今回はその強烈すぎるストーリーとキャラクターで話題を攫った傑作漫画「チェンソーマン」より、作中屈指の人気を誇るヒロイン(?)「パワー」について解説します。
パワーは公安に所属するデビルハンターであり、主人公・デンジのバディ。
非常にかわいらしい見た目で、コミックス2巻の表紙を飾るヒロイン枠ではあるものの、その中身はとてつもなく残念。
そのクズっぷりが逆にかわいいと読者から高い人気を誇るパワーの魅力について、その迷言や最期(死亡)などを中心に語ってまいります。
「チェンソーマン」パワーのプロフィール
高圧的で理不尽でどうしようもなくクズなところがかわいい(偽胸)魔人
パワーは公安に所属するデビルハンターであり、主人公・デンジのバディ。
悪魔が人間の死体にとりついた「魔人」と呼ばれる存在で、通常であれば処分されてしまうところ、(とてもそうは思えませんが)比較的話が通じるという理由で処分されず公安に飼われています。
外見はピンク色の髪と頭から生えた角が特徴の美少女。
通常角は二本ですが、血を吸い過ぎてパワーアップすると四本に増えてサイズアップします。
ちなみに、作画では巨乳に描かれることが多いですが、実はこれ豊胸パッドによる偽胸。
早川家への引っ越し時に「76.1」と描かれたTシャツを着ていたことから、ファンの間ではこれがパワーのBサイズではという説が有力となっています。
声優は「ファイルーズあい」さん。
モデルは作者・藤本タツキの好みの女性?
パワー最大の特徴であり魅力と言えば、そのエキセントリック過ぎる性格。
人間嫌いで見栄っ張りで子供っぽくて我儘で嘘つきで臆病で自己中心的etc……
言い出せばその問題児っぷりはキリがなく、はっきり言ってしまえば相当なクズ。
ただそのクズっぷりはある意味裏表がなく一貫しており、読者からは逆にかわいいと評価されています。
ちなみにパワーの性格のモデルは作者・藤本タツキの好み「高圧的で理不尽な女性」そのものだと言われており、藤本タツキは大学時代に同級生から「お前の自転車をひっくり返してやったぞハハハ!」と言われた際に幸せを感じたのだとか。
人気投票では第1回1位、第2回3位と読者からも大人気のパワー。
日本には僕らの想像以上に変態が多いのかもしれません(筆者を含む)。
人間関係(デンジ・ニャーコ・アキ・マキマ)
パワーは人間嫌いを公言しており、当初は誰にも心を許していませんでした。
その唯一の例外が猫のニャーコ(パワー命名)で、元はそのニャーコも太らせてから血を吸いつくしてやろうとしていましたが、一緒に過ごすうちにその魅力にメロメロになってしまったようです。
そのニャーコがコウモリの悪魔に囚われてしまい、悪魔の言いなりになっていたパワー。
デンジとバディを組んだ当初はデンジへの情など欠片もなく、容赦なくデンジを騙してコウモリの悪魔に突き出していました。
しかしデンジがコウモリの悪魔からニャーコを救い出したことを切っ掛けに、パワーもデンジに対して情を持ち、懐いていくようになります。
また、同居人(家主)の早川アキに対してはワガママ三昧、暴虐の限りを尽くしていますが、これはこれで妹が兄に甘えているような感じなんでしょう(リアル妹にこんなことされたら兄はキレますが)。
一方、パワーが異常なまでに畏れ、(表向き)従順に振舞っているのがマキマ。
マキマの正体(支配の悪魔)を考えるとパワーはマキマによって支配されていたんでしょうね。
ただ、作中描写を見ると完全には支配できていないようで、これはそれだけ血の悪魔が強大だということなのか、マキマでも支配できないぐらいパワーの精神構造がイカれているということなのか……
「チェンソーマン」パワーの能力(強さ・正体)
血の悪魔:血で武器を作ったり止血したりと多才だが……
パワーは血の悪魔が人の死体にとりついた魔人であり、魔人としての高い身体能力と再生能力に加え、血を自在に操る能力を持っています。
基本的な戦い方は自分の血をハンマーのような近接武器に変化させ、それを振るうストロングスタイル。
血を射撃武器のように飛ばしたりトラップとして使うことも可能ですが、パワー自身の血液を消費するためすぐ貧血になってしまいます。
また、自分や他人の血を操って怪我の止血をすることも可能と意外に器用(他人の血を操ることは難しいようですが)。
パワーは血を吸うほどに強くなり、二本の角が四本に増えてパワーアップするのですが、普段は公安がコントロールしやすいよう、マキマに適度に血を抜かれているため、戦力としては今一つ活躍できていません。
ただ、血の悪魔としてのパワー本来の力は凄まじく、他人の血を自在に操って相手を体内から殺害することさえ可能としています。
……まあ、作中では相手がそれでも殺せない化け物だったんであんまり目立ちませんでしたけど(コミックス11巻90話)。
その正体はチェンソーマンの眷属
さて、コミックス10巻83話ではマキマの口から、パワー(=血の悪魔)は元々チェンソーマンの眷属であったことが明かされています。
チェンソーマンには少なくとも8体の悪魔(or魔人)の眷属がおり、それぞれ天使の階級を名に持っていました。
パワーはその一つ能天使(パワー)。
しかし同じ眷属でもビーム(=ケルビム)はきちんとチェンソーマンの眷属であることについて自覚がありましたが、パワーには全くそんな様子がありません。
これについては、元々悪魔は地獄から人間界に転生する際、記憶のほとんどをなくしてしまうと言われていますから、覚えているビームの方が異常なんですよね。
彼ら眷属はチェンソーマン復活のためにマキマに協力していたと言いますが、その具体的な目的や正体は第一部では語られていません。
また、眷属が天使の階級を名に持つというのであれば、階級は全部で九つ。
大天使にあたる悪魔が他にいるはずですが、これについても不明ですね(早川アキが大天使にあたるという説もありますが、流石に強引過ぎます)。
「チェンソーマン」パワーの活躍と迷言(名言)、その最期(死亡)
そのエキセントリックすぎる数々の迷言(名言)
パワーと言えば、そのエキセントリックで常軌を逸した数々の迷言。
ある意味彼女の発言は全てが迷言なので、ここではその中でも特に有名なものをいくつか紹介しましょう。
「風呂はたまにしか入らん派じゃ!」
「トイレ? 糞はたまにしか流さん派じゃ!」
早川家に居候しにやってきて早々の問題発言。
まあ……流さないと主張する(男性)アイドルもいたし、ある意味アイドル的なのか?
