今回はその強烈すぎるストーリーとキャラクターで話題を攫った傑作漫画「チェンソーマン」より、本作における最強格「超越者」「根源的恐怖の名前を持つ悪魔達」について解説します。
「超越者」「根源的恐怖の名前を持つ悪魔達」とは、コミックス8巻64話で登場した「闇の悪魔」に代表される生まれて一度も死を経験していない最強の悪魔達。
第一部のラスボスであったマキマ(=支配の悪魔)さえ凌ぐ規格外の化け物です。
読者の心に強烈なインパクトを残したものの、未だその全容が掴めぬ超越者たち。
本記事ではその定義やこれまでに登場した超越者たち、そしてどんな悪魔が超越者に該当するかなどについて予想・考察していきたいと思います。
「チェンソーマン」超越者(根源的恐怖の悪魔)とは?
一度も死を経験したことがない最強の悪魔達
「超越者」「根源的恐怖の名前を持つ悪魔達」とは、生まれてから一度も死を経験したことがない最強の悪魔達の総称です。
そもそも悪魔とは人の恐怖によって地獄に生まれ、地獄で死ぬことで人間が住む現世に転生する存在(現世で死ねば再び地獄に転生する)。
これは現代社会において最強と評された銃の悪魔、第一部のラスボスであったマキマ(支配の悪魔)でさえ例外ではなく、彼らも一度は地獄で死を経験しています。
しかし地獄には、あまりに強すぎて一度も死を経験せず、現世に転生したことがない「超越者」と呼ばれる悪魔たちが存在。
この世界における悪魔は、その冠する名前の存在が怖れられているほど力が増す性質を持つため、超越者たちは人類が克服することができない「根源的恐怖」をその名に持つ悪魔であるとされています。
その強さはチェンソーマンやマキマたちより上?
超越者たちは単純な実力において”は”チェンソーの悪魔、マキマやヨルといった黙示録の四騎士より格上(一人怪しいのがいますがそれに関しては後述)。
これは単純に超越者たちがマキマたちと違って死んだことがないから、というのもありますが、実際に戦った結果からも見て取れます。
66話ではマキマが地獄に赴き、超越者の一角「闇の悪魔」と対決。
ほんの一瞬の対峙でしたが、マキマは腕をバキバキに砕かれ、剣で胸を貫かれており、皆を連れて地獄から逃げかえるので精一杯でした。
ただマキマも闇の悪魔に僅かながらダメージは与えており(まあ、闇の中なのですぐに回復されてましたけど)、マキマクラスの実力があれば、超越者相手だろうと「手も足も出ない」ということはないようです。
「チェンソーマン」登場済の超越者(根源的恐怖の悪魔)
闇の悪魔
「闇の悪魔」は本作で初めて登場した「超越者」。
第1部コミックス8巻64話でサンタクロースが使役する地獄の悪魔によって地獄に落とされたデンジ達が遭遇した「根源的恐怖の名前を持つ悪魔」です。
非常にグロテスクな見た目をしており、二本角の頭部に複数の人間の身体が連結された胴体、黒いマントを翼のように纏っています。
合掌し胴体を真っ二つにされた宇宙飛行士の死体と共に登場。
この演出は、宇宙飛行士は現代における闇(=宇宙)へと挑む者の象徴であり、闇の前では人類は祈ることしかできない無力な存在であることを暗喩していると言われています。
その力の全容ははかり知れず、分かっているだけでも闇の中での攻撃は一切通じず、ダメージも即座に回復という理不尽極まりない能力の持ち主。
闇の悪魔自身が闇を纏っているので事実上無敵です。
人間や並の悪魔では敵意を向けられた瞬間に死ぬとまで言われており、クァンシや暴力の魔人といった実力者でも手も足も出ず瞬殺されていました。
理由は不明ですが、マキマと敵対していたフシがあります。
落下の悪魔
落下の悪魔 pic.twitter.com/SMpz0HseLF
— 灸場メロ (@9baMelo) March 19, 2023
第2部122話で登場した2体目の超越者が「落下の悪魔」。
原理は不明ですが、死ぬ事なく自ら現世に現れました(現世に”落下”した?)。
外見は無数の腕を持つ女性のコックさん。
「落下」というとどうもパッとしないイメージですが、人間が生まれつき持っている恐怖は「落下」と「大きな音」だけ。
