今回は大人気漫画「呪術廻戦」から、物語の鍵を握ると言われる術式「十種影法術(とぐさのかげぼうじゅつ)」について解説・考察していきます。
「十種影法術」はメインキャラの一人、伏黒恵が使う術式で、非常に汎用性が高く優れてはいるものの、今のところは決定力に欠ける印象が拭えず、滅茶苦茶協力と言うわけではありません。
しかしこの「十種影法術」はラスボス格である宿儺が強い興味を抱くなど、明らかに作中で別格の扱いをされており、何らかの秘密が隠されていると言われています。
本記事ではそんな「十種影法術」の能力の詳細と元ネタ、宿儺が興味を持つ理由の考察などを中心に語ってまいります。
「呪術廻戦」十種影法術(とぐさのかげぼうじゅつ)の基本情報
術者:伏黒恵
「十種影法術」とは御三家の一つ禪院家相伝の術式で、現代での使い手は伏黒恵ただ一人。
伏黒恵とは本作の四人のメインキャラクターの一人で、呪術高専東京校に通う才能あふれる呪術師です。
伏黒恵は禪院家の血を引いてはいるものの、父親である甚爾が禪院家を出奔して作った子供のため、禪院家で育ったわけでも所属しているわけでもありません。
禪院家そのものは伏黒恵を何とかとりこもうとしていますが、最強の呪術師五条悟の庇護下にあるため手が出せない状態です(なので五条悟が封印されると手を出してきた)。
主人公虎杖悠仁の相棒であり、呪いの王両面宿儺に目を付けられた、物語の最重要人物と言えるでしょう。
術式の概要(特性、調伏の儀、拡張術式、領域展開)
「十種影法術」は影を媒介とした十種の式神術と作中で紹介されています。
また単なる式神術ではなく、影そのものを操ってものを影の中に収納したり影の中に潜んだりと、応用もきくようです。
「十種影法術」で生み出される式神は自我を持っており、多少のダメージは時間を置けば回復するようですが、完全に破壊されてしまうと二度と呼び出すことができません。
ただ、破壊された式神の力は他の式神に受け継がれるため、完全に失われるというわけでもないようです(どの式神の力がどの式神に受け継がれるかは法則性があるそうです)。
ちなみに伏黒の肉体を乗っ取った宿儺は、完全に破壊されることを防ぐため敢えて不完全な形で式神を顕現させ、膨大な呪力量と出力で不完全さをカバーするといった離れ業を見せてました。
最初からすべての式神を使えるわけではなく、最初に術者に与えられるのは2体の玉犬(黒と白)だけ。
他の式神は術者自身が調伏の儀により戦って倒さなければ従えることはできません。
調伏の儀は術者だけで行わなければ式神を従えることはできないのですが、他人を巻き込んで調伏の儀を行うこと自体は可能です。
歴代の「十種影法術」の使い手はこれを利用し、調伏困難な強力な式神(詳細は後述)の調伏の儀に敵を巻き込む自爆技を切り札としていたようです。
拡張術式:不知井底(せいていしらず)
拡張術式は術者が術式解釈を拡張したアレンジ技で、伏黒はこれを複数の式神を掛け合わせて独自の式神を生み出しています(作中で登場しているのは「蝦蟇」+「鵺」の「不知井底」のみ)。
拡張術式で生み出した式神は弱い代わり破壊されても何度でも呼び出せるという特性を持っているので、作中では結構多用されていますね。
領域展開:嵌合暗翳庭(かんごうあんえいてい)
呪術師の奥義領域展開。伏黒のそれは未完成で必中効果もありませんが(あったら宿儺の指は領域が発動した瞬間に祓われていた)、影の満ちた領域内に自在に式神を生み出し、自身も影を利用した高速移動や分身を行うことができるようです。
何がどこまでできるのかは今後の伏黒の成長次第なので、現時点での曖昧な記述は避けさせていただきます。