この後早川家でしっかり躾けられたのか、言われずともお風呂に入るようになったパワー。
しかし、闇の悪魔との戦いの後、恐怖で幼児退行してしまい、
「怖いから一緒にお風呂入ってぇ……」
一時期はデンジがいないとお風呂にも入れなくなってしまいました。
ちなみにこの時、全くいやらしさはなかったですね。
また、作中で最も狂っていると言われているのが、東山コベニの車に興味を持ち、言いがかりをつけて無理矢理運転したこのシーン。
「ワシの持っている車に似とるなあ」
「これワシの車じゃないか?」
「ウヌは盗人なのか?」
「ワシのじゃ……」
「何か文句が?」
「ウヌの血でこの車を洗ってやろうか?」
単に車を強奪したならまだ良しとしましょう(良くはないが)。
しかし更に酷いのはこの後、デンジと京都公安の黒瀬を轢き殺してしまったパワーはあっさり前言を翻した上、責任転嫁。
「ウヌの車じゃ」
「ワシのせいじゃない」
驚愕するコベニに更に追い打ち。
「まさか人のせいにするのか……!?」
「この……人殺しがア!」
もう、何が何だか……!
更に死んだ黒瀬が実は敵が化けた偽者だったと分かるや……
「やっぱりのオ~!」
「敵の正体に気づいていたのは」
「ワシだけだったようじゃな~!」
「ワシの手柄〜! ワシの手柄! ワシの手柄!」
やめてくれパワー……笑い過ぎて腹がよじれて死にそうだ……!
命を賭してデンジを救ったその最期(死亡理由)
もう言動が無茶苦茶で何が何だか分からないパワーですが、彼女は第一部終盤で強烈なヒロインムーブをかましていきました。
81話でデンジの心を壊すため、マキマによってあっさり殺されてしまったパワー。
しかし彼女は血の悪魔。
かつてデンジに飲ませた僅かな血が、デンジの中で生き延びていたのです。
そんなパワーに力を与えたのがデンジの中のポチタ。
ポチタがパワーにその肉片を食べさせたことでパワーは「血の悪魔」として完全復活(肉体も魔人だった時とは別物に変化していました)。
マキマの血を操り彼女を斬殺しますが、契約により自分の死を他人に押し付けられるマキマには全く通用しません。
「パワーちゃん」
「大人しくチェンソーマンを渡しなさい」
「そうすれば殺さないで」
「また飼ってあげる」(マキマ)
「実はワシがこやつを捕まえました!」
いつものパワークオリティ。
一瞬でてのひらくるり。
しかしいざデンジを引き渡す段になると、パワーはマキマに逆らって逃げ出します。
その自分の行動に「なんでじゃああ!!」と困惑するパワー。
『命は平等に軽い』
『ワシの命もじゃ』
『だから誰が死んでも』
『ワシが死んでも悲しむ事はない』
『でも、でも』
「デンジはダメじゃああ」
「だってデンジは、デンジは、初めてできた友達」
そして瀕死になりながらゴミ箱の中にデンジを隠すパワー。
そして精神的にボロボロになり生きる気力を無くしたデンジに語り掛けます。
「そんなイジけるくらいワシが恋しいか!?」
「恋しいよ」(デンジ)
「アホじゃな、ウヌは」
「悪魔はこの世で死んでも地獄で蘇るんじゃ」
「その時はワシはワシじゃなくなっとるがのお」
「デンジ、血の悪魔を見つけに行け」
「見つけてどうにか仲良くなって」
「血の悪魔をまたパワーに戻してくれ」
「そうすればまたデンジのバディになれるじゃろ?」
「デンジ、これは契約じゃ」
「ワシの血をやる」
「かわりにワシを見つけに来てくれ」
そう言ってパワーは死んでいきました。
彼女によって生きる気力とマキマに対抗するための武器を手に入れたデンジ。
そしてパワーがデンジに託した血こそが、マキマに対する最後の切り札となったのです。
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