に、男たちがアイヌ民族から強奪された金塊を求めて争いを繰り広げる物語。
鶴見中尉はその金塊を利用して北海道に軍事政権を樹立しようと目論む軍内部の造反者です。
本記事では、その狂気に満ちた風貌とキャラクターの裏に隠された鶴見中尉の過去や真の目的を中心に考察していきたいと思います。
「ゴールデンカムイ」鶴見篤四郎(鶴見中尉)のプロフィール
基本プロフィール(外見、性格、モデル、誕生日、年齢、声優など)
鶴見は日本軍第七師団に所属する陸軍中尉であり、日露戦争では情報将校だったにも関わらず最前線に駆り出され、多大な軍功を挙げた英雄です。
しかし第七師団は日露戦争で多大な犠牲を出したことが軍内部で批判され、冷遇されることに。
鶴見は戦友やその遺族に報いるため、北海道に軍事政権を樹立するというクーデターを計画しており、その軍資金としてアイヌの金塊を追い求めている、という設定です(少なくとも表向きは)。
外見は戦争中の負傷で欠損した頭蓋骨を補うためのホーロー製の額当てとギョロリとした目が特徴の中年男性。
正確な年齢は明らかになっていませんが、40歳程度と予想されています。
鶴見のモデルは、帝国陸軍第七師団歩兵26聯隊長の須見新一郎という説が有力ですね。
非常に優秀な軍人で、上層部の無茶な指示に憤りを抱いていたと伝わっていることからも、共通点が多い人物です。
圧倒的なカリスマ性と狂気を兼ね備えた不安定な性格で、その背景には彼の頭部の負傷、そして過去が関わっていると言われています(詳細は後述)。
ちなみに誕生日は12月25日、声優は大塚芳忠さんですね。
興奮するとおでこから脳汁を垂れ流す作中屈指のサイコキャラ
鶴見中尉は戦争で額に砲弾の破片をくらい、額の骨と前頭葉の一部を失う重傷を負っています。
そのため、無くした骨をカバーする形で額当てをして、脳みそが漏れるのを防いでいます。
とは言え、あまり丁寧な処置ではないようで、感情が昂ると鶴見中尉のおでこから脳汁(脳漿?)がダバダバと漏れ出すことも。
また、負傷して以降は情緒がやや不安定になり、狂気に満ちた一面を周囲に見せることが多くなったのだとか。
……まあ、脳みそが欠けたら普通死ぬか、良くて後遺症で再起不能でしょうから、その程度で済んでることがそもそも異常なんですけどね。
ちなみに主人公である杉元も後に脳みそがぶっ飛び、二人は同じ欠損を抱えた欠け友となります。
「ゴールデンカムイ」鶴見篤四郎(鶴見中尉)の人間関係
月島、鯉登、宇佐美らを巧みに信奉者とする(鶴見劇場)
第七師団において、本来は一中尉、一小隊長に過ぎない鶴見ですが、彼はその圧倒的なカリスマ性と人心掌握術で軍の内外に自らのシンパを形成し、クーデター計画の首魁となっています。
鶴見の熱狂的な信奉者と言えば、部下である月島、鯉登、宇佐美あたりが筆頭でしょうか。
鶴見は自らの協力者を増やすため、周到に目をつけた者の家族や関係者、過去の欲求やトラウマなどを調べ上げ、それを利用して芝居を打ち、相手にとって自分が唯一無二の理解者であり庇護者であると信じ込ませる手法を多用しています。
月島曰く「鶴見劇場」というやつですね。
月島は命を救ってもらった上に死んだと思われていた恋人の生存を伝えられ、鯉登は自身が誘拐された際に救出してもらったことで鶴見に心酔するようになりました。
ただ、どうも月島の恋人は既に亡くなっている節があり、鯉登に至っては誘拐そのものが鶴見による狂言だったことが明らかになっています。
月島は自身が騙されたことに薄々気づいていますが、半ば諦めのようにその疑念に蓋をし、鶴見に忠誠を誓っています。
鶴見と彼の信奉者たちの関係は、ある意味非常に危ういものと言えそうですが……
ウイルク、キロランケ、ソフィアとの長谷川幸一としての過去
かつて鶴見中尉は、ロシアのウラジオストクで長谷川幸一という偽名で写真師を営み、現地でスパイ活動を行っていました。
その時の彼には妻フィーナ、娘オリガという妻子もいて、彼女たちは鶴見の正体こそ知りませんでしたが、互いを想い合い、幸せに暮らしていたのです。
そんな鶴見たちの前に現れたのが、皇帝爆殺事件の首謀者として逃亡を続けていたウイルク、キロランケ、ソフィアの3人でした。
ウイルクたちは偽名を使って現地人を装い、鶴見から日本語を学び、日本へ出国するための準備を整えようとします。
しばし平穏な日々が流れますが、ある日鶴見がスパイであることが秘密警察にバレ、写真館が襲撃に遭います。
互いの正体を知った鶴見とウイルクたちは共闘し秘密警察を退けますが、その戦いの流れ弾(?)にフィーナとオリガが貫かれ、命を落としてしまいました。
その後、ウイルクたちは鶴見と別れることになるのですが……
「ゴールデンカムイ」鶴見篤四郎(鶴見中尉)の謎(目的)
鶴見中尉が金塊を狙う真の目的は何なのか?
鶴見中尉が金塊を狙う目的は謎に満ちています。
いえ、当初から彼はアイヌの金塊を軍資金としてクーデターを起こし、北海道に軍事政権を樹立することが目的と言っているのですが、どうも彼の言動を見ているとそれだけとも思えないんですよね。
北海道を手に入れ、戦友や家族たちに安定した生活をさせる、戦友たちが眠る土地を手に入れる……言葉としては綺麗なんですが、そんな理由だけで動いていると考えるには、鶴見の言動はあまりにも狂気に満ちています。
あるいはそうした大義も真実かもしれません。
しかし、それ以外にも鶴見を突き動かす真の目的があるのではないでしょうか。
アシリパとの対面で見せた狂気、妻子の復讐が目的かとも思われたが……
鶴見の真の目的を探る鍵と考えられるのが、彼がアシリパとの対面で見せた狂気です。
鶴見の発言を信じるならば、かつて鶴見(長谷川幸一)の妻フィーナと娘オリガを殺したのは流れ弾ではなく、ウイルクの放った銃弾。
アシリパにそのことを伝える鶴見は狂気に満ちており、相当にウイルクとその娘アシリパに恨みを持っていたことが分かります。
アイヌの金塊を奪おうとしたのも、ウイルクの娘であるアシリパを利用し戦わせようとするのも、全ては殺された妻子の復讐のためか、とも思われました。
しかし鶴見はあくまで目的は国家のため、大義ののため。
その途上に個人的な復讐が存在しているだけだとも説明しています。
未だ鶴見が全てを語っているとは考えにくく、彼の本心がどこにあるのかは分かっていませんが、果たして真相はどこにあるのか……
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