「呪術廻戦」十種影法術(とぐさのかげぼうじゅつ)の式神
玉犬(ぎょくけん)(黒、白、渾)~最初に手にする基本の式神~
術者が最初に手にする式神が玉犬です。
並の呪霊であれば単独で祓えるほど攻撃力が高く、嗅覚を利用した探知能力も備えた優秀な式神です。
基本となるのは「黒」と「白」の二種類で、影絵が同じであるため二体同時に呼び出すこともできます。
残念ながら玉犬「白」は特級呪霊によって完全破壊されてしまったため二度と呼び出すことはできませんが、その力は玉犬「黒」に引き継がれ、玉犬「渾」として新生しました。
玉犬「渾」は犬というより二足歩行する狼男に近く、そのパワーは「黒」と「白」以上で特級呪霊にもダメージを与えることができるほど強力です。
鵺(ぬえ)~飛行、雷撃能力を持つ汎用性の高い式神~
十種の式神の中で最も汎用性が高く使い勝手の良い式神が鵺でしょう。
鵺は飛行能力と電撃(帯電)能力を併せ持つ式神で、高速飛行と電撃をまとった連続攻撃で戦闘をこなすことができるだけでなく、空中からの索敵を行うこともできます。
人を乗せて飛行できるだけのパワーもありますし、時に敵に攻撃の楯となって術者を守ることもある献身的な印象の強い式神ですね。
蝦蟇(がま)~キモイけど便利、意外に多用される~
舌を伸ばして敵を拘束することが得意なサポートタイプの式神ですね。
最初に登場した際は、助けた釘崎にそのビジュアルから敬遠されていた不憫な式神でもあります。
舌による打撃も可能ですが、攻撃力はかなり控えめなようです。
大蛇(おろち)~あっさり宿儺に破壊された不憫な存在~
恐らく奇襲と拘束を得意とする式神だったのでしょうが、登場するなり宿儺に完全破壊されてしまいました。
他の式神と違って片手で影絵を作ることができるため、速攻に向いていたんでしょうね。
満象(ばんしょう)~燃費は悪いが高範囲~
伏黒が最近調伏した式神です。
その鼻から大量の水を生み出し敵を押し流す能力を持っています。
見た目通りならパワーも優れているのでしょうが、今のところ活躍の機会はありません。
燃費が悪いため単独でしか顕現できず、あまり使われることの少ない式神です。
脱兎(だっと)~貴重な攪乱用の手札~
攪乱・逃走用の式神で、大量の白い兎を生み出して敵の目をくらますことができます。
ただおなかにマークがある一体が本体で、それを破壊されると全て消滅してしまうのだとか。
攻撃力はありませんが、作戦を練る時間を稼ぐには有用で、頭脳派の伏黒にとってはかなり便利な手札のようです。
魔虚羅(まこら)~自爆技? 対五条悟戦の切り札?~
正式名称は「八握剣 異戒神将 魔虚羅(やつかのつるぎ いかいしんしょう まこら)」。
未だ誰も調伏に成功した者がいない最強の式神です。
正の呪力をまとった対魔の剣(恐らく八握剣)とあらゆる事象への適応能力を兼ね備えており、特に後者はえげつない程のチート。
背中の方陣が回転することで、一度くらった攻撃に対する耐性を獲得し(対応できるようになるだけで、無効化まではできない)ダメージも回復するため、対戦した宿儺からは「最強の後出し虫拳(ジャンケン)」と評されていました。
魔虚羅に有効なのは圧倒的な飽和攻撃か、初見の攻撃で適応前に倒しきることだけ。
「十種影法術」の使い手はこの魔虚羅の調伏の儀に敵を巻き込む自爆技を切り札としており、数百年前には六眼持ちの無下限呪術の使い手(五条悟と同じ)と相打ったこともあるそうです。
まあ、その魔虚羅でさえ指15本を得た宿儺にはあっさり倒されてしまっているのですが……
