「ゴールデンカムイ」永倉新八~土方への恩義に報いんとする新選組最強の老剣客、その若い頃の姿、声優など~

 今回はヤングジャンプで連載中の大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、新選組最強と謳われた剣客「永倉 新八(ながくら しんぱち)」について解説します。

 正史においては局長・近藤勇らとの意見対立により新選組と袂を分かち松前藩に帰参し、後に小樽に移り住んで余生を過ごしたとされる人物。

 ゴールデンカムイにおいては、函館戦争を密かに生き延びていた土方歳三と再会し、土方の下で再びその刃を振るっています。

 本記事では新選組最強と謳われるその強さ、土方歳三との過去を中心に、最強おじいちゃんの魅力を深掘りしてまいります。

「ゴールデンカムイ」永倉新八のプロフィール

基本プロフィール(外見、性格、誕生日、年齢、声優など)

 永倉新八は新選組二番隊隊長にして新選組最強と謳われた剣客で、ゴールデンカムイの舞台とされる1907年時点で68歳(誕生日は5月23日)とかなりの高齢です。

 外見は禿げ頭と糸目が特徴の好々爺然とした小柄なおじいちゃん。

 72歳にして若々しい土方歳三と比べると年相応に老けている印象が強いものの、その剣の腕前は全く衰えを感じさせません。

 性格は基本的には落ち着いていますが、一皮むけば喧嘩好きの荒くれ者。

 ところどころで毒舌を発し、何かあればすぐ相手を叩き切って解決しようとする武闘派です。

 新選組と袂を分かち松前藩に帰参して余生を過ごしていましたが、本作ではかつての土方への恩義に報いるため、土方の下で金塊争奪戦に加わっています。

 ちなみに声優は菅生隆之さん、若い頃ver.は中井和哉さん。

 若い頃の姿は、今のおじいちゃんに黒髪を生やしただけって感じで、劇的にイケメンとかってことはなかったですね。

史実では晩年を小樽の地で過ごしたとされる新選組最強の剣客

 史実において永倉新八は「鳥羽・伏見の戦い」の後、局長・近藤勇らとの意見対立により新選組と袂を分かち、1915年、77歳に病で死去するまで晩年を小樽の地で過ごしたとされています。

 ゴールデンカムイは「土方歳三が実は生き延びていて」「永倉新八が土方と再会して彼の下で戦うことになった」IFの物語にあたるわけですね。

 さて、これまで永倉を「新選組最強の剣客」と述べてきましたが、新選組の剣客と言えば、天才剣士・沖田総司、牙突の人として知られる斎藤一などが有名です。

 一般的なネームバリューで言えば永倉は一段劣りますが、実際のところ新選組最強は誰だったのか。

 これについては当時のことなのでハッキリしたことはわかりませんが、永倉、沖田、斎藤の三名が特に腕が立ったことは間違いないようです。

 その中でここに優劣をつけているのが同じ新選組隊士の阿部十郎で、阿部によると実力は永倉、沖田、斎藤の順だったとか。

 実際、創作などでの知名度は沖田らに一段劣りますが、鳥羽・伏見の戦いでは決死隊を募って刀一つで敵に突撃するなど、相当な戦歴の持ち主だったようです。


「ゴールデンカムイ」永倉新八と土方歳三(若い頃)

近藤と対立しながらも土方を慕って新選組に尽くした過去

 史実において近藤とともに永倉と対立していたとされる土方ですが、ゴールデンカムイにおいて土方は永倉の理解者であり、永倉は土方がいたからこそ近藤と対立しても新選組に尽くしていました。

 永倉と土方は若い頃は互いに気が合い、永倉が問題を起こして腹を切らされそうになる度、土方が庇ってくれていたそうです(その原因の一つである女遊びに関して、永倉は土方が自分に教えたと主張しています)。

 そんな永倉が新選組と袂を分かったのは、鳥羽・伏見の戦いの後、江戸で近藤・土方と再会した時。

 そこで永倉は近藤から「俺の家来になるなら同志にする」と暴言を吐かれ、新選組を見限ったと言います。

 しかし後に永倉は、その喧嘩別れが自分を死地に追いやらないようにするためにうたれた芝居だったのではと思うようになります。

「お前は気性が荒くて馬鹿だが」
「剣筋だけは美しかった」
「美しいものは残すべきだ」

 そして土方と再会した永倉。

 永倉はかつて果たせなかった若き日々の恩義に報いるため、再び土方の下で剣を振るうことを決意したのです。

土方が死に場所を探していることを察しながらも……

「土方さん、あなたは死に場所が欲しいんじゃないのかね?」

 土方はゴールデンカムイにおいて、アイヌ民族の金塊を軍資金に、北海道を独立させてロシアに対する緩衝国とするために活動しています。

 その目的そのものは決して嘘ではないのでしょう。

 しかし永倉は、土方が心のどこかで死に場所を求めているのではないかと考えています。

 本来であれば土方は40年近く前に新選組と共に死んでいたはずの男。

 それが偶然生き延び、犬童の手によって飼い殺しにされてきました。

 死に損ねた、という悔いは土方の心に少なからず存在しているはずです。

 そしてそれは、土方によって生かされてしまった永倉も同じこと。

 叶うなら土方と共に戦って果てたい。

 それこそが永倉の願いなのでしょう。


「ゴールデンカムイ」永倉新八の活躍と名言

老いてもなお衰えぬその剣の冴え、凄まじき気迫

 永倉新八は老いたりとはいえ、その気迫、剣は今なお冴えわたっています。

「舐めた口利いてるとブッた斬るぞ」
「小僧」

 屈強な不敗の牛山に対してもこの調子。

 牛山としてはちょっと軽口を叩いただけだったんですが、温厚そうに見えて無茶苦茶気が短いですね。

 そして永倉がその強さを遺憾なく見せつけたのが、河口の街・茨戸で巻き込まれたチンピラ同士の抗争でした。

「一度この永倉新八に火を付けたら」
「全員の返り血を浴びんと鎮火せんぞ?」

 人皮刺青を手に入れようとするチンピラどもを、永倉は老人とは思えない凄まじい立ち回りでなます切りにしていきます。

 一方でこの時、戦いを指揮していた土方の気迫は味方の牛山をもたじろがせるほど。

 本当に、新選組のおじいちゃんたちは強くて元気ですねぇ。

土方への想いと後悔

「左様ならばこれまで」
「永々お世話に預かり」
「ありがたく存ずる」

 かつて近藤たちの暴言に怒り、こう告げて新選組と袂を分かった永倉新八。

 晩年になってあの時のやりとりが自分のための芝居だったのではと思うようになってきた頃、永倉は土方が密かに生き延び、収監されていることを知ります。

 犬童典獄に面会を要請しますが、土方に恨みを持つ犬童はすげなく却下します。

 一度は引き下がったかに見えた永倉ですが、すぐに引き返し、

「今すぐに面会させんと」
「頭カチ割るぞ」

 思いの丈が溢れたかのようなこの言動は、若き日のガムシン(我武者羅な新八、という意味のあだ名)を彷彿とさせますね。

 その後、別の看守の計らいで密かに土方との面会がかなった永倉。

 土方と過去の思い出を語り合い、そして最後に、自分を生かすために芝居をうったのかと問いますが、

「いや……お前が馬鹿で」
「嫌いだっただけだよ」

 土方はそう言って微笑むのみ。

 しかしそれこそが永倉にとって何より雄弁な答え。

 こうしたやり取りを経て、永倉は後に土方が脱獄した際には真っ先にその呼びかけに応じ馳せ参じたのでした。



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