落下とは人類が決して克服できない生物として根源的な恐怖なのです。
本人曰く、
「本日の調理を担当」
「地獄の皆様より」
「リクエストを受けて参上しました」
作中では、人の心のトラウマを呼び起こし、心が落ち込むほど体が上へと落ち、空中の地獄へ続く扉へと落ちていく力を使っていました。
……というか、受験生にとって一番センシティブな3月のタイミングでこのネタをぶちこんできた藤本タツキが恐ろしすぎる。
人類を調理する残酷な悪魔ですが、同時に調理にしか興味がなく、人類のことは「食材」としか認識していない模様。
本人曰く「現在人類が持っている攻撃手段では私を狩ることは不可能」らしく、銃弾によって肉体が損傷しても瞬時にダメージが回復し、デンジに食べられても彼の腹の中で身体が復元していました。
このように非常に強い落下の悪魔ですが、131話では実は彼女が飢餓の悪魔の支配下にあったことが判明しています(飢餓の悪魔は飢えた者を自分の駒にできる)。
老いの悪魔
173話で登場し、174話で名前が判明した3体目の超越者が老いの悪魔。
何故か公安と友好関係を結び彼らに協力(?)しています。
老いの悪魔は生に執着がなく「日本国籍を持つ0~9歳児を1万人鏡の前で殺してほしい」という条件でチェンソーマンに無抵抗で食べられることを約束。
老いの悪魔がチェンソーマンに食べられればこの世から「老い」という概念が消滅します。
何故そんなことを申し出たのか裏がありそうな悪魔ですね。
老いの悪魔の能力は「鏡」に関係するもののようで(人が老いを感じるのは鏡を見た時?)、作中では鏡を殴ることで遠隔地にいる真チェンソーマンをぶん殴っていました。
ただ真チェンソーマンを殺すことはできず逆に指を切り裂かれていたので、老いの悪魔は根源的恐怖の悪魔の中ではあまり強い部類ではないのかもしれません。
「チェンソーマン」他に超越者に該当しそうな悪魔は?(予想)
候補①死の悪魔(当確)
「超越者」の候補として一番に名前が挙がるのが「死の悪魔」。
死は人類が克服できない恐怖の代名詞ですから、誰しも思い浮かべる悪魔です。
「死の悪魔」は「支配の悪魔」「戦争の悪魔」「飢餓の悪魔」と同格とされる、黙示録の四騎士に名を連ねる悪魔の長女。
ノストラダムスの大予言に記された恐怖の大魔王です。
四騎士の中でも別格の力を有しているようで、超越者である「落下の悪魔」を使役する「飢餓の悪魔」でさえ、勝ち目がないと考えていたことから、まず超越者と考えて間違いないでしょう。
候補②火の悪魔
146話で名前が登場した「火の悪魔」も超越者の候補に入ります。
飢餓の悪魔が使役している切り札的な存在のようですから、落下の悪魔と同じ超越者でも全くおかしくありませんよね。
また生き物が「火」を恐れるのは本能的なものですから、人類が「火」への恐怖を完全に克服できたとは思えません。
候補③音の悪魔(爆音・大きな音)
落下の悪魔の登場で候補に挙がってきたのが「音の悪魔」。
「大きな音」は「落下」と同じく人間が生まれつき持っている恐怖ですから、十分に根源的恐怖に名を連ねる資格がありそうです。
ただ「大きな音」というと「落下」ほど直接生命の危機に直結するイメージがありませんし、能力もイメージがしづらいですね。
候補④苦痛の悪魔
「根源的恐怖」という観点から考えられるのが「苦痛の悪魔」。
苦痛は恐怖と不可分の概念ですから、人類では克服できない恐怖の一つと言えそうです(痛みが大好きな一部の連中は例外とする)。
難点を挙げるなら、あまりに観念的に過ぎ、「苦痛」を「恐怖」するというのがちょっと違和感がある点でしょうか(恐怖に対する恐怖に近いイメージ)。
候補⑤人間の悪魔
個人的にありそうだと思っているのが「人間の悪魔」。
創作で良く「人間の敵は人間」という言葉が使われるように、人間が最終的に一番恐れているのは同じ人間です。
十分に超越者に名を連ねる資格はある気がしますね。
難点は使い古されたネタだけに、藤本タツキが避ける可能性がありそうなこと。
藤本タツキってだけで予想の難度が跳ね上がるんですよねぇ……
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