今回はワールドトリガーから、扱いやすく幅広いポジションの隊員に使われている弾丸トリガー「ハウンド(誘導弾/追尾弾)」について解説します。
ワールドトリガーは集団戦の要素が強いSFバトル作品で、作中で実際に活躍している武器(=トリガー)の多くは一点モノの特殊な武器ではなく、汎用品のノーマルトリガーです。
ハウンドとは敵を自動追尾してくれる便利な中距離戦向け弾丸トリガー。
非常に扱いやすいトリガーではあるものの、適切に使いどころを判断し、十全に使いこなすのは意外と難しい奥深いトリガーです。
本記事ではそんなハウンドの使用法や使い手を中心に解説してまいります。
ワールドトリガー「ハウンド」基本情報
基本性能(誘導弾・追尾弾の違いなど)
ハウンド(誘導弾/追尾弾)とは射手(シューター)や銃手(ガンナー)が使用する4種の中距離戦向け弾丸トリガーの一つ。
発射後、自動で目標を追尾する機能があり、追尾機能にはトリオン体の反応を追う探知誘導と視線で正確に対象を指定する視線誘導の二種類があります。
作中での漢字表記は、次のように使い分けられていました。
・探知誘導 → 誘導弾
・視線誘導 → 追尾弾
探知誘導はカメレオンなど姿を消すトリガーに対しても有効ですが、バッグワームによりトリオン反応を消している相手には使えません。
追尾機能には強弱をつけることが可能で、発射後の距離や時間で追尾機能を変化させることもできます。
弾道を変化させることができるという点ではバイパー(変化弾)と似ていますが、ハウンドはあくまで目標を追尾するだけなので、バイパーほど変幻自在の弾道をひけるわけではありません。
その分、バイパーと比べて発射後も対象の動きに合わせて弾道を変化させられるなど、それぞれに長所と短所があります。
長所:目標を自動追尾するため扱いやすい
ハウンド最大の長所は、目標を自動追尾してくれるため、誰でも扱いやすいという点です。
細かく狙いをつける必要がないため、雑に使っても弾丸が自動で敵を追尾してくれる点が非常に便利。
特に正確に狙いをつけることが難しい状況などで有効に作用します。
射手(シューター)や銃手(ガンナー)は勿論ですが、万能手(オールラウンダー)や近接戦が本業の攻撃手(アタッカー)まで、多くの隊員たちに愛用されています。
短所:使いどころが難しく、ただ撃つだけでは防がれやすい
非常に便利なハウンドですが、実は適切に使いこなすのは難しいトリガーでもあります。
そもそもハウンドはアステロイド(通常弾)と比べて威力は控え目ですし、あまり弾速が速いと追尾機能が有効に働かないため弾速も控え目。
閉所での戦いなど、追尾機能を活かせない状況での撃ち合いには向いていません。
また追尾機能には限界があり、目標が大きく速く動くと振り切られてしまいますし、壁など障害物に当たるとそこで弾丸は破裂してしまいます。
つまりハウンドとは、普通に撃っているだけでは躱されてしまうか、あるいはよほどトリオン量に差がない限りシールドで防がれてしまうトリガー。
そのため、多くの隊員たちはハウンドをメインの攻撃手段ではなく、攪乱や牽制のために使用しているのが実態です。
扱いやすく、初心者向けと誤解されやすいハウンドですが、本当の意味で使いこなすのは次の項目で述べるような様々な技巧を適切に使い分ける必要があります。
ワールドトリガー「ハウンド」の技・使用法
曲射・相殺・置き弾
これらはハウンドの基本的な使い方です。
まず「曲射」とは、射出角度を目標からずらし、追尾性能を利用して多角的な攻撃を仕掛ける技。
ハウンドの基本中の基本であり、敵を牽制したり、敵のシールドを広げさせる(シールドは広げるほど強度が落ちる)といった用途で用いられます。
続いて「相殺」は、敵の弾丸をハウンドによって撃ち落とす使い方。
敵の攻撃全てを撃ち落とすことは困難ですが、ハウンドの視線誘導を用いればある程度の相殺は可能なようです。
メテオラ(炸裂弾)など、当たると破裂するタイプの弾丸トリガーの迎撃には有効です。
そして「置き弾」とはトリオンキューブをそのまま打ち出す射手専用の技巧で、予め作っておいたトリオンキューブを射出しないまま周囲に設置しておき、敵の不意を撃ったり一人で角度をつけた攻撃を行う技。
あまり距離が離れると操作できなくなるなど欠点はありますが、駆け引きの手段としては非常に有効です。
追尾性能の強弱を調整
ハウンドの基本にして真髄は「追尾性能の強弱を調整」することにあります。
ハウンドは常に敵を追っているわけではなく、追尾性能が強い所と弱い所を設定して使われるもの。
そうすることで始めて山なりのような曲射が可能となります。
