今回はヤンマガ本誌で連載中の図書館お仕事コメディ「税金で買った本」から、図書館に島流しされた女(注)「茉莉野 美波(まりの 美波)」について解説します。
茉莉野は主人公の石平くんたちが働く図書館の若手女性職員。
元々は図書館とは無関係な部署の公務員でしたが、自分勝手な言動で周囲に迷惑をかけ、図書館に飛ばされてきた問題児です。
作中では白井たち非正規職員と衝突ばかりしている茉莉野。
本記事ではそんな彼女のプロフィールや登場話、人間関係を中心に解説してまいります。
(注)図書館を流刑地扱いする問題表現ではありますが、原作に準じ敢えてそのまま使用しています。
「税金で買った本」茉莉野美波のプロフィール
基本プロフィール
茉莉野美波(まりのみなみ)は主人公の石平くんたちが働く図書館の若手女性職員です。
外見は茶髪セミロングで猫っぽい雰囲気の細身の女性。
性格は極めて承認欲求が強く、自分より立場が下の人間を露骨に見下す傾向がある問題児です。
地元ではイイ大学の出身で市役所に就職、期待されて花形部署に配属されたものの、目立とうとスタンドプレーや自分勝手な言動を連発。
配属部署で面倒を見切れなくなる度に異動を繰り返し、図書館に島流しにされてきました。
図書館に配属されたのはつい最近ですが、早々に職員たちとの間で様々なトラブルを引き起こすことになります。
キャラ名は推理作家の「真梨幸子」と小説家の「湊かなえ」から。
一般図書担当の正規職員
茉莉野は一般図書担当の正規職員です(本の除籍も担当していた模様)。
係は早瀬丸さんたちと同じですが、早瀬丸さんたちは非正規職員。
ただ元々図書館とは直接関係のない部署の地方公務員でしたから、司書資格などは持っていません(早瀬丸さんたちは持っている)。
作中では全国的に図書館職員の採用枠は多くが非正規職員で待遇面などで苦労している一方、図書館に興味のない正規職員が図書館に配属されることが問題提起されており、茉莉野はそのダメな正規職員の典型として登場した形ですね。
ちなみに茉莉野は典型的なダメ人間の為、一部読者からは「現実の真面目な正規職員を馬鹿にしてる」と批判の声もありましたが、個人的には図書館に限らずこういう人って結構いるなという印象。
筆者の前職でもアピールが上手くて出世が早い人ほど「単純作業は非正規に任せてクリエイティブな仕事をしろ」と、通常業務を軽んじる人は多かったですし、それを真に受けた勘違い新人はよくこんな感じになってるよな~、と(普通はもっとうまく取り繕いますけど)。
作中にはちゃんとした正規職員もたくさん登場してますし、一部読者が言うような正規職員を貶しめるような印象は特に感じられませんでした。
「税金で買った本」茉莉野美波は何話に登場?
