今回はメディア展開が進む大人気ダークファンタジー「ゴブリンスレイヤー」の主人公について解説していきたいと思います。
「ゴブリンスレイヤー」は登場人物の固有の名前が登場せず、すべて肩書で描写されている特殊な作品で、主人公の名前はそのものずばりゴブリンスレイヤー(小鬼を殺す者)。
ゴブリンと言えばファンタジー定番の雑魚モンスターですから、いかにも小物臭い名前かもしれませんね。
本記事ではそんな特殊な呼び方をされるゴブリンスレイヤーの素顔や強さを中心に深掘りしていきたいと思います。
「ゴブリンスレイヤー」ってどんな作品なの?
漫画化、アニメ化、映画化とメディア展開が進むダークファンタジー
ゴブリンスレイヤーは、雑魚モンスターとされるゴブリンのみを狩り、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる冒険者の活躍を描いた物語です。
WEB小説から始まり、書籍化、漫画化、アニメ化を経て、映画化までされた大人気作品。
この作品において、ゴブリンは単独ではただの雑魚ですが、群れをなし狡猾なやり口を用いて、時に村や力ある冒険者を陥れることもある厄介な存在として描かれています。
そのくせ倒したとしても何の名誉にもならないので、ゴブリンの相手をするのはもっぱら新人冒険者たち。
そのため油断した冒険者がゴブリンに敗北し、悲惨な目に遭うこともこの世界では珍しくありません。そしてその凄惨な描写こそ、この作品が”ダーク”ファンタジーと呼ばれる所以です。
そんな世界において、油断することなく、淡々とゴブリンのみを狩り続ける熟練の冒険者、それがゴブリンスレイヤーなのです。
物語の舞台は「四方世界」、神々の骰子(サイコロ)遊戯(TRPG)が根底にある
物語の舞台は「四方世界」と呼ばれる典型的な剣と魔法のファンタジー世界。
実はこの世界は、神々が作り上げた骰子(サイコロ)遊戯の舞台でもあります。
この世界に住まう人々は神々が作り上げた駒であり、神々は偶然を模した骰子(サイコロ)を振り、世界の支配をめぐって「勝負」をしている、というのがこの世界の真相。
いわゆる、神々が行うTRPG遊戯ということですね(TRPGについての解説記事、また実際にゲーム化されたゴブリンスレイヤーTRPGの解説記事も用意しておりますので、興味のある方はこちらも是非ご覧になってください)。
そしてこの世界には勇者と呼ばれる超人や英雄も存在し、世界の存亡をかけて戦っています。
ただし、ゴブリンスレイヤーにとってそんなことは知ったこっちゃあないのですけど。
「ゴブリンスレイヤー」主人公ってどんな奴?
基本プロフィール(名前、素顔、等級、その過去など)
ゴブリンスレイヤーはこの物語の主人公であり、辺境の都市を拠点とする冒険者です。
作中では主にゴブリンスレイヤー(小鬼を殺す者)と呼ばれますが、仲間の妖精弓手(ハイエルフ)からは「オルクボルク」、鉱人道士(ドワーフ)からは「かみきり丸」とも呼ばれています(それぞれの種族に伝わる物語でゴブリン殺しの魔法の剣を指す言葉ですね)。
一見すると角が折れ薄汚れた鉄兜と革鎧、鎖帷子を身に着けた中肉中背の戦士で、ほとんどその素顔を晒すことはありません。
ただ、兜が壊れたときなど稀に素顔を人前に晒すこともあり、見た人の評価は「意外と悪くない」「戦士の相」「美男子」と意外に高評価でした。
15歳から冒険者となり物語本編が始まる20歳まで、ソロでひたすらゴブリンのみを狩り続けて銀等級(冒険者の等級で10段階ある内の上から3番目。第一位の白金等級は勇者、第二位の金等級は国家レベルの英雄を指すため、在野の冒険者としては最上位)にまで上り詰めた異端の経歴の持ち主。
10年前にゴブリンによって住んでいた村を滅ぼされ、目の前で姉を惨殺されて以降、ゴブリンを殲滅することだけを目的として生きており、ゴブリン意外のものにはほとんど興味を持ちません。
