今回は大人気漫画「文豪ストレイドッグス」から、名状し難き恐怖「ハワード・フィリップ・ラヴクラフト」について解説させていただきます。
ラヴクラフトは「白紙の本」を狙う組合(ギルド)の一員として登場し、元ネタとなった文豪のネームバリューと正体により読者を沸かせたキャラクター。
実は異能力者ではないどころか人間かどうかも怪しく、どうして組合に所属していたのかなど最後まで謎に包まれた存在でした。
本記事ではそんなラヴクラフトのプロフィールや能力、その正体などを中心に深掘りしてまいります。
「文豪ストレイドッグス」ラヴクラフトのプロフィール
基本プロフィール(年齢、身長、誕生日、声優など)
年齢 | 28歳(?) |
身長 | 190cm |
体重 | 可変(異能?によって変わる) |
誕生日 | 8月20日(?) |
血液型 | 不明 |
好きなもの | 捧げ物、睡眠、チョコレート、アイスクリーム |
嫌いなもの | 漁船 |
声優 | 武内駿輔 |
ハワード・フィリップ・ラヴクラフト(以下、ラヴクラフト)は「白紙の本」を狙う組合(ギルド)の一員として登場したキャラクターの一人です。
外見は波打った長い黒髪が特徴の痩せぎすの長身男性。
性格は挙動不審で面倒くさがり。板の木目を一つ一つ数えていたり、戦いの最中に「疲れた、眠い」とボヤくなどマイペースという言葉では片づけられないほどです。
組合での地位は職人(フェロークラフト)。
作中では同じ組合員で職人のジョン・スタインベックとセットで行動しています。
元ネタとなった文豪(クトゥルフ神話)
元ネタとなった文豪は言わずと知れたクトルゥフ神話の生みの親「ハワード・フィリップ・ラヴクラフト」。
クトゥルフ神話とはラヴクラフトが残した作品群の設定を体系化したもので、主に外宇宙から飛来した旧支配者と旧神の戦いや、それが後世に与えた影響を描いた物語です。
ラヴクラフトは自身の作品の設定を自由に扱って構わないというスタンスを貫いていました。
その結果、この「クトゥルフ神話」という設定を元に多くの作家たちが数々の素晴らしい作品を残し、今なおその世界観は広がり続けています。
ちなみに生前のラヴクラフトは文学的にあまり評価されておらず、生前に出版した単行本は僅か一冊だけ。
死後、その弟子たちによって未発表作品が出版され、文豪として評価されるようになりました。
「文豪ストレイドッグス」ラヴクラフトの異能力(?)
この「文豪ストレイドッグス」は「文豪」たちがその「作品の名を冠した異能力」を使って戦いを繰り広げる作品ですが、その中でラヴクラフトの能力は極めて特殊なものとなっています。
異能力(?):旧支配者(グレート・オールド・ワン)
名状し難い異能。太宰曰く、「異能ではない」
その能力は、ざっくり言えば蛸のような触手を持つ異形の化け物に変身するというもの。
凄まじい戦闘能力と生命力を有しており、銃で撃たれても平然としているどころか、作中最強格の出力を持つ中原中也の異能で吹っ飛ばされても時間が経てば平然と復活していたほどです。
そしてこの能力のポイントは「異能力ではない」という点。
これは異能力無効化能力を持つ太宰が触れても無効化されなかったことから、作中でもはっきり明言されています。
また能力名である「旧支配者」はラヴクラフトの作品名ではなく、作中に登場する外宇宙から飛来し太古の地球を支配していた者たちの総称。
江戸川乱歩の「超推理(異能力ではなく単なる素の推理力)」と同じタイプのものですね。
「文豪ストレイドッグス」ラヴクラフトの正体
異能力者でもなく、不可思議な能力を持つラヴクラフトの正体は作中でも明かされずじまい。
ただファンの間では恐らくその正体はクトゥルフ神話に登場する邪神「クトゥルフ」そのものか、それに連なるものだろうと言われています。
クトゥルフとは外宇宙から飛来し太古の地球を支配した「旧支配者」の一つ。
現在は海底奥底で眠りにつき、復活の時を待っているとされています。
旧支配者は邪神と呼ばれ強大な力を持ってはいますが、霊的な存在ではなく生命体。
「外なる神」など真に隔絶した力を持つ存在を祭る祭司、あるいは水属性の長といった位置づけです。
ちなみに小説「クトゥルフの呼び声」では目覚めかけたところを漁船の突撃を受けて撃退されており、ラヴクラフトの嫌いなもの「漁船」と合致しています。
「文豪ストレイドッグス」ラヴクラフトの活躍
作中でのラヴクラフトは組合のジョン・スタインベックとセットで行動し、武装探偵社たちと何度も衝突しています。
ラヴクラフトが特に活躍したのが夢野久作の捕獲から双黒との対決。
自分を傷つけた者を呪い、発狂させる精神操作系の異能力を持つ夢野久作。
ポートマフィアから解き放たれた彼は、街で出くわしたラヴクラフトに異能を仕掛けますが、逆にラヴクラフトの形容し難き「何か」を見て気絶し、ラヴクラフトたちに囚われ、組合の「横浜焼却作戦」の道具に使われてしまいます。
それを阻止すべくラヴクラフトの前に現れたのが、一夜限りの復活を果たした太宰治と中原中也の双黒コンビ。
この最強コンビの前にラヴクラフトも敗れ去りますが、双黒の真価が示されたのもラヴクラフトという理不尽極まりない強敵の存在あってこそのことでした。
「文豪ストレイドッグス」ラヴクラフトの謎
ラヴクラフトは最初から最後まで謎に満ちた存在でした。
その正体に関しては前述した通りある程度推察はできますが、分からないのはその彼がどうして組合に所属していたのか。
そして組合壊滅後どこに行ったのかという点です。
作中では常に億劫そうにしながらも、
「フィッツジェラルド君との契約は」
「果たさねば……」
と組合団長フィッツジェラルドと何らかの取引があり、フィッツジェラルドに対しては忠実。
そして組合壊滅後は契約は果たしたということなのか、「寝る」と言って海の中に消えていきました。
ラヴクラフトの正体は本当に「クトゥルフ」なのだとしたら、人間ごときが契約で縛れる相手とは思えないので、ラヴクラフトは「クトゥルフ」本体ではなくその眷属か端末。
ことが済んだ後は海底で眠る本体の元へ戻っていったということなのでしょう。
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