今回は原作・赤坂アカ、作画・横槍メンゴの豪華タッグがヤングジャンプで連載中の人気作【推しの子】において、この物語の核をなす映画「15年の嘘」について考察していきます。
「15年の嘘」は作中でアクアが五反田監督たちと組んで製作することになる星野アイの半生を描いた映画。
ただの映画ではなく、アイが殺された理由を含め物語の謎全てが集約された内容となっています。
コミックス1巻各話に挟まれたインタビュー伏線もこの「15年の嘘」にまつわるもの。
本記事では「15年の嘘」の概要や配役、インタビュー伏線やアクアたちの真の目的について深掘りしてまいります。
【推しの子】15年の嘘とは?
「15年の嘘」とはコミックス11巻109話から始まった「映画編」において製作される映画のタイトル。
星野アイ殺傷事件をベースにした実録映画、それを今の役者を使って再現する内容となっています。
脚本のベースを書いたのはアクア。
彼が15歳の時にアイから送られたビデオメッセージの内容を元に、アイの実母など関係者への綿密な取材を行った上で描かれた物語です。
アクアはかつてアイ(B小町)のドキュメント映画を撮っていた五反田監督に協力を仰ぎ、ある目的のために「15年の嘘」の製作に乗り出すことになります。
脚本を読んだ者たちは、これをアイを殺した黒幕へ復讐するための物語だと解釈していますが、関係者たちの発言からするとこの映画には復讐に留まらない何かがあるようです(詳細は後述)。
【推しの子】15年の嘘の配役(キャスト)
「15年の嘘」に出演する主な役者は次の通りです。
役名 | 役者 |
星野アイ | 星野ルビー |
カミキヒカル | 星野アクア |
旧B小町・ニノ | 有馬かな |
旧B小町・高峯 | 黒川あかね |
旧B小町・めいめい | MEMちょ |
上原清十郎 | 姫川大輝 |
姫川愛梨 | 不知火フリル |
雨宮吾郎 | 鳴嶋メルト |
斉藤壱護 | みたのりお |
斉藤ミヤコ | とまと・ジャン |
貝原亮介 | 綾部トモ |
アクア・ルビー | ツクヨミ |
星野アイ役は元々黒川あかねや不知火フリルが候補に挙がっていましたが、当人たちの意思もあり、ルビーに決定しています。
カミキヒカルは双子の父でありアイを殺害した黒幕。それをアクアが演じるというのは何とも皮肉というべきか、何らかの強い意図が感じられますね。
貝原亮介というのはアイ殺害の実行犯ですが、配役からすると彼はあくまで脇役として描かれるようです。
【推しの子】15年の嘘・インタビュー伏線
インタビュー伏線とは?
ファンの間では「15年の嘘」こそがこの【推しの子】の集大成、クライマックスだと言われていますが、その理由がコミックス1巻の2~10話冒頭で描かれたインタビュー。
ここでは公開直前の映画の関係者にインタビューが行われているのですが、その映画こそが「15年の嘘」。
連載当初からこの「15年の嘘」に物語を集約させることは決まっていたわけです。
またこのインタビューには様々な伏線がちりばめられており、物語が進むにつれてその言葉の意味が分かっていくようになっています。
有馬かながアクアを「あーくん」呼びしているところとか、理由が判明する前は「お前ら付き合ってんの!?」と話題になりましたよね。
なお、最後のアイのメッセージだけはインタビュー形式ではなく、アイが15歳の双子に送ったビデオレター。
それがインタビューと同様の形式で描かれていることについては、特別な意図を感じます。
インタビュー一覧
各インタビューの概要は次の通り、この順番で2~10話の冒頭に描かれています。
【〇〇】編 | 取材相手 | 概要 | |
① | アイドル | 星野ルビー | ・女優初挑戦の意気込み |
② | マネージャー | 斉藤ミヤコ | ・飲み屋で双子について語る |
③ | ドルオタ | 古参のファン | ・アイについて語る古参 |
