今回はその強烈すぎるストーリーとキャラクターで話題を攫った傑作漫画「チェンソーマン」より、恐らく作中で最も悲惨な最期を遂げた男「早川 アキ(はやかわ あき)」について解説します。
早川アキは公安に所属する主人公・デンジの先輩デビルハンターであり世話係。
常識のないデンジやパワーの手綱をにぎる苦労人であり、彼らにとって兄のような存在です。
最終的に銃の悪魔(魔人)となり、最悪の死に方を遂げた早川アキ。
本記事ではその過去と因縁、死亡に至る経緯を中心に深掘りしてまいります。
「チェンソーマン」早川アキのプロフィール(過去)
公安に所属するデビルハンターでありデンジたちの世話係
早川アキは公安に所属するデビルハンターであり、主人公・デンジの3年先輩にあたる人物。
マキマの部下であり、作中では彼女からデンジの世話係を命じられデンジと同居することになり、後に同居人に加わったパワーとともに絆を育んて行くことになります。
外見は頭の後ろで結わえた黒髪が特徴のイケメン。
公安に所属した当初は未成年、3年後の現在は成人しているということなので、年齢は20代前半と考えられます。
性格は、常識のない変人揃いの主要キャラクターの中にあって、屈指の常識人。
何だかんだ面倒見が良く、非常に情の深い青年です。
作者・藤本タツキ先生からその名前の由来が語られており、後述する「銃の悪魔」との因縁から、ロシアの有名な自動小銃「AK-47」をもじって「アキ」
また、こちらも後述するマキマへの好意が彼女の力によって植え付けられたもので、その好意の源泉が存在しないことから「空き(=アキ)」という意味もあるそうです。
第一回人気投票では3位、第二回人気投票では2位に大差をつけての1位と、最も読者に愛されたキャラクターでもあります。
声優は坂田将吾さん(幼少期は村瀬歩さん)。
銃の悪魔に家族を殺された過去
早川アキがデビルハンターになったのは、幼い頃に家族を銃の悪魔によって皆殺しにされたことがきっかけです。
そのためアキは悪魔、とりわけ銃の悪魔に強い復讐心を持っています。
銃の悪魔とは13年前に暴れまわった現代における最強の悪魔の一角。
現在は姿を消してその行方は知れませんが、その肉片が世界各地に散らばり、それを食べて力を増した悪魔が事件を引き起こしています。
悪魔の肉片は互いにくっつき、ある程度の大きさになると本体に戻って再生しようとするため、肉片を集めていけば銃の悪魔に辿り着くと言われています。
わざわざアキが民間ではなく公安に所属しているのも、肉片の所持が認められているのが公安だけだからですね。
銃の悪魔がもたらした被害は大きく、アキのような人間は珍しくないそうです。
「チェンソーマン」早川アキの人間関係
早川家同居人:デンジ・パワー
早川アキは上司マキマの命令で、チェンソーの悪魔と融合したデンジ、そして血の悪魔の魔人・パワーを自身のアパートに同居させ、世話をしています。
デンジもパワーも、立ち位置的にはいつ駆除されてもおかしくない存在。
しかもどちらも著しく常識に欠けており、アキにかかる負担は計り知れません。
「なんで俺の家にヤバい奴ばかり集めるんですか」
思わずアキがマキマに抗議したのもやむを得ないことでしょうね。
しかし元々世話好きで面倒見の良いアキのこと。
手のかかるデンジたちを世話するうちに、彼らを弟のように妹のように、大切に思うようになっていきました。
その家族愛こそが、後に悲劇を引き起こすことになるのですが……
バディ:姫野
姫野は早川アキのバディであり、先輩。
アキは彼女からデビルハンターとしての心構えなど様々なことを学びました。
姫野はアキに対して好意を抱いており、元々嫌煙家だったアキにタバコを吸わせるようにしたり、勝手にピアス穴を開けたりと、好き勝手にちょっかいを出しています。
銃の悪魔に復讐心を抱くアキを心配して、民間への転籍を勧めたこともありましたね。
後にサイムライソードの襲撃で絶体絶命のピンチに陥ったアキを救うため、姫野は幽霊の悪魔に己の全てを捧げて消滅(死亡)してしまいました。
アキがタバコを吸っていたのは姫野の存在があってこそだったのか、彼女の死後、アキはタバコをやめています。
好意を抱く:マキマ(なんでだっけ……?)
