今回はファンタジーTRPGの原点にして王道「D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)」についてご紹介します。
D&Dは1974年にアメリカで発表された世界最古のRPG(ロールプレイングゲーム)。
現在は第5版まで発表されており、日本でも翻訳版がホビージャパン社から発売されています。
数多くのファンタジー作品に影響を与えており、今なお世界中で多くの人々に愛され遊ばれている傑作TRPGです。
なお、TRPG初心者向けの記事、用語集なども掲載しておりますので、よろしければ併せてご覧になってください。
「D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)」ってどんなゲーム?
数多くのファンタジー作品に影響を与えたRPGの原点
D&Dは全てのRPGの原点であり、王道のファンタジーTRPGです。
1974年にアメリカで発売されて以降、世代を超えて人々に愛され続け、2022年現在でルールブック第5版が発表されています。
海外では「ドラゴンランス」シリーズや「ダークエルフ物語」などD&Dを題材にした作品も多数発表されており、日本のファンタジーにも多くの影響を与えています。
有名どころで言えば「ロードス島戦記」。
あれはグループSNEでプレイされたTRPGリプレイが小説の元ネタになっており、その基本ルールはSNE発の「ソードワールド」なのですが、最初期のリプレイはD&Dのルールが流用されていました。
また、最近ですとコミック「異世界マンチキン」で、まんまD&Dのシステム(多少弄ってはいますが)が使われていますね。
基本用語(ルール・世界観)解説
第5版の基本ルールブックにおいて、プレイヤーは9つの種族、12のクラスから一つずつを選択してキャラクターを作成します。
ちなみに初期のD&Dではクラスを選べるのはヒューマンだけで、エルフやドワーフは種族それ自体が一つのクラスと見做されていました。
<種族>
・ヒューマン
・エルフ
・ドワーフ
・ハーフリング
・ティーフリング
・ドラゴンボーン
・ノーム
・ハーフエルフ
・ハーフオーク
大体ファンタジー好きの方なら名称でイメージが湧くかと思いますが、分かりづらいのもいくつかありますね。
ハーフリングは指輪物語の「ホ〇ット」です(版権の関係で名称が使えないので)。
ティーフリングは呪いなどにより悪魔に似たツノや尻尾が生えた人間、ドラゴンボーンはリザードマンです。
<クラス>
・ウィザード……学問としての魔法使い
・ウォーロック……異界の存在と契約した魔法使い
・ソーサラー……才能・超能力による魔法使い
・クレリック……信仰魔法の使い手
・ドルイド……自然の力を使う司祭
・バード……音楽の力を使う魔法使い
・バーバリアン……未開地の猛々しい戦士
・パラディン……尊い誓いを守る聖戦士
・ファイター……多彩な武器防具を使いこなす戦士
・モンク……気を使う武術の達人
・レンジャー……武器と自然の魔法を使いこなす戦士
・ローグ……隠密と様々な手技を使いこなす無頼漢
<世界観>
元々初期のD&Dはダンジョン探索をメインにしたゲームだったため世界観はほとんど作り込まれていませんでした。
それが後にクリエイターたちにより多数の背景世界が発表されており、スタンダードなファンタジー世界から魔法で動く列車や飛行機械が存在する世界、果ては宇宙にまで飛び出していきました。
とは言え、これらを遊ぶには専用のサプリメントが必要なため、基本的に背景世界は遊ぶ人それぞれが自由に設定すれば良いでしょう。
<特殊な用語>
DM(ダンジョンマスター)
D&DにおけるGM(ゲームマスター)のことです。
AC(アーマークラス)
D&Dでは基本的に鎧には「攻撃のダメージを減らす機能(防御力)」はなく、「攻撃を弾いて逸らすもの(=回避判定に使用する)」となっています。
そのため、分厚いプレートメイルを着ていても命中さえすればダメージは素通しとなります。
セービングスロー
通常の鎧では防げないような攻撃に対する抵抗判定で、攻撃の種類ごとに使用する能力値が異なります。
魔法
MP方式ではなくスロット方式。
そのためレベル毎に一日にどのレベル帯の魔法が何回使えるか予め決まっています。
また、ウィザードなど一部のクラスはレベルが上がれば即座にそのレベル帯の魔法を全て使えるわけではなく、魔法書などを入手して魔法を習得しなければなりません。
「D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)」のキャラクター(PL)
推奨パーティは4~6人(魔法使い、壁役、回復役、斥候は押さえておこう)
D&DはスタンダードなファンタジーRPGであり、基本的にプレイヤーは役割を分担し、4~6人のパーティを組んで遊ぶことが推奨されています。
もちろん成長すれば1人で複数の役割をこなすことができますし、マルチクラスなども可能ですが、ある程度システムに習熟していないと中途半端になりがちですから初心者にはあまりお勧めはしません。
ここでは4人パーティを組む場合に最も推奨される4つの基本職について紹介しておきます。
基本職①ウィザード~大器晩成、序盤の仕事は生き残ること~
知識をもとに最も多彩な呪文を操る魔法使い、それがウィザードです。