④ | 映画監督 | 五反田泰志 | ・映画「15年の嘘」公開 ・「この映画をアイに捧ぐ」 |
⑤ | 女優 | 有馬かな | ・アイを示唆する不謹慎発言 ・アクアを「あーくん」呼び |
⑥ | 幼稚園職員 | 老女 | ・双子の幼稚園時代の先生が登場 |
⑦ | 元経営者 | 斉藤壱護 | ・斉藤元社長に突撃インタビュー ・立ち直ってないフリ? |
⑧ | 役者 | 星野アクア | ・「演じることは復讐」発言 |
⑨ | 母 | 星野アイ | ・アイが双子に向けたビデオメッセージ |
メインキャラクターだけでなく、アイのファンや双子の幼稚園の先生まで、インタビューされている人間に統一性がありませんね。
また斉藤壱護は映画公開直前の時期であれば既にある程度立ち直っているはずなのに、このインタビューではやさぐれたままで髪型も違います。
そもそもインタビュー時期が違うのか、それとも何らかの理由で立ち直っていないフリをしているのか、その理由はまだ分かっていません。
【2024年6月13日追記】
152話でこのインタビューをしているのがカミキヒカルであったことが判明。カミキに対する発言だとすると、斉藤壱護やアクアの発言にもスジが通ってきますね。
【推しの子】15年の嘘の目的は復讐ではない?
アクアは復讐のために脚本を書いた
映画「15年の嘘」の目的については、未だ作中で明確に語られてはいません。
アクアがアイを殺した黒幕、自分たちの父親に対する復讐のために脚本を書いたことまでは分かっています。
実際、脚本は星野アイの半生を描いた内容であると同時に、アイを殺した人間を断罪する内容にもなっている模様。
脚本を読んだ不知火フリルは「アクアさんはこの作品でお父さんを殺そうとしてる」と理解しましたし、他の人間も多かれ少なかれ似たような反応です。
アクアがこの映画を撮る直前、斉藤壱護に復讐のために協力を仰いでいたことからも、アクア自身の目的は父親への復讐で間違いないでしょう。
映画はアイの願いを叶えるためのもの?
しかし同時に、この映画が復讐のためだけのものかというと、そう考えるには不自然な点がいくつもあります。
そもそも単なる復讐のための映画なら、五反田監督がアクアに協力するとは考えにくいです。
少なくとも五反田監督は復讐ではない別の意図をこの映画に込めようとしていると考えるべきでしょう。
また映画製作にとりかかる直前の110話、アクアはアイの墓前でこう発言しています。
「アイ やっと始まるよ」
「君の本当の願いを」
「僕が叶えてみせる」
つまりこの映画は、生前のアイの意思に沿ったものでもあるということ。
タイミングと内容から考えれば、生前のアイが15歳のアクアに向けて送ったビデオメッセージに、アイの願いが語られていたということなのでしょう。
ここで脚本を読んだ人間の感想に注目。
不知火フリルはこの作品がどうなるかは、アイ役がどういう演技をするかにかかっていると感じています。
「アイが自分を殺した男を」
「許すかどうかで全てが決まる」
またMEMちょは、
「アクたんなりの優しさに」
「溢れた映画にも思えたな」
つまりこの脚本はただの断罪劇に終わらない可能性を秘めたものでもあるということ。
復讐に燃えるアクアが演じるカミキヒカルに対しアイ役のルビーがどんな演技を見せるか、ルビーがどこまでアイの想いを汲めるかがポイントとなるそうですが……
真実は15年越しのラブレター
15年前、妊娠が判明したアイは「私は君を愛せない」とカミキヒカルを突き放しました。
しかしそれは追い詰められたカミキヒカルを想うアイの「嘘」でした。
この映画の真相はアイからカミキヒカルに向けた15年越しのラブレター。
そしてアイを理解しなかった父親への、双子たちからの復讐でした。
ただし、その想いがカミキヒカルに届くことはなく……
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