今回はヤングジャンプで連載中の大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、言わずと知れた新選組鬼の副長「土方 歳三(ひじかた としぞう)」について解説します。
ゴールデンカムイは明治末期の北海道・樺太を舞台に、男たちがアイヌ民族から強奪された金塊を求めて争いを繰り広げる物語。
正史では函館戦争で戦死されたとされている土方ですが、本作では密かに生き延びており、金塊を巡る争いの中心人物の一人として活躍します。
既にかなりの高齢ではありますが、全く衰えを知らない戦闘力と迫力で物語を引き締め、枯れ専を満たしてくれる最強おじいちゃん、その魅力に迫ってまいります。
「ゴールデンカムイ」土方歳三のプロフィール
基本プロフィール(外見、性格、誕生日、年齢、声優など)
土方歳三は言わずと知れた新選組鬼の副長と呼ばれた人物で、ゴールデンカムイの舞台とされる1907年時点では既に72歳というご高齢。
しかしその髪や髭こそ白く染まり、肌もシワが目立ちはするものの、その風貌は生気と活力に満ち、戦闘能力は全く衰えを感じさせません。
どんな相手であれ利害が一致すれば手を組む懐の深さを見せる一方、一度敵と見做せば容赦なく切り殺す冷酷さ・合理性の持ち主。
刀と銃を振り回す、世間のイメージ通りの武闘派おじいちゃんですね。
誕生日は5月31日、声優はおじいちゃんver.が中田譲治さん、若い頃ver.中村悠一さんです。
函館戦争を密かに生き延び、アイヌの金塊を狙って暗躍する
正史において土方歳三は函館戦争で戦死したとされていますが、「ゴールデンカムイ」においては戦況の悪化した函館から密かに落ち延び、素性を隠して政治犯として投獄され、物語の舞台とされる1907年まで生き延びています。
その後、網走監獄でのっぺら坊と出会い、彼の目的に同調し、囚人たちを引き連れて脱獄。
脱獄後は仲間を集め、アイヌの金塊を狙って、主人公の杉元たちや第七師団の鶴見たちと激しい争いを繰り広げることになります。
杉元たちとは一時的に協力関係を組むこともありますが、土方の目的を考えると、最終的には決して相容れることはないでしょうね(詳細は後述)。
「ゴールデンカムイ」土方歳三の人間関係
土方陣営の仲間(永倉新八、牛山辰馬など)
土方歳三は鶴見率いる第七師団に対抗するため、北海道独立のための戦力を集めています。
その筆頭がかつて新選組最強と呼ばれた永倉新八と、刺青囚人の一人で不敗の柔道王と呼ばれた牛山辰馬です。
永倉新八は土方と違ってかなり老いており、普段は資金面や裏方で協力する右腕的存在ですが、その剣の冴えは衰えを知らず、作中では複数の武装した敵を瞬時に切り伏せています。
牛山は典型的な体力馬鹿で、別に土方に忠誠心があるわけではなく、金塊の分け前を目当てに土方一味に加わっただけなのですが、意外にも主戦力として(色んな意味で)活躍しています。
この他にも尾形や家永、門倉、有古など、人数こそ少ないものの癖のある面々を陣営に迎え入れているのですが、永倉を除くとまさに寄せ集めと言った印象で、とても一枚岩ではありません。
”のっぺら坊(=ウイルク)”とは目的の一致する同志?