円鹿(まどか)~反転術式を使うサポーター~
未だ伏黒が未調伏、彼の身体を乗っ取った宿儺が使用した鹿の式神。
反転術式を用いることができ、治療だけでなく敵の術式の中和などを行うことができるサポートタイプです。
貫牛(かんぎゅう)~距離を取るほど突進の威力がアップ~
未だ伏黒が未調伏、彼の身体を乗っ取った宿儺が使用した猛牛の式神。
典型的なパワータイプで、できることは突進のみ。
直線的にしか動けない代わり、距離を取るほど突進の威力が向上する性質があり、そのパワーは群を抜いています。
虎葬(こそう)~ナレ死した謎の式神~
後述する顎吐に混ざっていたとされる謎の式神。
名前からすると攻撃系っぽいが、そもそも本体が登場しておらず正体不明。
嵌合獣・顎吐(あぎと)~宿儺が生み出した合成獣~
正式な術式の一部かは不明ですが、伏黒の肉体を乗っ取った宿儺が五条悟戦で生み出した二足歩行の巨大な式神。
鵺と玉犬・渾に加え、五条の見立てでは大蛇、円鹿、虎葬の力も受け継いでいます。
サイズ的には魔虚羅とほぼ同等で、見た目はBLEACHのアヨンっぽい感じです。
電撃を操り、高いパワーと回復力を持つ怪物で、五条悟との超絶バトルにもギリついていけるポテンシャルを有しています。
「呪術廻戦」十種影法術の元ネタ、宿儺が興味を持つ理由は?
元ネタ「十種神宝」っていったい何なの?
「十種影法術」の元ネタになっているのは「十種神宝(とぐさのかんだから)」。
日本神話に登場する十種類の宝物で、式神たちにはそれぞれ「十種神宝」に対応する紋様が身体に刻まれています(ただし虎葬は紋様が確認できていない)。
式神と「十種神宝」の関係は次の通りです。
①沖津鏡(おきつかがみ)/蝦蟇
②辺津鏡(へつかがみ)/満象
③八握剣(やつかのつるぎ)/魔虚羅
④生玉(いくたま)/大蛇・鵺
⑤死返玉(まかるかへしのたま)/円鹿
⑥足玉(たるたま)/玉犬(黒)
⑦道返玉(ちかへしのたま)/玉犬(白)
⑧蛇比礼(おろちのひれ)/不明(虎葬)
⑨蜂比礼(はちのひれ)/貫牛
⑩品物之比礼(くさぐさのもののひれ)/脱兎
玉犬(黒)と(白)を分けてカウントすると対応する十種神宝の数が合わないのではと思われていましたが、コミックス24巻で「鵺のマークは大蛇と同じ」と補足があったため(何でさ?)、ナレ死した虎葬が「蛇比礼」に対応しているということでほぼ確定と思われます。
宿儺が興味を持つ理由は何?
宿儺が伏黒恵、ひいては「十種影法術」に異常な執着を抱いていることは「呪術廻戦」における大きな謎の一つでした。
宿儺が伏黒に興味を持ったのは少年院での戦い。
伏黒が魔虚羅の調伏の儀に敵を巻き込む自爆技を行使しようとしたことが切っ掛けです。
それまでは術式に感心こそしていたものの、明らかに殺すつもりでした。
そのため当初は切り札である魔虚羅がその理由なのかと思われていましたが、それは芥見先生がインタビューで明確に否定されています。
では宿儺は伏黒の何に興味を持ったのか?
宿儺が興味を持ったのは「十種影法術」のポテンシャルの高さ(+伏黒が持つ宿儺の呪いへの耐性)です。
「十種影法術」はかつて「無下限呪術」と「六眼」を併せ持つ最強の術師と相打ったこともある強力な術式。
伏黒自身はまだ未熟なためその力を引き出せていませんが、宿儺レベルの術師が使用すれば式神が巨大化し、凄まじい力を発揮します。
宿儺は伏黒に自分の呪いを取り込ませ、虎杖ではなく伏黒を乗っ取って完全復活を果たそうとしていたのです。
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