今回はその強烈すぎるストーリーとキャラクターで話題を攫った傑作漫画「チェンソーマン」より、かわいいマスコットキャラにして物語の鍵「ポチタ」について解説します。
ポチタは主人公・デンジと契約して彼の心臓となったチェンソーの悪魔。
チェンソーマン第一部ではポチタ(=デンジの心臓)を狙う者たちとの熾烈な争いが繰り広げられています。
そのかわいらしい見た目に反し、判明している過去や真の力は世界を揺るがすほど凶悪なポチタ。
本記事ではこれまでに判明している情報やその正体・謎について整理・考察していきたいと思います。
「チェンソーマン」ポチタのプロフィール
デンジの心臓となったかわいいチェンソーの悪魔
ポチタは主人公・デンジと契約して彼の心臓となったチェンソーの悪魔。
グロテスクな外見をしている悪魔が多い中、ポチタは犬のぬいぐるみに鼻からチェンソーが生えたような非常にかわいらしい外見をしています。
ポチタは怪我をして死にかけていたところを幼いデンジと出会い、彼に血を与えられて一命をとりとめ、互いに助け合うという契約を結びました。
以降、互いに唯一の友達として貧しいながらも共に幸せに暮らしていたデンジとポチタ。
しかしある日、デンジはゾンビの悪魔と悪魔に操られたヤクザの襲撃で殺されてしまいます。
ポチタも一緒に殺されてしまったかに思えましたが、ポチタはデンジの血を飲んで生き延び、そしてデンジの心臓となることで彼を生き返らせたのです。
ポチタの心臓を得て彼と融合したことで、デンジはチェンソーマンへと変身する力を入れ、物語は始まっていきます。
ちなみにアニメでの声優は井澤詩織さん。
多くの悪魔、国家からその心臓を狙われる物語の鍵
ポチタの心臓と融合して生き返ったデンジは、マキマにスカウトされて公安のデビルハンターとなります。
まあスカウトというか、実質は強制。
デンジは悪魔と融合した危険な存在となってしまったため、公安の監視下で彼らの役に立てば生かされ、役に立たなければ処分されてしまうという立場です(マキマの真の思惑は別にして)。
作中では、そんなデンジの心臓(=ポチタ)を狙って数々の悪魔や国家までもが襲い掛かってきました。
その襲撃は単なる一悪魔に対するものとは思えないほど大掛かりかつ執拗で「ポチタとは一体何者なのか?」というのがチェンソーマンという物語の一つの鍵となってきます。
なお、デンジの心臓となった後もデンジの一部となって生き続けており、物語の要所要所でデンジの精神世界に登場しています。
「チェンソーマン」ポチタとデンジとの契約
ポチタとデンジが結んだ契約
ポチタはデンジと3度に渡って契約(一部疑義有り)を結んでいます。
その契約の内容はおおよそ次の通り。
①デンジがポチタに血を飲ませ、助ける代わりにポチタもデンジを助ける。
②デンジが死んだらデンジの身体をポチタに渡す。
代償としてポチタは普通の人生を送るというデンジの夢を叶える。
③ポチタがデンジに心臓を渡す代わりに、デンジの夢(普通の人生を送る)をポチタに見せる。
①は二人が出会った際に結んだ契約。
②はポチタとの回想シーンでデンジが発言したもので、これが契約として成立しているかどうかは不明です。
③はデンジが死に、ポチタと融合した際の契約ですね。
第一部でマキマがデンジにパワーと早川アキをあてがい、幸せを味合わせてからどん底に叩き落したのは、デンジに、③の「普通の人生を送る」という夢を諦めさせるため。
デンジが夢を諦めれば③の契約は無効となり、融合は解けてポチタ(=チェンソーマン)が手に入ると考えたのでしょう。
契約内容は変更できる?
