今回は週刊少年ジャンプの傑作バレーマンガ「ハイキュー‼」から、2m超の長身でプロ・オリンピック日本代表にまで上り詰めた男「百沢 雄大(ひゃくざわ ゆうだい)」について解説します。
百沢は素人に毛が生えた程度の技術ながら、身長という強烈な武器を以って主人公たちの前に立ちふさがったキャラクター。
主人公たちに敗北することで「身長が全てではない」というバレーの奥深さを示してくれたわけですが、その立ち位置から読者にはどうしても嫌われがち。
本記事ではそんな百沢の成長やその後の進路などを中心に語ってみようと思います。
「ハイキュー‼」百沢雄大ってどんな奴?(声優含む)
基本プロフィール(身長、誕生日、最高到達点、好物、声優など)
所属 | 角川学園高校1年6組 → 大日本電鉄ウォリアーズ(Vリーグ Division1) |
ポジション | ウイングスパイカー → ミドルブロッカー |
誕生日 | 4月3日 |
身長 | 201.2cm → 204.4cm |
体重 | 88.2kg → 96.7kg |
最高到達点 | 347cm |
好物 | やきそば |
最近の悩み | レシーブ難しい → レシーブ難しい |
声優 | 山本祥太 |
※月刊バレーボール2020年8月号ではオリンピック出場時に身長206cm、最高到達点346cmとの記載がありましたが、ここではコミックスやガイドブックの記載を優先します。
百沢雄大は春高宮城県予選三回戦で、角川学園高校の1年生エースとして主人公たち烏野高校の前に立ちふさがったキャラクター。
高校からバレーを始め、バレー歴半年未満と技術的には未熟ではありますが、その2m超の長身を武器に周囲の度肝を抜きました。
外見の特徴は何といってもその身長とそれに見合った立派な体格。
高校1年生だと背が高くても線が細い選手が多い(月島とか)ですが、百沢にそういったか弱い印象はありません。
性格は基本的には目上の人やチームメイトにきちんと敬意を払える真面目な少年ですが、その恵まれた体格ゆえに、どうしても小柄な人間を見下しがち。
しかし作中ではその価値観を主人公の日向に打ち砕かれ、『身長が全てではない』バレーの奥深さを知ることになります。
未熟ながら身長という武器の強さを示した2m超の巨人
パワー | 4 |
バネ | 3 |
スタミナ | 4 |
頭脳 | 2 |
テクニック | 1 |
スピード | 2 |
※最低1~最大5の5段階評価
<Vリーグ後の追加データ>
サーブ | 7 |
レセプション | 6 |
ディグ | 6 |
セッティング | 6 |
スパイク | 10 |
ブロック | 9 |
※最低1~最大10の10段階評価
百沢は烏野と対戦した春高予選がデビュー戦で、技術的には非常に未熟ですが、その長身と身体能力には目を見張るものがあります。
身長だけでなく、跳躍力・パワー・スタミナを兼ね備えており、中学時代までは野球部だったということもあって空間認知能力が非常に高いです。
百沢のスタイルは「高く上がったボールは全て打つ」というシンプルなものですが、素人には中々これが難しい。
百沢がバレー歴半年未満で曲がりなりにもエースとして活躍できているのは、身長だけでなく空間認知能力による部分も大きいでしょう。
一方で、高さが役立たない分野では非常に弱く、特にレシーブは物凄く苦手。烏野戦では後衛に回るとあからさまに周囲に守られていました。
プロ入りしてからも変わらず悩みに「レシーブ難しい」とありますから、弱点克服はできていないようです。
「ハイキュー‼」百沢雄大の人間関係
角川学園高校の仲間たちからはワンマン体制上等と頼りにされる
「ワンマンと言われようと」
「それが俺たちの『勝つスタイル』です」
普通、高校からバレーを始めた背が高いだけの男ばかりが目立っていれば、チームメイトはいい気分がしないもの。
しかし角川学園高校のメンバーは周囲に何と言われようと百沢を信頼し、百沢に全てを託すスタイルを変えようとしませんでした。
元々角川学園高校が無名校で、百沢がいなければ勝てなかったというのもあるかもしれません。
それでも、自分たちの力の無さを自覚し、百沢に全てを託すというのは決して簡単な決断ではなかったはずです。
チームメイト全員が信念を持って百沢の黒子に徹し、百沢もそれに応えようとする。