公務員白書1年版~3年版(32~34話)
茉莉野の初登場、メインエピソードは32~34話で描かれた「公務員白書」です。
非正規職員に自分の仕事を押し付け、勝手に他の係が集計に使っていた書式を変更するなどして周囲を困らせていた茉莉野。
彼女は「面倒な作業は下々の非正規がやればいいじゃない」といった態度を取り、図書館に転勤してきて早々に職員たちから嫌われていました。
自分は優秀で簡単な仕事なんてしてられない。
通常業務だけしていても上は対して評価してくれない。
もっと大きな仕事しなきゃほめてもらえない。
周囲から孤立していく茉莉野の思考は余計に暴走、上に評価してもらうため、閲覧席での館内飲食を可能にしようと周囲に相談せず独断で館長に提案してしまいます。
提案自体はその後、話を聞いた角野さんたちが論理的に否定し、取り下げに。
チーフからスタンドプレーをたしなめられた茉莉野は、非正規の白井も反対していたという話を聞いて彼に八つ当たりしにいってしまいます。
非正規の白井を見下す茉莉野でしたが逆に、
「ご自分が図書館に」
「島流しされた立場だって」
「わかって意見してます?」
「仕事出来なくて」
「非正規にヨシヨシされてる」
「立場の自覚あります?」
「ホウレンソウできないってのは」
「仕事出来ないって」
「ことなんじゃないですか?」
と白井から正論で反撃にあって瀕死状態に。
「やめて白井君」
「正しければなにを言っても」
「いいワケじゃないんだよ!」
と最後は早瀬丸さんに止めを刺され、撃退されてしまいます。
その後も態度は相変わらずですが、一先ず通常業務は自分でやるようになった茉莉野。
また白井も早瀬丸さんに「正しさで人を黙らす危険性」を嗜められ、ちょっとだけ反省したのでした。
日本文学全集(40話)他
「公務員白書」の後も、図書館職員である茉莉野はちょいちょい作中に登場しています。
続いて彼女が登場したのは第40話の「日本文学全集」。
突然24巻ある寄贈本を明後日までにフロアに出すよう今村さんに無茶ぶりし、困らせていました。
実は茉莉野は1月前からこの寄贈本をフロアに出さなければならないことが分かっていたのですが、1月もあればフロアに出ているだろうと思い込み資料係に何の話も通していなかったのです。
実際には寄贈図書が多くて今村さんのワンオペではすぐには捌けず、しかもその寄贈本は書誌がなくて処理が凄く大変な本でした。
結局、今村さんと白井が苦労して期日までに処理したものの、茉莉野は何ら悪いと思っておらず、最後に白井がブチ切れたというお話。
この他にも54話で勝手な本の取り扱いをして周りを困らせたり、63話で開館前準備、67話では選書会議に参加、73話ではお断り電話をしたくないとゴネ、白井の正論パンチに殴られて顔を真っ赤にする茉莉野の姿が描かれていたりします。
また74~76話の「大量廃棄時代を考える」では茉莉野を見捨てない松浦さんと石平くんの機転により、本当に珍しく褒められる仕事をしていい気になる茉莉野の姿も。
「税金で買った本」茉莉野美波の人間関係
基本的にほぼ全職員から嫌われている
茉莉野は基本的に非正規だけでなく、ほぼ全ての図書館職員から嫌われています。
短気な石平君たちは勿論、温厚な早瀬丸さんでさえ茉莉野にはどこか冷たい態度。
今村さんは昭和のいじめられっ子のように茉莉野にいつも泣かされており、正規職員の吉沼チーフや角野さんも彼女の問題児っぷりに手を焼いています。
ここまで皆から嫌われているとちょっとだけ気の毒な気もしますが、基本自業自得ですし、特にハブられたりしているわけでもないので、これは仕方ないですかね。
唯一の味方は朝野さん?
孤立気味な茉莉野が唯一懐いているのが児童係の朝野さん。
朝野さんは大人には厳しいものの、子供にはとても寛容でバブバブ甘やかすタイプの女性。
朝野さんから”子ども扱い”されている茉莉野は、そのことにも気づかず朝野さんに甘えまくっています。
ちなみに朝野さん曰く、茉莉野の相手は「仕事だと思ってお話してるだけで楽しくはない」とのこと。
茉莉野……ッ!
白井との相性は言うまでもなく最悪
言うまでもなく茉莉野と相性最悪なのが白井です。
非正規を見下す茉莉野と、立場の弱い人間を見下す人間が大嫌いな白井。
二人が絡む前から周囲も相性の悪さを察していたのか、白井が茉莉野に物申そうとするとさりげなく間に入っています。
正論で一発かましてやろうとうずうずしている白井にみんな気づいていたんでしょうね。
しかしそうした周囲の配慮もむなしく、最終的に茉莉野の方から白井の前に飛び出していき、茉莉野は白井の正論で撃沈。
以降、茉莉野は少しだけ白井のことを苦手にしている様子が見て取れます。
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