逆に常に追尾性能MAXでハウンドを撃ってしまうと、全ての弾が目標に真っ直ぐ飛んでいくことになるので、集中シールドで簡単に防がれてしまうことに。
そのため追尾性能をほどよく調整して弾を散らすのがハウンドの上手い使い方になるわけです。
ただこれは非常に奥深い技巧で、状況毎に十全に使いこなせているのは一部のトップ射手のみと考えられます。
合成弾:サラマンダー、ホーネット
合成弾とは二種類の弾丸を融合させ、新たな弾丸を生み出す射手の高等技術。
これまでに判明したハウンドを使用する合成弾は次の二種類。
サラマンダー(誘導炸裂弾)
ハウンド✖メテオラの合成弾。
追尾機能を持った炸裂弾。
トマホーク(変化炸裂弾)と同じ奇襲技ですね。
ホーネット(強化追尾弾)
ハウンド✖ハウンドのレアな合成弾。
追尾機能を強化し、ハウンドでは曲がり切れないような角度で鋭く目標を追うことができます。
ハウンド✖鉛弾(レッドバレット)
後述する雨取千佳の専用技。
弾丸トリガーから攻撃力を無くす代わり、シールドを貫通するようになり、着弾すると重しとなって敵を拘束するオプショントリガー「鉛弾(レッドバレット)」を組み合わせた技です。
鉛弾を使用すると、その重くなる機能にトリオンが使われ弾速が恐ろしく遅くなってしまうため、これを実用レベルで使えるのは雨取千佳のトリオン量があってこそ、となっています。
ハウンドストーム(追尾弾嵐)
部隊の3人全員が射手でハウンドを装備している間宮隊の専用技。
3人全員によるハウンドのフルアタック(両攻撃)はハウンドストーム(追尾弾嵐)と呼ばれる強力な技……らしいです。
「決まれば」強力なこの技も、作中では使用前に玉狛第二によって瞬殺されてしまったため、お披露目できないままに終わっています。
ワールドトリガー「ハウンド」の主な使い手
加古望~ハウンド(改)の使い手~
ハウンド使いとして名が挙がるのがハウンド(改)の使い手・加古望。
今のところ作中での戦闘シーンはほとんどありませんが、ハウンドをメインウェポンに据えるA級6位部隊の隊長です。
A級特権によりハウンドに何らかの改造を施しているようですが、詳細は不明。
作中での描写を見ると、トリオンキューブが立方体ではなく球体になっているようですが……
二宮匡貴~技巧と威力を併せ持ったハウンドの使い手~
ハウンドの名手と言えば、No.1射手・二宮匡貴。
高いトリオン量を用いたハウンドフルアタックと、多彩な技巧、合成弾まで使いこなすお手本のようなハウンドの使い手です。
技量で言えば恐らくA級1位部隊の出水公平も同等でしょうが、彼はハウンドをサブにしか装備していないため、ここではメイン・サブ両方に装備する二宮さんを挙げさせていただいています。
二宮さんのハウンドの使いこなしを見ていると、彼がトリオン量だけじゃなく、技や駆け引きでも優れていることがよく分かります。
雨取千佳~唯一無二のハウンド✖鉛弾(レッドバレット)~
トリオンモンスター雨取千佳。
一応本職はスナイパーですが、余りあるトリオンを武器にハウンドを装備し、それに鉛弾を組み合わせるという意味不明なコンボを実現しています。
射手はトリオン量の大小が最も大きく影響するポジションですから、そりゃあハウンドを装備すれば強い強い。
というか、鉛弾とか組み合わせずに普通にハウンドを撃った方が絶対強い。
三雲修~「……勝った」~
この男とハウンドの組み合わせは読者に強烈なインパクトを残したぞ、三雲修。
元々装備していたのはアステロイドで、ハウンドはB級ランク戦最終戦でこっそりアステロイドと入れ替えていただけ。
そして射手としての技量は正隊員の中では最下級。
にも関わらず、彼はB級ランク戦最終戦のラストで、アステロイドと思わせておいてのハウンドで敵の意表を突き、二宮さんを落とすという大戦果を成し遂げました。
それまでは追尾性能を切ったハウンドを撃って、持ち弾はアステロイドだと偽装していました。
「……勝った」
周囲が敗北を予想する中、師匠の烏丸とともに勝利を確信する修の姿は、読者に強烈なインパクトを残しました。
その他(出水、犬飼、王子など)
この他にもハウンドは、出水や蔵内といった射手、犬飼や来馬といった銃手だけでなく、万能手の香取、帯島、攻撃手の王子、樫尾など、幅広い隊員に使われています。
メインウェポンとして活用する隊員もいれば、あくまで接近するための牽制手段と割り切っている隊員もいるなど、その使い方や練度は多種多様。
ある意味でハウンドは、最も隊員たちの個性や色が出るトリガーと言えるでしょう。
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