今回は「ヤングジャンプ」で連載中の「ジャンケットバンク」より、この作品における狂言回し「御手洗 暉(みたらい あきら)」について解説します。
御手洗暉はこの作品の主人公の一人であり、ギャンブラー真経津晨に魅入られた銀行員です。
当初は暗算が得意なだけの一般人という触れ込みでしたが、その本性は刺激に飢えた作中随一の狂人。
読者はおろか作中の登場人物からも度々「気持ち悪い」とキツイ評価を受けています。
本記事ではそんな御手洗暉のプロフィールや真経津晨への執着、作中での変遷を中心に解説してまいります。
「ジャンケットバンク」御手洗暉のプロフィール
引用元:田中一行/『ジャンケットバンク』
基本プロフィール(年齢、誕生日など)
年齢 | 24歳 |
誕生日 | 6月18日 |
身長 | 179cm |
体重 | 68㎏ |
趣味 | なし |
犯罪歴 | なし |
御手洗暉は本作の主人公の一人で、カラス銀行に勤務する勤続二年目の銀行員です。
ごく普通の真面目な銀行員でしたが、ある日特別業務部審査課(通称「特4」)の宇佐美主任にスカウトされ、銀行が運営する地下賭博場に足を踏み入れることに。
そこで出会ったもう一人の主人公・真経津に魅入られ、彼の戦いと最期を見届けるために特4に所属することを決意します。
外見は一見、ごくごく普通の特徴のない好青年ですが、実は作中屈指の顔芸(変顔)使い。
真面目で論理的で失敗を避けて生きる堅実な人間として登場しましたが、実は退屈な日常に飽き飽きしており、刺激を求めてギャンブルの世界に足を踏み入れるなど、歪んだ一面も持ち合わせています。
超人的な暗算能力を持ち、観察力も高く、難解なゲームのルールを即座に理解するなど基礎スペックは優秀。
ただ周囲のギャンブラーや先輩行員が化け物ぞろいの為、どうしても無能で未熟なイメージが付きまとっています。
常識人の皮を被った狂言回し
御手洗暉はこの作品における狂言回し。
一般人の視点で物語を分かりやすく解説するための語り部です。
この作品ではギャンブラーたちの勝負の場を銀行員が整え、ギャンブラーを利用して銀行員たちが自らの権勢争いをする構図となっており、御手洗暉は両者の間を繋ぐ存在でもありますね。
しかし彼は、一見常識人に見えて実はガッツリ狂っているタイプの語り部。
軸がないので色んな人間(眞鍋先生など)に影響を受けやすく、物語に不測のノイズを生じさせる厄介な存在でもあります。
「ジャンケットバンク」御手洗暉と真経津晨
御手洗暉はもう一人の主人公・真経津晨に魅入られ、彼に異様な執着を見せています。
彼の真経津への想いはもはや信仰の域に達しており、ただ真経津の勝負を見届けるためだけに危険なギャンブルの世界に足を踏み入れたほど。
他の銀行員の思惑どころか自分の命にすら興味が薄く、真経津の為なら何でもやるヤベー男です。
しかも真経津の強さに絶対的な信仰を向ける一方、「勝負に負けた真経津の死に顔が見たい」と考える歪んだ愛の持ち主。
真経津との仲は良好ですが、村雨礼二、獅子神敬一、叶黎明、天堂弓彦といった他の友人グループの面々が真経津と遊んでいると微妙な表情を見せることもあります。
「ジャンケットバンク」御手洗暉の債務者落ち
御手洗暉は当初、ただ真経津の戦いを担当として横で眺めていられれば満足でした。
しかし敗北したギャンブラーの死が金持ちたちに娯楽として消費されていることを知ると、いずれ来る真経津の死が嘲笑で穢されることが我慢ならず、上の地位について見世物を廃止したいと願うようになります。
その結果、伊藤班の昼間唯とキャリア50年を賭けた大勝負に挑んでしまいます。
御手洗暉は対戦相手の叶黎明が敗北し、死亡することに賭けていましたが、真経津はそれを無視して叶黎明を生かしたまま勝利。
敗北した御手洗暉は債務者となって地下オークションに落とされてしまいました。
「ジャンケットバンク」御手洗暉とオークション
御手洗暉が落とされた地下オークションは、債務者となったギャンブラーや銀行員たちが運ばれる場所。
ここで彼らは金持ちたちに売り物として買われることになるのですが、当然、買い手が価値を見出さなければ売れることはなく、売れなければ彼らの価値は日々落ちて行き、いずれ処分されることになります。
そこで打ちのめされた御手洗暉は一発逆転を狙う「ザ・ショートホープ」というゲームに参加。
そこで見事に戦う意思を見せつけた御手洗は、金持ちたちに啖呵を切って見事「3億3403万5200円」の高額で落札されることになります。
御手洗暉は当初、真経津が自分を購入してくれたのだと思っていましたが、実際に彼を購入したのは敵対していた伊藤班。
しばし真経津と敵対する立場の伊藤班で木偶のようになって働いていた御手洗暉でしたが、真経津の下に戻る為再び暴走。
VIPの無堂清光に接触し、彼を利用して再びオークションに落とされるという荒業を行った上で宇佐美班に購入され、再び真経津の担当に返り咲いています。
「ジャンケットバンク」御手洗暉はここが気持ち悪い
御手洗暉は読者も登場人物も認める「気持ち悪い」男です。
常識人の顔をしていて真経津の為なら何でもやり、同時に自分の楽しみのためなら人を殺せるアンバランスさ。
しばしば作中で見せる顔芸の歪さ。
誰より狂気を抱えているのに能力的には一般人の枠を出ない(暗算能力を除く)というちぐはぐさ。
せめて強ければ、狂気も「カッコよさ」に変わるのですが、凡人のままメンタルだけで化け物共に張り合おうとしているところが狂気を際立て、見ている側に「気持ち悪い」と感じさせる要因になっています。
メインキャラなのにここまで「気持ち悪い」に振り切れたキャラクターというのも本当に珍しいですね。
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