今回はヤングジャンプで連載中の大人気漫画「ゴールデンカムイ」から、その意外な正体で読者を沸かせた男「菊田 杢太郎(きくた もくたろう)」について解説します。
菊田は日露戦争時代の鶴見の部下であり、再び鶴見の下で戦うことを望んで物語途中から鶴見一派にはせ参じた人物。
鶴見一派には珍しい知略に長けた常識人だったのですが、彼には意外な秘密が隠されていました。
本記事では杉元佐一との過去や、その最期(死亡)なども含め、菊田の正体について深掘りしてまいります。
「ゴールデンカムイ」菊田杢太郎のプロフィール
基本プロフィール(外見、性格、誕生日、年齢、モデルなど)
菊田杢太郎は鶴見中尉率いる帝国陸軍第七師団所属する軍人で、階級は特務曹長。
外見は苦みばしった雰囲気漂う体格の良いナイスミドル。
モデルとなった実在の人物はいませんが、顔のモデルは「イングロリアス・バスターズ」に出演した際のブラピだという説が流れており……まあ、言われてみればそう見えなくもないですね。
性格はやや粗野で好戦的なところはあるものの、一般的なゴールデンカムイの登場人物とは違って突飛な言動は少なく、第七師団の中では屈指の常識人と言えるでしょう。
戦時中に斃したロシア軍将校の銃器を鹵獲して多数コレクションしており、戦闘の際はそれらを二丁拳銃スタイルで次々持ち替えながらスタイリッシュに戦っていました。
誕生日は11月26日。年齢は40歳前後と言われています。
たたき上げの軍人で日露戦争時代は鶴見の下で共に戦っていましたが、日露戦争で負った負傷を癒すため物語開始当初は登別温泉で療養し、軍務から一時離れていました。
声優は堀内賢雄さん。
物語途中(初登場191話)から鶴見の下にはせ参じるが……
療養を終え、第七師団への合流を控えていた菊田は刺青囚人の一人である都丹庵士が第七師団の動きを探っていることを知り、彼と交戦。
一度は取り逃がすものの、部下の有古が都丹を仕留めたと聞き、都丹の人皮刺青を手土産に鶴見の下へはせ参じます(実際にはこれは別人の刺青で都丹は生きていました)。
合流後は基本的に鶴見中尉と行動を共にしていましたが、途中参加ということもあってか宇佐美ら初期メンバーからは階級が上にも関わらず見下した態度をとられ、鶴見一派内での自分の立ち位置の確保に苦慮している様子が見受けられましたね。
過去には鯉登少尉の誘拐計画にも参加しており、鶴見中尉との繋がりはそれなりに深そうだったんですけどねぇ……
ちなみに宇佐美とは「連続娼婦殺人事件」が起きた際にコンビを組んで捜査にあたらされるなど、色々因縁深い存在でもあります(宇佐美を「〇〇探偵」と名付けたことや、後に菊田の正体を見破ったのが宇佐美だったことも含め)。
「ゴールデンカムイ」菊田杢太郎の人間関係(過去)
戦友にして鶴見と土方に利用された二重スパイ、有古
菊田にとって日露戦争の戦友であり、部下である有古力松一等卒は別格の信頼を置く存在です。
有古はアイヌ民族の屈強な戦士で、アイヌ名はイポプテ。
有古の父は金塊強奪事件の被害者でもありました。
有古は刺青囚人である都丹と交戦した際、接触してきた土方歳三から父親をネタに勧誘され、第七師団を裏切ることを決意します。
そして土方が準備した偽物の都丹の刺青を持って菊田とともに鶴見の下にはせ参じるのですが、鶴見にはあっさり裏切りを見抜かれてしまいました。
有古は家族を人質に取られ、逆に攪乱のために多数の偽物の人皮刺青を持たされた上で、土方一派への二重スパイとして送り返されてしまいます。
しかし土方はそれさえ計算ずく。
彼の目的は鶴見が持つ偽物の人皮刺青を入手しておくことで、有古が二重スパイであることなど最初からお見通しだったのです。
こうして土方一派に身を置きながら誰からも信用されない苦しい立場に立った有古。
そんな彼に手を差し伸べたのが菊田でした(続きは後述の菊田の正体で)。