アイヌ民族の金塊を強奪したとされる”のっぺら坊”。
土方歳三は網走監獄で”のっぺら坊”と出会い、その企みに乗って囚人たちの脱獄を主導した人物であり、”のっぺら坊”から唯一金塊についての詳細を聞いていました。
もちろん、”のっぺら坊”も全面的には土方を信用しておらず、全ての情報を明かしていたわけではありませんが、彼らの間である程度の目的の一致があったことは間違いありません。
”のっぺら坊”、つまりアシリパの父であるウイルクの目的は、北海道の少数民族を中心とした独立。
一方で土方の目的はロシアの南下に備え、北海道を独立させることで北への盾「緩衝国」として利用することにありました。
最終的な目的はともかく手段は一致していますね。
とは言え、土方の狙い通りにことが進めば北海道が戦乱の地になることは間違いなく、仮に”のっぺら坊”が生存していたとしてもどこまで協力できていたかは怪しい所です。
「ゴールデンカムイ」土方歳三はここがかっこいい(若い頃)
若い頃は杉元そっくりなイケメン
元々枯れ専ファンを魅了していた土方ですが、作中では新撰組時代の若い頃の姿も描かれており、そのイケメンぶりは、より多くのファンを興奮させました。
年をとっても味のあるおじいちゃんであることは間違いありませんが、若い頃はそれにわをかけてシュッとしたイケメン。
元々主人公の杉元は若い頃の土方に似ているという発言があったのですが、実際見てみると見た目だけでなく雰囲気や性格も杉元に似ていましたね。
そう考えると、ある意味で土方は杉元が今後歩むかもしれない未来の一つの可能性と言えるのかもしれません(環境も仲間も違うので、あくまで可能性でしかないわけですが)。
……ああ、あとこのセリフは杉元には言えませんね。
「俺は戦と馬と……女のことしか得意じゃない!」
物語を引き締めるシリアス担当、最強おじいちゃん!
主人公たちを筆頭として、どこかギャグ成分多めな「ゴールデンカムイ」のキャラクターにおいて、土方はとにかくかっこいいシリアス担当です。
「いくつになっても」
「男子は刀を振り回すのが好きだろう?」
「退却する者は斬り捨てる!」
土方が出陣し、檄を飛ばすととたんに物語が引き締まり、緊迫感が一気に高まります。
別に他のキャラクターがカッコよくないとか弱いとか言っているわけではなく、土方歳三と言うキャラクターが持つ格が違うといった印象でしょうか。
最大派閥である第七師団の鶴見も、脳汁垂らしてたりシリアスが馴染みませんしね。
また、土方はどこか死に場所を求めている印象もあり、それが余計にキャラクターの渋さを増しているのでしょう。
「ゴールデンカムイ」土方歳三の最期(死亡)
鯉登少尉との一騎打ちで脳に致命傷を負うも再び立ち上がり熊を斬り殺す
五稜郭での決戦の後、一時退却して態勢を立て直そうとした杉元・土方連合ですが、彼らは運悪く第七師団が乗った列車に飛び乗ってしまい、そこで再び鶴見たちと激突します。
土方と相対したのは鯉登少尉。
当初は気迫と経験で勝る土方が鯉登を圧倒していましたが、覚悟を魏に命を決めた鯉登の示現流の一太刀が土方の頭部を捉え、土方を破ります。
斬撃は明らかに土方の脳に達していたため、鯉登は土方が死んだと判断してその場を離れたのですが……土方はまだ死んでいませんでした。
死の間際で新選組として暴れまわった過去を夢に見、夢現のまま立ち上がる土方。
彼は再び立ち上がっただけでなく、列車に乗って暴れまわる羆をその太刀で撃退してしまったのです。
最後は杉元に刀を託し、悔しさを口にしながら逝く(死亡)
しかし土方も限界でした。
過去から現世へと意識の戻った土方は自らの死を悟り、杉元に自らの太刀と想いを託します。
「義に命をかける似たもの同士」
「私の受けた恩くらいは託させてくれ」
土方の太刀を手にその場を去る杉元たち。
入れ替わるように永倉たちがその場に現れ、土方の最期を看取ります。
「あの頃は面白かったなぁ」
「やっとこれから」
「もっと面白くなってくるはずだったのに……」
「あの頃より暴れてやろうと……」
「わが人生の春はこれからだと……」
「悔しいなぁ……」
決して満足できる死にざまではなかったでしょうが……それでも見事な最期だったと言わせてください。
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