物語当初から、早川アキは上司であるマキマに好意を抱いていました。
その好意はかなり分かりやすく、初登場ではマキマ目当てで公安に入ってきたデンジを追い払おうとしていたほど。
マキマは美人ですから、別にアキが好意を抱いてもおかしくはありません。
しかし74話、天使の悪魔に何故マキマを好きになったのか問われたアキは言葉につまります。
『なんでだっけ……?』
マキマへの好意は、支配の悪魔である彼女に感情を操られてのものだったのです。
「チェンソーマン」早川アキの強さと契約悪魔
公安でも上位の実力を持つデビルハンター
早川アキは公安のデビルハンターの中でも上位の実力を持つデビルハンターです。
最強のデビルハンター・岸部の教えを受けた者として公安の中でも一目置かれています。
肉体的には普通の人間なので、基礎スペックは悪魔や魔人には及ぶべくもありませんが、技術でそれを補い、悪魔並みの身体能力を持つサムライソードらとも渡り合っていました。
とは言え、それだけで悪魔と戦えるはずもなく、アキは悪魔と契約し、悪魔の力を借り受けることでデビルハンターとして戦っています。
契約悪魔①狐の悪魔
狐の悪魔はアキだけでなく、公安の多くのデビルハンターと契約してる悪魔です。
契約者は髪や皮膚など肉体の一部を食べさせることで、悪魔の肉体の一部を呼び出して力を借り受けることができます。
普通呼び出せるのは狐の悪魔の手足ですが、アキの場合はイケメンということで狐の悪魔に気に入られており、特別に頭部を呼び出していました。
ハンドサインと「コン」という発声によって召喚される狐の悪魔。
サムライソード戦では狐の悪魔が吞み込んだサムライソードに口の中で反撃を受け、それがきっかけでアキは契約を破棄され狐の悪魔を呼び出せなくなってしまいました。
契約悪魔②呪いの悪魔(カース)
サムライソード戦で使用したアキの二体目の契約悪魔であり、彼の切り札。
アキからはカースと呼ばれており、その力が宿った釘状の刀で三回相手を刺すと相手を殺すことができますが、代償として契約者の寿命を捧げる必要があります。
実際に一度はサムライソードを殺すのですが、沢渡アカネの介入で即座にサムライソードは復活してしまい、今一つ締らないイメージが付きまとっています。
サムライソード戦の使用でアキの寿命が残り2年となってしまったため、以降はもう使えないと判断されてしまいました。
契約悪魔③未来の悪魔
狐の悪魔、呪いの悪魔が使えなくなったアキが新たに契約した悪魔が、この未来の悪魔です。
契約者に少し先の未来を見せることができるという極めて強力な能力を持っていますが、その未来を活かせるかどうかは契約者次第なため、決して万能ではありません。
相手の腹の中に入れば、対象のその後の人生全てを見通すことが可能で、契約者に対してはその未来次第で代償を決めています。
アキの場合は、彼が近い将来迎える「最悪の死に方」をその目で見たいという理由から、その右目に未来の悪魔を住まわせるという極めて軽い代償で契約を結んでいました。
「チェンソーマン」早川アキが銃の悪魔となって死亡した理由
銃の悪魔と戦い死亡、肉体を乗っ取られ魔人となる
銃の悪魔への復讐を目的に生きていた早川アキですが、デンジとパワーと共に暮らしいく中で、彼の中で二人の存在はどんどん大きくなっていきました。
そして闇の悪魔との戦いをきっかけに、これ以上デンジとパワーを危険に晒したくないと考え、一度は銃の悪魔への復讐を諦めます。
しかし、デンジとパワーが強制的に銃の悪魔との戦いに参加させられることを知り、一転彼らを守るために銃の悪魔との戦いへ参戦を表明。
そこでアキはマキマから「銃の悪魔はすでに倒され拘束されている」という衝撃の事実を知らされます。
銃の悪魔はすでに何者かによって倒され、その肉片を主要国と悪魔が兵器として分散して保有している。
銃の悪魔との戦いとは、他国が保有する肉片を奪いに行く、言わば戦争のようなものでしかなかったのです。
銃の悪魔への復讐が永遠に叶わないことにショックを受けるアキ。
しかしそれ以上にアキがショックを受けたのは、その時未来の悪魔に見せられた「アキとパワーがデンジに殺される」という未来でした。
「デンジとパワーだけは……」
「生きて……幸せになってほしいんです」
最悪の未来を変えるべく、アキはマキマに力を求めてしまいます。
その結果、アキは支配の悪魔であるマキマと契約してしまい、マキマと、彼女を倒すためアメリカが復活させた銃の悪魔との戦いに巻き込まれてしまいました。
詳細は不明ですが、アキは戦いの中で死亡。
激戦の果てに銃の悪魔は逃亡し、近くにいたアキの死体に乗り移って銃の魔人へと変貌してしまいます。
デンジにとっての最悪の死に方(雪合戦・キャッチボール)
銃の魔人となったアキは、デンジとパワーがいる早川家を襲撃します。
恐らくはマキマに支配されて操られていたんでしょうね。
変貌した姿に呆然とするデンジとパワーに、銃の魔人は容赦なく攻撃をしかけます。
その時アキは精神世界において、幼い少年の姿に戻って雪合戦をしていました。
そしてデンジ、パワーを相手に無邪気に雪玉をぶつけます。
しかしその雪玉は、現実世界では苛烈な銃の魔人の攻撃。
デンジが、そして巻き込まれた一般人が容赦なく吹き飛ばされていきます。
それを止めようとするデンジと、チェンソーマンに助けを求める一般人。
そして再びアキの精神世界。
そこでアキは泣きじゃくるデンジから雪玉の反撃を受けます。
「何泣いてんだよ……」
雪の中に倒れ込むアキ。
「わかった……もうオレの負けだ」
「だいたい雪合戦なんて」
「オレ好きじゃないんだ」
「手ェ冷たくなるだけだし」
そこで、アキの弟がボールとグローブを持って現れます。
「そうだった……」
「オレ……」
「キャッチボールがしたいんだった」
そして現実世界では、デンジのチェンソーがアキの身体を貫いていました。
その光景を笑いながら見つめる未来の悪魔。
「早川アキ」
「お前は最悪な死に方をしただろう」
「チェンソーの少年にとってね」
誰にとっても救いのない、悲惨な最期でした。
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