さて、ポチタとデンジの契約について不明瞭なままになっているのが上項の②。
仮にこれが契約として成立していたのであれば、ポチタはデンジが死んだ際、その肉体を乗っ取ってデンジの夢を叶えていなければいけません。
契約は絶対。守れなければ死んでしまいますからね。
しかし作中でポチタはデンジの肉体を乗っ取ることなく、ある意味②の真逆となる③の契約を結んでいました。
となると、②は契約が成立していなかった、あるいは契約内容を後から変更できることになってしまいます。
契約を後から変更できるとしたらあまりにルールが緩すぎますから、そもそも契約が成立していなかったと考える方が妥当でしょうね(ポチタがデンジの肉体を受け取る前だったのでギリ不成立とか)。
あるいは上項3つ全てが契約として成立していたと考える「ループ説」も囁かれていますが、そちらはデンジの考察記事で。
「チェンソーマン」ポチタの過去と正体(地獄のヒーロー)
その正体は地獄のヒーローチェンソーマン(悪魔を消し去る力)
今でこそかわいい見た目のポチタですが、元々は「地獄のヒーロー」と呼ばれた強力な悪魔だったことがマキマの発言から判明しています。
曰く、地獄で誰かが助けを叫ぶとやってきて、叫ばれた悪魔も助けを求めた悪魔もバラバラに殺されてしまう。
その行動のせいで多くの悪魔に目を付けられ何度も殺されているが、その度にエンジンを吹かして復活する。
そして何より恐ろしいのは、チェンソーマンに食べられた悪魔は復活せず、その名の存在がこの世から消えてしまうということ。
その結果、チェンソーマンの世界では、「ナチス」「核兵器」「第二次世界大戦」「エイズ」といった災厄が最初から存在しなかったことになっています。
この他にも、我々の世界にも実在しない「アーノロン症候群」「租唖」「比尾山大噴火」がチェンソーマンに食べられ消滅したことになっているのだとか。
こんな力、完全に悪魔の域を超えていますよね。
ちなみにこの設定は作者・藤本タツキが第一部中盤で思いついたものらしく、本格的にこれが活かされるのは第二部になるそうです。
8体(?)の眷属の存在
またチェンソーマンには、天使の階級の名を冠した8体の眷属が存在することも明らかとなっています。
そのメンバーは次の通り(階級順)。
対応する天使の階級 | 眷属 |
熾天使(セラフィム) | セラフィム |
智天使(ケルビム) | ビーム(サメの魔人) |
座天使(ガルガリン) | ガルガリ(暴力の魔人) |
主天使(ドミニオン) | ドミニオン |
力天使(ヴァーチェ) | ヴァーチェ |
能天使(パワー) | パワー(血の魔人) |
権天使(プリンシパリティ) | プリンシ(蜘蛛の悪魔) |
大天使(アークエンジェル) | 不在? |
天使(エンジェル) | 天使の悪魔 |
天使の階級は9つありますが、第8位の大天使に対応する眷属だけが空白となっており、作中でも存在するのかどうか不明のままとなっています。
また、眷属といってもチェンソーマンの記憶についてはかなり差異があるようで、ビームはしっかりチェンソーマンのことを覚えているようですが、パワーや天使の悪魔はほとんど記憶になし。
ただ、死ぬ前の地獄でチェンソーをふかす音を聞いた記憶だけが残っているのだとか。
はたしてチェンソーマンの眷属とは何なのか、そもそも眷属がいる悪魔とは何なのか……
実は「チェンソーの悪魔」ではなく、より強大なものを司る悪魔という説も
ポチタ(=チェンソーマン)の能力があまりに凄まじく、眷属まで出てきたことから、実はポチタは単なるチェンソーの悪魔ではないのではないか、という説がファンの間で噂されています。
確かにチェンソーへの恐怖から生まれた悪魔と言うには、ポチタの能力は規格外に過ぎます。
元々はより強大なものを司る悪魔で、チェンソーは後から加えられた属性だと考えた方が納得がいきますよね。
今のところ、天使の名を冠す眷属がいることから神や救世主を象徴する悪魔、あるいは世界から概念そのものを消滅させるその力から神に反逆する堕天使の王だったのではないか、という説が有力。
恐らく第二部でその秘密が明らかにされると思われますが……
「チェンソーマン」ポチタにまつわるその他の謎
デンジの夢に現れる扉とポチタの声「開けちゃダメだ」
デンジの夢には何度も同じボロボロの扉が登場しています。
その扉には向こう側からこちらをのぞき込む目と、「開けちゃダメだ」と夢の中で制止するポチタの声がしていました。
この扉の向こうに隠されていたのはデンジの過去。
デンジの父親は自殺したとされており、デンジもそう信じていましたが、実はそれはデンジ自身が自分を守るために改竄した偽の記憶でした。
幼い頃、デンジは父親に殺されそうになり、その手で父親を殺してしまいました。
周囲の大人(借金取り)はデンジから借金を回収するために父親が自殺したことにし、子供だったデンジはその忌まわしい記憶を扉の向こう側に封じ込めていたのです。
ポチタが「開けちゃダメだ」と訴えていたのは、その記憶がデンジが「普通の人生を送る」ための障害になってしまうと考えたからでしょうね。
第一話の回想でポチタにあった傷は銃創?
第一話の回想シーンでポチタは死にかけており、デンジから血を与えられ一命を取り留めますが、誰がポチタ(チェンソーマン)をここまで追い詰めたのか、という点は作中では謎のままです。
ここで改めて回想シーンのポチタを見てみると、腹には銃創のような傷痕があります。
銃創となると思い浮かぶのはあの銃の悪魔。
銃の悪魔は現代社会において最強の一角を占める悪魔で、13年前に世界中で暴れまわって以降、何故かその姿を消していました。
そして73話で、実は銃の悪魔が既に何者かによって倒されていたことが判明します。
この何者か、というのは明らかになっていませんが、こんな強大な悪魔を倒せる存在なんてそうそういませんよね。
そう、チェンソーマンです。
恐らくチェンソーマン(=ポチタ)は銃の悪魔と戦い倒したものの、重傷を負って死にかけ、そこをデンジに助けられた。
作中ではマキマも銃の悪魔を倒していますが、これはあくまでアメリカが保有していた20%の肉片から再生された不完全な銃の悪魔。
当時の100%の銃の悪魔となれば、チェンソーマンであっても相打ちに持ち込まれた可能性は高いです。
これを裏付けるのがビームの発言で、かつてビームはチェンソーマンがチェーンを使って建物から建物に高速移動していたと語っています。
しかしそれが地獄の出来事だったなら、現世に転生してきたビームはそのことを覚えていないはず。
つまりビームはチェンソーマンが現世で戦っているシーンを目撃したことがあるのです。
恐らくこの相手こそ、銃の悪魔だったのではないでしょうか。
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