今回は大人気漫画「文豪ストレイドッグス」から、未だ謎に包まれた「隠居爺」こと「夏目漱石」について解説させていただきます。
夏目漱石は福沢諭吉や森鴎外といった各組織のトップでさえ頭の上がらない伝説的な存在であり、作中でもほとんど表に出てくることはありません。
本記事では未だ全容の見えない夏目漱石の異能力や、彼が登場人物に与えた影響などを中心に深掘りしていきましょう。
文豪ストレイドッグス、夏目漱石のプロフィール(声優含む)
基本プロフィール(概要のみ)
夏目漱石は作中において、どんな調査機関にも尻尾をつかませない神出鬼没の存在として語られています。
外見は口髭と顔の右半分を覆う長い前髪が特徴で、山高帽を被り西洋風の紳士然とした初老の男性。
武装探偵社の社長である福沢諭吉とポートマフィアの首領・森鴎外を引き合わせた人物であり、二人からは夏目先生と呼ばれています。
夏目自身は自分のことを「隠居爺」と自称し、既に一線を退いているようですが、作中では後継者である福沢諭吉と森鴎外の争いを見かねて登場しました。
声優は大塚芳忠さん。NARUTOの自来也、鬼滅の刃の鱗滝役などをなさった方ですね。
花袋を救い出し、「共喰い」で殺し合う福沢と森を制止
夏目漱石が本編で登場したのは、「死の家の鼠」に仕掛けられた異能ウイルスによって福沢諭吉と森鴎外が殺し合っていた場面でした。
致死性のウイルスに感染した二人。助かるためには、福沢と森のどちらかが48時間以内に死ぬか、感染させた異能者自身が解除するしかないという状況。
「死の家の鼠」のアジトを突き止めた田山花袋も敵に襲われ行方が知れず、互いの部下たちはトップを守るために全面衝突の危機にありました。
それを防ぐため、敢えて一騎打ちに臨んだ福沢と森。
そこに現れたのが、田山花袋を連れた夏目漱石でした。
「隠居ジジイには楽をさせろ!」
「何のためにお前らに」
「街を任せたと思っている?」
「儂が見込んだお主らの組織じゃ」
「鼠ごときが食い荒らせるものではない!」
「二人とも、それを証明してみせよ!」
一喝し、福沢と森、二つの組織の衝突を食い止めた夏目漱石。
ほんの僅かな登場でしたが、まさに千両役者と呼ぶべき貫録でしたね。
ちなみに田山花袋とは知り合いだったらしく、「夏目殿」「花袋の小僧」と呼び合う間柄です。
文豪ストレイドッグス、夏目漱石の強さ、異能力
異能力:吾輩は猫である
さて、太宰に「万物を見抜く最強の異能」と称される夏目漱石の異能力とはいかなるものなのでしょうか?
異能力:吾輩は猫である
三毛猫に変身する能力?
今のところ、猫に変身する能力なんだろうな、ということしか分かっていません。
まさか本当に猫に変身するだけではないでしょうし、恐らくはプラスアルファがあるはず(中島敦が変身した虎が、異能を切り裂いたりできるみたいに)。
猫形態の夏目漱石は、どうやら普段は武装探偵社の事務員、春野綺羅子が飼っている「ミィちゃん」として過ごしているようです。
振り返ってみてみると、作中の色んな所に「ミィちゃん」らしき三毛猫の姿がありますね。
一見すると強そうには見えないが……
とは言え、猫は猫。
中島敦が虎に変身するのと比べると、とても強そうな感じはしませんよね。
夏目漱石の異能力を考察するに、その能力の方向性には概ね二つの可能性があると思います。
①諜報特化。
②シュレディンガーの猫。
①は戦闘能力を全く持たないパターン。
例えば、実は夏目漱石が猫に変身しているのではなく、夏目漱石は街の至る所にいる猫と同化していて、猫を自分の身体に変化させている、とか。
「万物を見抜く」「尻尾をつかませない」という表現には近いのはこれでしょう。
②は猫繋がりでシュレディンガーの猫関連。
「殺したと思っても実は生きていた」的な、可能性を操作する能力です。
インパクトを重視するならこっちですかね。
逆に、直接的に戦闘に使える能力ではないだろうな、と思っています。
単なる戦闘向けの異能力ならお腹いっぱいですし、少なくともそういうのを太宰は「最強の異能」とは言わない気がしますね。
文豪ストレイドッグス、夏目漱石が与えた影響(ネタバレ注意)
福沢諭吉、森鴎外に三刻構想を託す
本編登場前から作中の登場人物に大きな影響を与えてきた夏目漱石ですが、その最たるものは福沢諭吉、森鴎外に託した三刻構想でしょう。
三刻構想とはヨコハマの街を守るべく夏目漱石の発案によって実現されたもので、昼を軍警、夜をポートマフィア、その間の夕刻を武装探偵社が取り仕切り、街の秩序を維持しようというもの。
これは支配権を時間で区切ろうというものではありません。
「昼=表社会」は軍警が、「夜=裏社会」はポートマフィアが取り仕切り、そしてその狭間のグレーな部分の厄介事を武装探偵社が担当しようという意味ですね。
夏目漱石は12年前に福沢諭吉と森鴎外を引き合わせ、それぞれを武装探偵社、ポートマフィアのトップに立たせることで三刻構想を実現しました。
武装探偵社の魂とも言える「異能業務許可証」も夏目漱石の尽力あってのものだと言われていますね。
織田作之助に小説家になる夢を与えた(あの本のタイトルは?)
そしてもう一つ、夏目漱石が大きく影響を与えたのは、ポートマフィア時代の太宰治の親友、織田作之助です。
織田作之助はかつて暗殺を生業としていましたが、ある本に出会ったことで殺しをやめることになります。
その下巻だけがないまま、夢中になって上中巻を呼んでいた織田作之助に、ある男が「酷い本だ」と釘を刺した上で下巻を与えてくれました。
その男こそが夏目漱石です。
下巻に夢中になる織田作之助でしたが、ラスト数ページだけが破り取られていました。
読みたいと願う織田作之助に、夏目漱石はこう告げます。
「ならばお前が書け」
「小説を書くということは」
「人間を書くということだ」
そして織田作之助は、いつか物語の結末を自分で書くため、自分自身も殺しを辞めることを決意するのです。
この本のタイトルは明かされていませんが、三部作であること、そして「人は自分を救済するために生きている、死ぬ間際にそれが分かるだろう」という言葉から、恐らく「こゝろ」ではないかと思われます。
後にこの出来事が太宰治にも大きな影響を及ぼすわけですが……そう考えると、夏目漱石という人物が与えた影響は本当に大きなものだったのですね。
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