今回はその強烈すぎるストーリーとキャラクターで話題を攫った傑作漫画「チェンソーマン」より、本作の黒幕「マキマ」について解説します。
マキマは公安退魔特異4課のリーダーで、デンジたちを公安にスカウトした美女。
登場当初からデンジを「犬」扱いするなど、怪しさ全開で黒幕説の根強い女性ではありました。
しかしいざ蓋を開けてみると、その予想を遥かに超えた悪辣かつ凶悪な外道であり、手の付けられない化け物。
本記事ではマキマの能力と正体、その真の目的と衝撃の最期(死亡)を中心に語ってまいります。
「チェンソーマン」マキマのプロフィール
デンジを公安にスカウトした魔性の女(名前の由来)
マキマは公安退魔特異4課のリーダーを務める美女。
ゾンビの悪魔を討伐に向かった先で主人公・デンジと出会い、公安にスカウトしました。
表向きはチェンソーの悪魔と融合したデンジに利用価値を見出し、デンジが公安で役に立っている間は駆除を保留した、ということなのでしょう。
外見は赤みがかった髪を後ろで三つ編みにした落ち着いた雰囲気の美女で、スタイルも抜群。
表向きは穏やかで優しく周囲から慕われていますが、デンジに対し「使えない犬は安楽死させられる」と告げるなど、非常に怖い女性でもあります。
ただ当のデンジはアホの子なのでそうした怖さをほとんど気にしておらず、マキマに抱く好意を利用され、都合よく使われていました。
ちなみに、名前の由来は「マキマ」から「キ(木)」をチェンソーできると「ママ」になるところからきているそうです。
つまり、デンジが彼女に求めていたのは恋愛感情ではなく母性だったということ。
声優は楠木ともりさん。
全ての黒幕であり、その力を使って多くの者を支配し、操っていた
登場当初から怪しさ全開だったマキマ。
自身も超一流のデビルハンターでしたが、当初その契約悪魔や能力は謎に包まれていました。
銃で撃たれて致命傷を負っても次の瞬間には何事もなかったかのように無傷で復活していたり、触れることなく敵を殺害したり、とにかく理解不能な描写ばかり。
怪しげな微笑みと裏で行う非道な振る舞いからも、マキマが物語の黒幕であることは当初からある程度予想されていました。
しかし真実はそれ以上。
マキマは読者の想像を超える外道であり、人知を超えた化け物でした。
デンジたちに倒された敵たちはマキマの能力によって支配され、その手駒として取り込まれていきます。
早川アキのように本人も気づかぬ内にマキマに支配されていた者もいました。
そしてマキマがデンジにパワーと早川アキを家族としてあてがったその時から、彼女の悪辣な企みは始まっていたのです。
「チェンソーマン」マキマの能力と正体(支配の悪魔)
マキマの正体は支配の悪魔
マキマの正体は「支配の悪魔」。
支配者に対する根源的な恐怖から生まれた極めて強力な悪魔でした。
その能力は一言でいうと「自分より程度が低いと思うものを支配する力」。
マキマが格下と認識していれば、あらゆる存在を支配し、操ることができます。
作中ではこの能力を使って生き物(死体でもよい)を操ったり、記憶や認識を改竄したりしていました。
これだけでも無茶苦茶チートですが、マキマは支配した対象の契約悪魔を使役することができるため、実質的には数えきれないほど多くの悪魔の力を使えることになります。
そして何より恐ろしいのがマキマの不死性。
マキマの肉体の耐久力はそれほど高くなく、作中では銃で撃たれるなどして何度も死んでいるような描写があります。
しかしマキマは次の瞬間には何事もなかったかのように無傷で復活しており、しかも全く消耗した様子がありません。
「何故死なない?」その理由は内閣総理大臣が結んでしまった契約
デンジや他の悪魔も程度の差こそあれ一定の不死性は持っており、首をもがれた程度では死なないことが多いですが、それでもダメージを受け、消耗した様子は見受けられます。
しかしマキマの場合はそれすらなく、最初から攻撃がなかったかのように平然としているのです。
その不死性の理由は84話でマキマ自身の口から語られました。
なんとマキマは内閣総理大臣と契約を結んでおり、彼女への「攻撃」は適当な日本国民の病気や事故に変換されてしまい、無かったことになってしまうのです。
つまりマキマを殺すには日本国民を皆殺しにするしかない、と。
何て契約を結んだんだ内閣総理大臣……まあ、マキマの能力で支配されてたんでしょうけど。
そもそも何で総理大臣が勝手に国民の命に関して契約を結べるんだって話ですが、アメリカ大統領もマキマを殺させるために銃の悪魔に国民の寿命を一年捧げてましたし、国の代表が持つ権限は悪魔との契約ではかなり重いようです。
また、マキマを殺す契約を結んだ銃の悪魔は、日本に上陸するなりひたすら国民を虐殺していましたが、これはこれで理に適った行動だったわけです。
「チェンソーマン」マキマの真の目的(何がしたい?)
マキマの目的はチェンソーマンの力を使って良くないものを消すこと?
さて、これほど強大な力を持つマキマ(=支配の悪魔)の真の目的とは一体何なのか?