そのため報酬や名声、他者からの評価にはまったく無頓着で、周囲から呆れられたり怒られることもしばしば。また、ゴブリン専門という経歴やみすぼらしい風貌から周囲の冒険者たちからは侮られていました。
一方で、不人気なゴブリン退治を積極的に引き受けてくれる冒険者としてギルドからの評価は高く、「辺境最優」の冒険者と呼ばれることもあります。
外伝「イヤーワン」にて語られる師匠の正体(種族)は圃人(レーア)
詳しくは後述しますが、ゴブリンスレイヤーの戦い方は極めて合理的かつたちの悪いものであり、彼にその戦い方の基礎を教えたのが、外伝「イヤーワン」にて語られるゴブリンスレイヤーの師匠です。
師匠は10年前にゴブリンの襲撃からゴブリンスレイヤーを救い出し、彼が冒険者となるまでの5年間で、基礎的な戦士、斥候としての技術を授けています。
師匠は「忍び」と名乗っており、ゴブリンスレイヤーを助け、育てた理由は不明。
外見は只人(ヒューマン)ではあり得ないほど小柄で、老齢ということもあってゴブリンにさえ見えるしわがれた姿をしていました。
その正体は圃人(レーア)と呼ばれるこの世界独自の種族で、いわゆる指輪物語の〇ビットのイメージですね(版権の関係があるのでオリジナル種族を作ったのでしょう)。
英雄たちとも深いつながりがあり、相当な実力者であることだけは確かなようです。
「ゴブリンスレイヤー」主人公の強さ(能力)
特別な力を持たない「戦士」兼「斥候」、実はそんなに強くない?
さて、冒険者としてゴブリンスレイヤーのスペックを評価すると、技能的には魔法の使えない「戦士」兼「斥候」。
身体能力もごく標準的とされており、戦士でありながら正面切っての戦闘技術はそれほど高くありません。
第三位の銀等級の冒険者ではありますが、戦闘能力そのものはせいぜい第六位の翠玉等級相当と言われており、弱いとまでは言いませんが、はっきり言ってあまり強くないのです。
ゲーム的に言うと、ギルドへの貢献度にみて銀等級と評価されてはいるものの、ゴブリンみたいな雑魚ばっかり相手にしているせいでレベルが全然上がってないといったところでしょうか。
加えて言えば、本来冒険者の命綱であるはずの装備も貧弱。
ゴブリンスレイヤーの主武装は、狭い洞窟で振るいやすい普通のショートソードで、防具も最低限ゴブリンの攻撃を防げる程度の性能しかありません。
何故ならゴブリンを殺すのに魔法の武器防具など必要ないから。
万が一自分がゴブリンに殺されれば、その装備をゴブリンに使われてしまうかもしれないと考え、彼は最低限の武器防具しか装備していないのです。
骰子(サイコロ)を振らない戦い方でゴブリンだけを狩る専門家
ではゴブリンスレイヤーはただ雑魚を狩るだけの平凡な冒険者なのか?
いいえ、ゴブリンスレイヤーの真価は単なるキャラクタースペックではなく、その偶然を排した骰子(サイコロ)を振らない戦い方にこそあるのです。
この世界ではどんなに強い英雄であっても、運が悪ければ格下のゴブリンにおくれを取り、敗北することがあります。
それが、神々が骰子(サイコロ)を振るということ。
ゲームのように正面から骰子(サイコロ)を振り合えば、格下の敵から致命的なダメージを負うことだって十分に在り得るのです。
しかし、ゴブリンスレイヤーの戦い方はそうした骰子(サイコロ)を振りません。
ゴブリンを殺すためなら、火攻め水攻めは序の口、正面から戦うどころか建物や地形を破壊するような戦術、採算を度外視した高価な魔法のアイテムの使用も躊躇いなく行います。
また、正面から戦わざるを得ない場合においても常に優位を取れるよう立ち回り、ゴブリンの血を使って臭いを消したり、自分の武器が使えなくなればゴブリンの武器を奪い取って使い潰したりと、とにかく徹底しています。
こうした神々の干渉手段であるサイコロ(宿命や偶然)さえ及ばないゴブリンスレイヤーの戦い方、特殊性こそが、彼の強さ、魅力と言えるでしょう。
コメント