「アオアシ」阿久津渚~クズからいい奴への印象変化が著しい”狂犬”、母親との過去、モデルとなったサッカー選手など~

 今回は「ビッグコミックスピリッツ」で連載中の大人気サッカー漫画「アオアシ」から、東京エスペリオンユースの狂犬「阿久津 渚(あくつ なぎさ)」について解説します。

 阿久津渚は主人公のアシトが所属するJユースチームの1学年上の先輩。

 傲慢かつダーティーな言動の目立つ男ですが、そのCBとしての実力は世代トップクラスです。

 強靭なフィジカルと高い戦術能力の持ち主で、作中後半はアシトの良き指導役となっていました。

 本記事では、登場当初は「クズ」そのものだったにも関わらず、後半がらっと印象が変わった阿久津渚のプロフィールや過去を中心にその魅力を深掘りしてまいります。

「アオアシ」阿久津渚のプロフィール

基本プロフィール(誕生日・身長・体重・声優など)

誕生日6月13日
身長183cm
体重74kg
血液型AB型
声優武内駿輔

 阿久津渚は主人公のアシトが所属する「東京シティ・エスペリオンFC」ユースチームに所属する1学年上の先輩。

 坊主頭と鋭い目つきが特徴の、狂犬のような雰囲気を漂わせた男です。

 性格は傲岸不遜な野心家。

 アシトにラフプレーを仕掛けて潰そうとしたり、暴言を吐いてチームを追い出そうとしたりと、ダーティーで攻撃的な言動が目立ちます。

 ただし、サッカーに取り組む姿勢は真摯であり、責任をしょい込み過ぎる意外な一面も。

 他人にも自分にも厳しく、そのことが悪い方向へ出ている典型的なキャラクターと言えるでしょう。

 アシトと同じセレクション入団ですが、作中でU-18代表に選出されるなど実力は世代トップクラス。

 付き合いの長い同期のメンバーからは信頼されています。

ポジションはCB、攻撃参加もできる守備の要

 阿久津渚のポジションはCB(センターバック)。

 1対1、競り合いの強さ、高い戦術能力と味方との連携、駆け引きの上手さなどが求められる守備の要です。

 ミスをすれば即失点に繋がる重要なポジションで、試合ではここの出来がチームの安定感を大きく左右します。

 フィジカルが強く、戦術や駆け引きに長けた阿久津にぴったりのポジションですね。

 加えて阿久津は攻撃能力も高く、CBでありながら状況によっては前線に出て点を取る動きも可能。

 作中では大友から「トゥーリオかよ」と評されていました。


「アオアシ」阿久津渚のモデルとなったサッカー選手は?

 阿久津渚にはモデルとなったサッカー選手がいます。

 ポジションやプレースタイルなどからすると、前述した田中マルクス闘莉王選手が、FWもできるCBとして似通っていますが、実は作者の小林先生がイメージしたのは別の人。

 小林先生はインタビューで、阿久津のモデルは本田圭佑選手だと発言しています。

フィールドにおいて最後まで残る確かな強さ、その象徴というのが、僕のなかでは本田圭佑選手でしたので、参考にさせていただきました。

 本田圭佑選手はあんなひどい発言やラフプレーは絶対しないので、そこは誤解しないでくださいとも言っていました。

 確かに歴代の日本代表選手の中でも、本田圭佑選手以上に心身ともにあれだけ”強い”イメージのある選手は中々いませんね。

 両者のどんな状況でも戦い続ける姿勢には通じるものがあり、言われてみれば「なるほど」といった感じです。

「アオアシ」阿久津渚と母親との過去

 阿久津渚のサッカーへの執念、ハングリーさは、その劣悪な家庭環境に端を発しています。

 父親は行方不明、母親は育児放棄。

 ユース入団以前の彼は、ゴミが散らかったアパートの一室で育ちました。

 未来の見えない環境の中、阿久津に偶然目を止めたのが福田監督

「ここから抜け出したいなら」
「才能で道を」
「切り拓くんだ」

 「東京シティ・エスペリオンFC」は奨学金制度なども完備されているため、才能さえあれば阿久津のような環境の人間でも道を切り拓くことができます。

 一方、阿久津がユースに入団することに対し、母親の反応は厄介払いできて良かったといわんばかり。

「引き取ってもらえるって」
「ことですよね?」

 阿久津がアシトに絡んできたのも、そうした家庭環境・過去が影響していました。

 過去を捨て、サッカーだけに集中していた阿久津でしたが、ある日突然、母親の千早から手紙が届きます。

 手紙の内容は「入院する」というシンプルなもの。

 母親はその時、すい臓癌が全身に転移し余命一か月の状態でした。

 戸惑いつつも母親に会い行き、今更こんな手紙を出した理由を問いただした阿久津。

「別に」
「ただ、寂しくなった」

 思っても見なかった母親の言葉。

 阿久津は過去の仕打ちを許すことはできないと言いつつも、

「ガキの頃、一度でいいから俺は」
「あんたに見てもらいたかった」

 と素直な気持ちを告げ、一晩中病室に付き添いました。

 その後、作中では母親の葬儀が慎ましやかに営まれる様子が描かれています。


「アオアシ」阿久津渚の印象変化が凄い

前半「クズ」「性格悪い」「嫌い」

 阿久津渚ほど物語の前半と後半でガラッと印象が変わったキャラクターもいません。

 前半の阿久津は、物語のヘイトをたった一人で集めんばかりの悪役。

 ユースのセレクションを受けに来たアシトに絡み、ラフプレーで潰そうとしていました。

 アシトがユースに入団して以降も、阿久津はやたらアシトに敵対的。

 愛媛からアシトを東京のユースチームに送り出してきたアシトの親を馬鹿にするような発言もあり、とにかく読者から「クズ」野郎と嫌われていました。

 後に阿久津の事情を知ると、恵まれた親を持つアシト(実際にはアシトも片親で決して恵まれた環境ではありませんが)に嫉妬して、こんな発言をしていたんだなぁ、とわかりますが、当時はただただクズ発言でしたね。

後半「いい奴」「かっこいい」「泣ける」

 阿久津の印象が変わり始めたのは、アシトがFWからDFに転向し、アシトと連携しだしてから。

 当初はアシトを無視し、試合中も自分の力で何とかしようとしていた阿久津でしたが、福田監督に叱責されてアシトと連携して守備をするようになります。

 その阿久津の的確なコーチングに、アシトの世界観が一変。

 アシトはDFの奥深さを知り、阿久津に指導してもらいたいと思うようになります。

 当然、阿久津がすぐ素直に指導するはずもありませんが、チーム状況もあり、アシトの熱意に根負けする形で阿久津は徐々にアシトの師匠役に収まっていきました。

 厳しい阿久津ですが、それだけに彼に認められた時のアシトの感動は大きく、試合でも素晴らしいコンビネーションを見せる様になります。

 また、こうしたアシトとの関係性だけでなく、3年生が引退した後、主将としてチームを引っ張る様になったことも阿久津の変化の一つです。

 チームへの責任感が芽生え、勝利のために仲間に頼ることを覚えた阿久津。

 周囲の仲間たちも自然とそんな阿久津を支えようと思うようになります。

 そこに母親との過去と和解。

 阿久津への評価は「いい奴」「泣ける」と一気に反転しました。



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