「私はチェンソーマンを使って」
「より良い世界を作りたいのです」
マキマが執着するチェンソーマンには、他の悪魔にはない特殊な力がありました。
それは「チェンソーマンが食べた悪魔は、その名前の存在がこの世から消えてしまう」というもの。
既にこの世界では、かつて存在した多くのものがチェンソーマンに食べられ、記憶ごと消え去っており、ナチス、アーノロン症候群(架空)、第二次世界大戦、エイズ、租啞(架空)、比尾山大噴火(架空)、核兵器といったものが存在しません。
他にも第六感や子供の精神を壊す星の光、生命が寿命を迎えると死の他にあった4つの結末(=福音書のこと?)なども概念ごと消滅してしまいました。
マキマは「死」「戦争」「飢餓」、この世にはなくなった方が幸せになれるものがたくさんある、それらをチェンソーマンの力で消し去りたいのだと語ります。
……スケールでかぁ。
マキマがチェンソーマンを支配する上で障害となったのが、デンジとポチタ(=チェンソーマン)が結んだ「デンジが普通に生きて普通に死ぬ」という契約です。
彼女はその契約を破棄させるには、デンジに普通の幸せを諦めさる必要があると考えたのですが、デンジは元々ド底辺に生きていた存在なので、生半可なことでは絶望しません。
だからこそマキマはデンジにパワー、そして早川アキという家族を与え、それらを残酷に奪うことで「普通の幸せ」を諦めさせようと画策したのです。
チェンソーマンに敗北して食べられても良い?
しかしデンジとの契約という障害を破棄できたとしても、マキマがチェンソーマンを支配するためには、彼女がチェンソーマンに勝利し、彼の上に立つ必要があります。
いくらマキマが凶悪な力を持っていようと、理不尽の権化たるチェンソーマンに敗北して食べられてしまう可能性は十分にありました。
そのことを岸辺に指摘されたマキマ。
「それもまた私の望みです」
「私は彼のファンなんです」
チェンソーマンに食べられ、彼の一部になれるのであれば、それほど光栄なことはない、と。
第一部最終話で明かされますが、支配の悪魔はずっと他者と対等な関係を築くことを望んでいました。
恐怖によってしか関係を築けない彼女は、ずっと家族のようなものに憧れていたのです。
彼女が作ろうとしていた「より良い世界」とは、それが叶う世界。
だからこそ食べられ一つになるという結末は、まさしく本望だったのでしょう。
「チェンソーマン」マキマ衝撃の死亡シーンとナユタへの転生
契約の穴をつかれ、デンジに食べられて死亡(マキマ定食)
無敵かと思われた思われたマキマですが、デンジの奇想天外な手段により敗れ去ることになります。
チェンソーマンを支配するため、チェンソーマンと一対一の対決に臨むマキマ。
チェンソーマンはマキマの身体を何度も切り裂き、殺しますが、その死は全て周囲の人間の死へと変換されマキマには届きません。
素手でチェンソーマンをボロボロにし、その心臓をもぎ取るマキマ。
マキマが勝利を確信し、気を緩めた瞬間……死体の山の中からデンジが飛び出し、チェンソーでマキマを切り裂いたのです。
実はマキマが戦っていたのはデンジがもぎ取ったポチタの心臓。
もともとチェンソーマンの本体は、デンジの心臓となったポチタの心臓だったからこそ、こうした戦い方ができたのでしょう。
普通ならこうした奇襲はマキマに勘づかれてしまうでしょうが、マキマが関心があったのは徹頭徹尾デンジではなくチェンソーマン。
チェンソーマンを切り離したデンジには全く気付きませんでした。
そしてデンジがマキマを切り裂いたチェンソーはパワーからもらった血で作ったもの。
その血がマキマの中で暴れ続けているためマキマも回復できず(攻撃を他人に転嫁したはしから傷ついていく)、動けません。
しかし時間が経てばパワーの血の力も尽き、マキマは再び動き出してしまいます。
そこで最終的にデンジがとった手段が、マキマを食べて、一つになるというもの。
デンジはマキマの肉体を生姜焼きをはじめとした様々な料理に調理して、完全摂取してしまったのです。
マキマには「攻撃」は通じない。
しかし、マキマを食べるという行為はデンジにとって攻撃ではなく、マキマに対する「愛」。
マキマが内閣総理大臣と結んだ契約の認識の穴を運よく突けたため、「マキマ=支配の悪魔」はそのまま消化され、死亡しました。
第一部ラストでは新たな支配の悪魔「ナユタ」へと転生
デンジに消化された支配の悪魔ですが、悪魔は死んでも記憶をなくして別個体として転生するため、消滅することはありません(”チェンソーマン”に食べられるという例外は除いて)。
第一部最終話では「支配の悪魔」が転生した別個体「ナユタ」が登場しています。
マキマの死後、中国で発見されたマキマを岸辺が盗み出し、デンジの元へ預けました。
ナユタは見た目小学生ぐらいの少女で、目つきこそマキマに似ていますが、雰囲気はまるで別人。
ただ、マキマとしての記憶は残っていないにも関わらず、デンジのことを「ワンワン」呼ばわりするなど、どことなくマキマ通じるものはありました。
ちなみに、デンジは指を噛むその力でナユタをマキマと認識していましたね。
岸辺にナユタを押し付けられたデンジは、彼女を家族として迎え入れます。
そして彼女を「たくさん抱きしめて」あげました。
それはまさしく、支配の悪魔がかつて願った「より良い世界」そのものだったのかもしれません。
コメント