今回はアニメ化も決定した”小説家になろう”発の人気ミステリ「薬屋のひとりごと」について解説します。
この作品は架空の中世・中華風帝国を舞台に、薬師の少女がその知識を活かして様々な事件を解決していく物語。
同時に二つの出版社からコミカライズされたことでも話題となり、どちらも高い人気を有しています。
本記事では「薬屋のひとりごと」のあらすじや主な登場人物、2種類の漫画版の違いなどを中心に解説してまいります。
「薬屋のひとりごと」とは?
「薬屋のひとりごと」は元々、小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿されたミステリ小説。
中世・中華風帝国の後宮を舞台に、下女の猫猫(マオマオ)がその薬師としての知識を活かして様々な事件を解決していく物語です。
「小説家になろう」内では注目度の低いミステリジャンルでありながら異例の人気作となり「主婦の友社」から出版。
その後「ヒーロー文庫」で新装刊され、現在(2023年3月時点)も連載が続いています。
2017年には「月刊ビッグガンガン」と「月刊サンデーGX」で同時に二種類のコミカライズ版の連載が開始。
2023年にはついにアニメ化も決定しました。
「薬屋のひとりごと」あらすじ
主人公の猫猫(マオマオ)は薬師として花街で働く少女。
しかし彼女はある日、人攫いによって後宮に下女として売り払われてしまいます。
それでも年季を勤め上げれば解放されると、前向きに、目立たないよう後宮で過ごそうとする猫猫。
しかし彼女は後宮内で続く皇子の連続衰弱死事件の真相を、その薬師としての知識によって見抜いてしまい、それが切っ掛けで美貌の宦官(?)・壬氏(ジンシ)に目を付けられることに。
更には玉葉(ギョクヨウ)妃に気に入られ、彼女付の侍女、毒見役として取り立てられてしまいます。
以来、壬氏や玉葉妃に振り回され、後宮内で巻き起こる様々な事件の解決していくことになる猫猫。
当初、壬氏は猫猫のことを単なる面白い手駒としか見ていませんでしたが、自分の美貌に全く反応しない猫猫に興味を持っていき……
「薬屋のひとりごと」主な登場人物
猫猫(マオマオ)
本作の主人公であり、医師である養父の手伝いをしながら花街で薬師として働いていた少女。
人攫いにより後宮に売り払われ、下女として働かされることになる。
年齢は初登場時に数えで17歳。
見た目は小柄で瘦せ型、目立たないが整った顔立ちをしている。
しかし花街では襲われる危険があるため、普段は敢えてシミ、そばかすを化粧で描いて醜く見せている。
基本的に人付き合いが得意でなく無口で不愛想。
毒薬に関する好奇心・研究欲が旺盛で、様々な毒薬を自分の身体で試すなどマッド的な一面を持つ。
花街で育ったため恋愛に関しては非常に冷めていて興味薄。
当初は壬氏のことも、その無駄に美しい容姿や粘着質な性格を理由に苦手としていた。
壬氏(ジンシ)
「性別が違えば国さえ傾ける」と称される美貌の宦官。
猫猫の能力に興味を抱き、後宮内で巻き起こる事件の解決に彼女を巻き込んでいく。
男女を問わず魅了する絶世の美貌の持ち主だが、そんな自分に全く興味を抱かず、むしろ蛞蝓(ナメクジ)を見るような目で見てくる猫猫に次第に好意を抱くことに。
能力は高く優秀なものの、黙っていても人が寄ってくる美貌の持ち主の為、好意を持った相手へのちょっかいのかけ方は幼児レベル。
公称は数えで24歳だが、実際にはもっと若い(18歳)。
その正体は皇帝の弟・華瑞月(カズイゲツ)。
当然、宦官ではなく男性機能も健在。
皇帝の弟としてはほとんど公の場には顔を出さず、普段は皇帝の裏切り者をあぶり出すために活動している。
皇帝からは皇位を継ぐことを望まれているが、本人はそれを拒否している。
一部にはその出自を疑う声もあり、猫猫は彼は皇帝の弟ではなく、皇帝の妃の一人・阿多妃の死んだとされる子供ではないかと推測していた。