ある意味でとても強い信頼で結ばれた関係と言えるでしょう。
日向翔陽①登場当初は小柄な日向を憐れんでいたが……
登場当初、百沢はあからさまに挑発するようなことはなかったものの、対戦相手である日向のことを憐れんでいました。
「あの10番、あの身長で必死で飛んでるのに」
「なんか可哀想だなって」
どれだけ頑張って飛んでも、百沢は簡単に日向たちの上からスパイクを決めることができ、逆に百沢は簡単にブロックできてしまうのですから、そう思ってしまうのも仕方のないことでしょう。
しかし百沢のそうした思いは試合の中ですぐに覆されていきます。
百沢はスパイクをクロスにしか撃てず、それを見抜かれてレシーブされることが多くなり徐々に決定率が低下。
また守備面でも日向と影山の変人速攻のスピードについて行けず、またブロックに間に合ってもブロックアウトで点を取られてしまい、敗北。バレーの奥深さを知ることになるのです。
日向翔陽②一年生擬似ユース合宿「楽してこうぜ、百沢」
その後百沢は宮城県の一年生擬似ユース合宿で再登場します。
有望な一年生を集めた合宿に呼ばれた百沢ですが、技術的には周囲より格段に劣っており、合宿にまるでついていけません。
試合で百沢が活躍できていたのは、あくまで角川学園高校のチームメイトが彼をフォローしていたからなんですね。
そんな百沢を余計に悩ませていたのが、合宿に呼ばれてもいないのに乱入してきた日向の存在です。
百沢はでかいだけの自分なんかより日向が合宿に呼ばれるべきだったと愚痴をこぼすのですが、日向はでかいことは凄い才能だろうと百沢を励まします。
日向が自分を励ます理由が分からない百沢。
「だってお前を倒したい」
百沢は日向のシンプルな想いに驚きを隠せません。
日向はそんなことより、と気づいたことがあるから自分の代わりにやってくれと百沢にアドバイスします。
「楽してこうぜ、百沢」
それは大きく高くレシーブをして、楽なプレーをすることで自分にも味方にも余裕を作ること。
それまでと違い、高く余裕のあるトスからスパイクを決める百沢とそれを満面の笑みで迎える日向。
日向の存在は百沢の中でどんどん大きなものになっていったのです。
「ハイキュー‼」百沢雄大が嫌いと言われる理由
百沢は読者から嫌われることの多いキャラクターです。
その理由はひとえに、その立ち位置と第一印象が悪かったということに尽きるでしょう。
「バレーって、パスとか難しいけど」
「なんつーか……単純っスね」
バレーはシンプルに背が高い方が有利で強い。
小柄というハンディキャップをバネに戦う主人公・日向と対照的な立ち位置、考え方のキャラクターでしたから、非常に反感を買いやすかったですよね。
百沢自身は決して性格が悪い人間ではないし、当時の彼からすると「単純」と感じたのはある意味当然のこと。
実際、日向たちに敗北したあとはすぐにその考えを撤回しています。
「バレーが単純って言ったこと」
「取り消しますね」
ただ……一部の読者からすると当初の印象が悪すぎたのか、「嫌い」あるいは「噛ませ犬」という印象が後々まで強く植え付けられてしまったようです。
「『背が高い』=『敵役』」みたいな印象を持たれがちですが、「ハイキュー‼」は「身長が全てではない」と言っているだけで、身長が立派な武器であることは否定してないんです。
「ハイキュー‼」百沢雄大のその後の進路(プロ入り、日本代表)
百沢は高校卒業後、大日本電鉄ウォリアーズ(Vリーグ Division1)に入団してプロ入り、2021年のオリンピックには日本代表として招集され読者の話題をさらいました。
何せ登場当初は背が高いだけの噛ませ犬扱いでしたからね。
多分、他のどのメンバーが選ばれたことより意外に思った方が多かったのではないでしょうか。
ただまあ、客観的に見れば別に意外でも何でもないんですよね。
百沢の弱点は技術的な未熟さだけでしたから、経験を積めば長身を武器に手が付けられない選手になることは分かっていたことです。
百沢は「ハイキュー‼」において「身長が全てではない」ことと「身長が強力な武器である」こと、そのどちらをも象徴する存在だったのかもしれません。
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