D&Dでは最も重要とされるクラスで、魔法による広域殲滅力はもちろん、多彩な魔法による状況対応力は冒険にはなくてはならないものとなっています。
最終的には間違いなく最強の存在となるのですが、序盤は使える魔法の数も少ない上、HPも低く雑魚敵の一撃で即死してしまうほど貧弱。
版を重ねて大分マシにはなってきましたが、D&Dにおいて低レベルウィザードの仕事はまず何より「生き残ること」だとされています。
ウィザードは使える魔法の種類が多すぎて使いこなすのが大変と言う方は、火力重視のソーサラーなどを選んでもいいかもしれません(ウォーロックは魔法戦士系)。
基本職②ファイター~物語には欠かせない存在だが後半中途半端になりがち~
ファンタジーと言えば剣を持って鎧を着こんで戦う戦士こそが主役。
ファイターは多彩な武器と防具を駆使して戦う王道の戦士。LVが上がるにつれて攻撃回数が増えていき、パーティの中では火力と壁役の両方を担うことができます。
しかしD&Dにおけるファイターは単に殴ればいいという単純なものでなく、成長の方向性をきちんと考えなければ何かと中途半端になりがちな難しい職業でもあります。
片手剣+盾や二刀流のスタイルだと後半攻撃力が不足。
両手武器だとAC(タンク役としての機能)が不足。
最終的にファイターなのにハンド・クロスボウを持った弓兵スタイルが最も強くなると言われています(ACは射撃武器に必要な「敏捷」の能力を優先することでカバーできる)。
実利とロマン、どちらを取るか……悩ましいところです。
代替クラスとしてはより戦術がシンプルでタンクとして優秀なバーバリアンや、様々なマルチクラスが面白いパラディンなどが挙げられます。
基本職③クレリック~回復役から前衛までこなせる万能職~
パーティの生存率を飛躍的に高める信仰魔法の使い手、それがクレリックです。
クレリックは回復魔法が使えるヒーラーであり、同時に純粋な前衛職には劣りますがある程度の近接戦能力も備えた万能職。
選択する信仰の領域(宗派)によって得意分野が違ってきますが、ヒーラーとしての能力を高める「生命の領域」がとにかく優秀です。
何人パーティであれクレリックは必須の職業と言ってよいでしょう。
ドルイドやバード、レンジャーなどのクラスも回復魔法を使えますが、ヒーラーとしては性能的にやや中途半端な印象がありますね(代替クラスにならないわけではない)。
基本職④ローグ~いるといないとでは安定感が段違いの便利屋~
いるといないとでは安定感と冒険の幅が大きく違ってくるのがローグです。
ローグは言ってしまえば便利屋であり、実はその役割は習得する技能を分担すれば他のクラスでもカバーできなくはありません。
しかし1人専門の斥候職であるローグがいるだけで冒険の安定感は桁違いに上昇し、できることの幅も違ってきます。
特に11レベルになると覚える「確かな技能」は、習熟ボーナスを足せるd20の判定において9以下の目を10として扱うことができるという破格の性能を持ち、ダイス目による事故がほとんど発生しなくなるのです。
安定感は低いですが「急所攻撃」による一撃の威力は魅力。アサシンとなって戦闘力を高めたり、アーケイン・トリックスターとなって魔法を使えるようになったりと、できることの幅も広く、成長の方向性という意味でも楽しみなクラスと言えるでしょう。
「D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)」を遊ぶには?
それでは実際に「D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)」を遊ぶために必要なものを紹介していきます。
基本となる筆記用具と仲間、時間と遊ぶ場所に加えて、次のものが必要となってきます。
ダイス6種類(極力全員分欲しい)
まず全員に必要なのが6種類のダイスです。
D&Dでは4面、6面、8面、10面、12面、20面の6種類のダイスを使用するため、極力参加者全員分のダイスを確保しておくと便利です。
使い回しでもいいんですが、人数が多いと時間がかかってストレスなんですよね。
プレイヤーズ・ハンドブック(お高いが全員分欲しい)
D&D第5版には基本となるルールブックが2種類存在し、そのうち可能な限り全員分揃えたいのがこちらプレイヤーズ・ハンドブック。
キャラクター作成とか判定とかの基本ルールが記されていますから、全員一度は目を通して欲しいですし、できれば全員が手元に持っておいてほしいです。
……とは言え、正直ちょっとお高いので、必須にするのは厳しいかな。
呪文とか必要なとこだけコピーするか、キャラクターシートにメモして使うのがいいかもしれません。
ダンジョン・マスターズ・ガイド他(DMは必須)
その他、DMに関して必須なのがDM側のルールが記されたダンジョン・マスターズ・ガイド。
こちらに関してはプレイヤーは特に読まなくても問題ありません(読んでるに越したことはないですけど)。
また、これ以外にも「モンスター・マニュアル」や各種背景世界を導入するためのサプリメントなども、DMは必要に応じて購入してください。
正直、全部揃えると結構なお値段になりますが、それだけの価値があるゲームであることだけは保証します。
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