高順(ガオシュン)
守役として壬氏が幼い頃から彼に使える武官。
忠義に熱い苦労人で、豪快で人の好い人物。
実は宦官ではないが、後宮に出入りする立場から間違いが起こらないよう、性欲が減退する薬を服用している。
妻子持ちで既に3人の子供がいる。
玉葉(ギョクヨウ)妃
後宮内で最も格の高い4人の上級妃の一人。
年齢は数えで19歳。
家庭的な雰囲気の持ち主で、猫猫を気に入って侍女に引き立てる。
後に東宮を出産し、皇后となる。
梨花(リファ)妃
後宮内で最も格の高い4人の上級妃の一人。
年齢は数えで23歳。
メロンのような豊満な肉体を持つ美女で、気品と賢さを併せ持つ完璧な女性。
ある毒物が原因で衰弱死しそうになっていたが、猫猫によって命を救われる。
阿多(アードゥオ)妃
後宮内で最も格の高い4人の上級妃の一人。
年齢は数えで35歳。
皇帝が東宮だった時に妃となり、一度男子を出産したが、その際に運悪く子供の産めない身体となり、生んだ男子も死亡した(ことになっている)。
子供が産めなくなった時点で後宮からでるはずだが、皇帝に引き留められている。
壬氏によく似た美貌の持ち主。
漢羅門(カン・ルォメン)
猫猫の養父であり、花街で働く医者。
実はかつて後宮で働いていた宦官だったが、生まれたばかりの皇子を死なせた罪で片膝の骨を奪われ追放された過去を持つ。
後に猫猫の進言で玉葉妃の出産に合わせて後宮に戻ることになる。
ちなみに彼ら羅の一族は、他と異なる認識能力を持つ者を多く輩出し「狂人と天才の一族」と呼ばれている。
「薬屋のひとりごと」感想
筆者は元々この「薬屋のひとりごと」を「小説家になろう」版でのみ読んでいて、文庫化された小説や漫画版は読んでいなかったのですが、アニメ化の話を聞いて改めて一通り読んでみました。
文庫版はweb版と大筋では似通っていますが、恋愛要素がかなり多くなった気がしますね。
作者がweb版はノーマルエンド、文庫版はグッドエンドと言っている通り、文庫版はweb版と比べ大幅に加筆されており、特に壬氏の印象がかなり違う感じ。
また文庫版はイラストが「しのとうこ」さんなのがとても良いです。
”しの”さんは非常にリアルで美麗なイラストを描く作家さんで、個人的にはTRPG「ダブルクロス」のメインイラストをされていた時からの大ファン。
猫猫のらしさと可愛さがこの上なく完璧に表現されています。
「薬屋のひとりごと」漫画版2種類の違いは?
「薬屋のひとりごと」は同時に2種類のコミカライズが連載されており、その特徴と違いは次の通り。
「ねこクラゲ」版/ビッグガンガン
「ビッグガンガン」で連載されている「ねこクラゲ」先生版の特徴は、キャラクターが非常に可愛くデフォルメされていること。
キャラクター原案「しのとうこ」さんのイラストはリアリティ重視の美麗系ですが、「ねこクラゲ」先生の画風はそれが大分マイルドにデフォルメされて漫画らしくなっています。
とにかく読みやすく可愛らしい印象が強い作風ですね。
「倉田三ノ路」版/サンデーGX
対照的に「サンデーGX」で連載中の「倉田三ノ路」先生版の特徴は、リアル重視の画風と心理描写の巧みさ。
「しのとうこ」さんの画風に近いのはどちらかと言えばこちらで、キャラクターの心理描写に重点を置いた内容となっています。
話の展開が非常に速いのも特徴の一つですね。
どっちが面白い?
「どっちを読めばいいの?」
「どっちが面白いの?」
という疑問をよく聞きますが、結論から言えば好みの問題。
基本的にはパッと見た印象の絵の好みで決めればよいとは思います。
一般受けしそうなのは「ねこクラゲ」先生、ただ個人的に元々小説版で抱いていたイメージに近い「倉田三ノ路」先生版の方が好み。
何て言うか猫猫は、あんまり分かりやすい”可愛い”キャラクターでない方が……
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