かつて弟の影を見た男、杉元佐一(ノラ坊)
菊田は過去に主人公の杉元佐一と出会っていたことが判明しています。
二人の出会いは約6年前。
故郷を飛び出し当てもなくフラフラしていた杉元は東京で陸士候補生たちともめ事を起こしてしまいます。
その場を収めてくれたのが、当時教官をしていた菊田軍曹。
菊田は杉元に飯を奢るかわりに、第七師団長の息子「花沢勇作(尾形の腹違いの弟)」の替え玉となって見合いをして欲しいと持ち掛け、杉元はそれに応じます。
この一件、父親は勇作を連隊旗手にしたいと考えていたのですが、母親は息子を死亡率の高い旗手にはしたくないと反対。
旗手は童貞でなければならないという暗黙のルールがあったため、母親は見合いを設定して息子の童貞を奪わせてしまおうとしていたんです。
それに対抗するために動いていたのが菊田、というわけ。
この見合いの替え玉騒動をきっかけに菊田と杉元は親しくなり、いつしか菊田は杉元に死んだ弟の影を見るようになります。
菊田は弟を「飯の食いっぱぐれはない」と軍に誘い、その結果、弟は日清戦争に参加して病気にかかって苦しみながら死んでいきました。
菊田はそのことを悔やんでいたのですが、杉元は菊田が切っ掛けで陸軍に入ってしまいます。
弟のことで自分を責め続ける菊田に、杉元は陸軍に入ったのは自分の意思、もう自分を許して前に進むように伝えます。
杉元の言葉に何かを吹っ切った菊田は弟の形見の軍帽を杉元に渡し、去って行きました。
杉元のあの軍帽は、菊田の弟のものだったんですね。
「ゴールデンカムイ」菊田杢太郎の正体と最期(死亡)
その正体は軍中央部が鶴見に送り込んだスパイ
見合い騒動のあと、菊田は陸軍第一師団から第七師団への転属を命じられます。
その目的は鶴見に取り入って、その動きを軍中央部へ報告すること。
要は鶴見が暴走しないか監視するスパイです。
軍中央部の命令で鶴見はアイヌの金塊を捜索していたわけですが、やはり鶴見が造反する危険性は軍中央部も最初から懸念していた、ということなのでしょう。
日露戦争以前からずっと菊田は鶴見を監視していたわけですね。
ちなみに、この時同じ部屋には尾形も同席しており、彼もまた軍中央部のスパイであったことが判明しています。
後に菊田は自身の正体を有古にだけ告げ、自分の下につくよう勧誘していました。
単純に信頼のおける味方が欲しかったというのもあったのでしょうが、それ以上に二重スパイとして苦しい立場にある有古のことを思っての勧誘だったのでしょう。
宇佐美によって正体を見破られ、鶴見・月島に射殺される(死亡)
アイヌ民族の金塊の在り処を示す人皮刺青の暗号が解読された直後、菊田は鶴見、そして月島によって射殺されています。
この時、実は菊田の正体を見破っていたのが、既に亡くなっていた宇佐美。
菊田は軍中央部と「デッド・ドロップ」と呼ばれる手法で、タバコの中に連絡文を仕込んでそれを特定の場所に落とすことでやり取りしていたのですが、それを宇佐美が見つけていたのです。
宇佐美は死の間際に鶴見にそれを渡していました。
あるいは、鶴見は最初から菊田を怪しんで宇佐美とともに行動させていたのかもしれませんね。
その後すぐに菊田を始末せず泳がせていたのは、菊田を殺せば軍中央部が鶴見の制圧に乗り出すことが分かっていたから。
菊田を殺したのは自ら退路を断ち、必ず金塊を手に入れるという鶴見の決意の表れでした。
菊田は鶴見に最期、こう告げます。
「あなたもお終いです。必ず殺されますよ」
「俺が言ってんのは中央のことじゃねぇ」
「あんたを倒すのはノラ坊(=杉元)さ」
「地獄行きの特等席」
「俺のとなりを空けておきますよ」
……いや、実に惜しい人物を亡くしました。
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